派遣とは?派遣社員の働き方・メリット・デメリットを解説
2024.12.22- 派遣ってどんな働き方をするの?
- 社員やパート・アルバイトとの違いはなに?
- 派遣で働くメリットは?
派遣に興味があるし、周りに派遣をしている知り合いもいるけど、「いまいち仕組みが分からない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、派遣の仕組みや働き方の解説にあわせて、『派遣社員のメリット・デメリット男女500人に聞いた独自アンケート調査』の結果もご紹介。
読めば、派遣の仕組みがしっかり理解でき、派遣社員が自分に合った働き方かどうか判断できるようになりますよ。
目次
派遣とは「働く先」と「雇い主」が違う間接雇用
派遣とは「働く先」と「雇い主」が異なる「間接雇用」の働き方です。
派遣のしくみは以下の3者からなりますね。
- 雇い主(派遣会社)
- 働く先(派遣先企業)
- あなた(派遣社員)
社員やパート・アルバイトは、雇われた会社で働きますが、派遣の場合、あなたの雇い主は「派遣会社」ですが、実際に働くのは派遣会社ではなく、「派遣された先の企業」です。
あなたは派遣会社に登録し、仕事が決まったら派遣会社と「雇用契約」を結びます。
契約後は、派遣先企業で仕事の指示を受けて働くわけですが、給料の支払いや福利厚生は雇い主である派遣会社から受けます。
このように、「雇い主」と「実際に働く企業」が異なるのは派遣の特徴です。
上記理由から、派遣社員として働く中で困った際は、雇い主である派遣会社へ相談していくことになります。
派遣は「登録型派遣」と「常用型派遣」の2つ
派遣は「登録型派遣」と「常用型派遣」の大きく2つに分けられます。
両者は、雇用期間に違いがあります。
- 登録型派遣:派遣先で「働いている期間のみ」派遣会社と雇用関係がある
- 常用型派遣:派遣先で「働いていない期間も」派遣会社と雇用関係が続く
【登録型派遣】働いている期間のみ派遣会社と雇用関係がある
登録型派遣の場合、派遣会社との雇用関係があるのは、派遣先で働いている期間のみです。
派遣として働く際にはまず派遣会社登録をしますが、「登録=雇用契約」ではないためです。
派遣会社との雇用関係にあるのは、派遣先企業で働いている期間のみです。(上記赤の部分)
派遣期間が終了すると、派遣会社との雇用契約も終了します。
次の派遣先が決まったら、改めて派遣会社と雇用契約を結び直します。
つまり登録型派遣は、「派遣先企業で働いている期間だけ派遣会社の社員」となって、「派遣されていない期間は無職」となります。
以下、登録型派遣のメリット・デメリットとなるので、参考にしてみてください。
- ●登録型派遣のメリット
- ・働きたいときだけ働ける
・派遣先を選ぶ自由度が高い - ●登録型派遣のデメリット
- ・期間がきたら辞めなければならない
・次の仕事がすぐに決まるとは限らない
・次の仕事が決まるまでは無職・無給になる
【常用型派遣】働いていない期間も派遣会社と雇用関係が続く
常用型派遣は、派遣会社の社員として就職したのちに、企業に派遣される雇用形態であることから、期間の制限なく派遣会社との雇用関係が続きます。
企業に派遣されている期間はもちろん、働いていない期間(待機期間)もずっと派遣会社の社員であり、給料ももらえます。
無職や無給になる期間がないため、登録型派遣に比べて雇用が安定するのはメリットです。
ただし、常用型派遣になるには、派遣会社の採用試験をクリアする必要があり、希望すれば誰でもなれるわけではありません。
また、派遣会社の常用的な社員であるため、働ける企業には一定の”しばり”があります。
「自分の好きな求人に応募して、嫌ならすぐに辞められる」という派遣ならではの自由度が、常用型派遣には当てはまりません。
以下、常用型派遣のメリット・デメリットとなります。
- ●常用型派遣のメリット
- ・就業していない間も給料がもらえる
・無職になる心配がない - ●常用型派遣のデメリット
- ・常用型派遣になるための選考がある
・登録型派遣ほど自由に派遣先が選べない
派遣から社員になれる「紹介予定派遣」という働き方
派遣には、「登録型」と「常用型」の大きく2つあると説明しましたが、登録型派遣のなかには、さらに「紹介予定派遣」という雇用形態があります。
紹介予定派遣は、企業の正社員または契約社員になることを前提に、最長6ヶ月のトライアル期間を設けて企業に派遣される働き方です。
トライアル期間を経たのち、企業と派遣スタッフ双方の合意があることで、派遣社員から企業の社員になれます。
紹介予定派遣は「派遣スタッフ」も「企業」も断れる
紹介予定派遣は、企業と派遣スタッフ双方の合意があることで、派遣ではなく社員として企業に「直接雇用」されます。
「派遣スタッフ」と「企業」のどちらか一方が「イヤ」な場合は断れます。
最長6ヶ月のトライアル期間に、
- 「派遣スタッフは職場環境や仕事内容をチェック」
- 「企業は派遣スタッフの社員としての適正やスキルや能力をチェック」
などを互いに見極めて、就業後のミスマッチを防ぐことが紹介予定派遣の目的だからですね。
たとえば、実際に働いてみたら以下のようなことが起こるケースもあります。
- 思っていたよりも忙しい
- 求められる仕事のレベルが高すぎる
- 人間関係が辛い
- 派遣スタッフにスキルや能力が足りていない
- 既存の社員との相性が悪い
そのため、紹介予定派遣には派遣スタッフ、企業の双方に「社員登用を断る」という選択肢があるのです。
紹介予定派遣になるためには選考がある
紹介予定派遣として働くためには、最初に派遣先企業の選考通過する必要があります。
紹介予定派遣は企業の社員登用が前提なので、希望すれば誰でもなれるわけではないからですね。
そのため、一般的な「登録型派遣」では派遣法第26条6項によって「派遣先企業への履歴書の提出」や「面接による選考」があります。
上記に挙げた内容をクリアすることで、はじめて紹介予定派遣になれます。
紹介予定派遣は派遣社員ならではの特権
紹介予定派遣は、「派遣社員という立場のまま社員へ挑戦できる」派遣社員ならではの特権です。
もし紹介予定派遣になれなかったり、トライアル後に社員登用に至らなかった場合でも、他の派遣先を紹介してもらうことで引き続き派遣社員として働けるためです。
- とりあえず派遣で働いているが、ずっと派遣でいることには不安がある
- できることなら社員になりたい
- 社員になりたいけど、派遣をやめて就職活動をするのは不安
上記内容に当てはまる人は、紹介予定派遣に挑戦してみてはいかがでしょうか。
【男女500人に聞いた】派遣社員のメリット・デメリットランキング
派遣登録を考えているけれど、派遣社員のメリットやデメリットがよくわからずに迷っている人もいるのではないでしょうか。
派遣会社のサイトなどを見ると、魅力やメリットも多く書かれていますが「実際はどうなのか」「デメリットはないのか」と気になりますよね。
そこで今回は派遣社員として勤務した経験がある500人にアンケートを実施し、「派遣社員のメリット・デメリット」をずばり聞いてみました。
- 調査対象:派遣社員として働いたことがある人
- 調査日:2021年4月23日~5月3日
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 調査人数:500人(女性349人/男性151人)
500人に聞いた!派遣社員のメリットランキング
まず「あなたが考える派遣社員のメリットはなんですか?」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
回答数が多かった順に10位までランキング形式で紹介します。
1位は「希望に合わせて働ける」でした。
2位以下は「辞めやすい」「責任が軽い」と続きます。
「希望に合わせて働ける」「辞めやすい」「いろいろな職場で働ける」など、「働き方の自由度の高さ」に魅力を感じた人が多いようです。
また「責任が軽い」「人間関係がラク」という精神面での負担の軽さや、「仕事が決まりやすい」「仕事を探す手間が省ける」など働き始めるまでのスムーズさをメリットとして挙げた人もいました。
では具体的な回答を紹介していくのでチェックしてみてください。
1位 希望に合わせて働ける
- 好きなときに手軽にお仕事ができる(20代女性)
- 転職活動中など、短期だけ働ける(30代男性)
- 細かな仕事内容や給与等の待遇が明確になっていて、自分の希望に沿うものを選んで働ける(40代女性)
1位は「希望に合わせて働ける」でした。
派遣ワークには勤務する期間、曜日・時間、仕事内容など多彩な仕事があるので、希望に合う仕事を選びやすいです。
「次の仕事までのつなぎとして、短期だけ働けた」「小さい子どもを抱えている人などは、時間の融通を利かせやすい」「単発だと、好きなときだけ働ける」という意見が多数。
ライフスタイルやその時々の状況に合わせて働けます。
「残業をするかしないかを選択できるので、時間を大事にできる」という回答もありました。
2位 正社員よりも辞めやすい
- 担当者に言えば、職場を変えてもらえすぐに次の仕事に就ける可能性がある。正社員だとそうはいかない(30代男性)
- 辞める際に、その理由を説明しなくても「契約満了」の一言で済む(40代女性)
- 入社後に仕事の内容が合わなかった場合や、人間関係がうまくいかない場合なども更新せず退社が可能なところ(50代男性)
2位は「正社員よりも辞めやすい」でした。
「退職します」と言い出すのに、気兼ねする人も多いのではないでしょうか。
派遣社員であれば、契約満了時に契約更新するかを自分で決められて、しかも派遣会社を通じて派遣先に意向を伝えられます。
そのため、「契約期間が切れるときにスッキリ辞められる」「辞める場合の気まずさがない」との回答が多く寄せられました。
3位 正社員と比べて仕事への責任が軽い
- 正社員よりも責任感がなくてよい(20代女性)
- 派遣先の人が「派遣さんだから」と責任の重すぎる仕事は渡してこなかったので、気楽に仕事ができました(30代女性)
- あまり重要な部分まで首を突っ込まなくてすむ。責任のかかりかたが正社員と違うので、気分が楽(50代男性)
3位は「正社員と比べて仕事への責任が軽い」でした。
職種や職場によりますが、派遣社員は「正社員のサポート業務のみ」「簡単なルーチンワークのみ」を担当することもあります。
そのせいか「正社員と比べて責任範囲が狭く軽い」と回答した人が多くいました。
「責任が重くないので、休みやすい」「気がラク」という回答も寄せられています。
「責任がそれほどあるわけではないが、そこそこのお金はもらえる」と、責任と収入のバランスに満足している人もいました。
4位 派遣会社によるサポート
- 仕事内容、給料や休みについて、派遣会社が派遣先企業と調整してくれる(30代女性)
- 派遣元の担当スタッフが就業先への初顔合わせや面談に付き添ってくれるので、心強い(40代女性)
- 何か困った事があったら、派遣元に相談できる(50代男性)
「派遣会社によるサポート」が4位。
サポートの具体的な内容は「面談や就業初日の出勤に同行してくれる」「就業先での困りごとを解決してくれる」「時給や休日など、雇用条件の調整をしてくれる」などです。
「面談が苦手だから同席してもらえて助かった」「派遣先の上司に直接言えないことを、派遣会社の方から伝えてもらった」などのエピソードが寄せられました。
親身な会社・担当者についてもらえると、心強いですね。
5位 時給が高い
- 短期間で高収入を得る仕事の案件が多い(30代女性)
- 簡単作業のわりには時給が高い(40代男性)
- アルバイトやパートよりも、時給が高い(50代女性)
「時給が高い」が5位。
派遣社員の時給は、企業直接雇用のアルバイトやパートよりも高めに設定されていることが多いです。
中には「時給換算すると、正社員より給料がいい」「時と場合によって正社員より月収が高くなる」という意見も。
また「簡単な仕事の割には時給が高い」という意見もあり、仕事内容と時給のバランスにメリットを感じている人もいました。
6位 残業がない/少ない
- どんなに多忙な時期でも、就業時間がきちんと決まっているので定時にあがることが可能です(30代女性)
- 残業の多い少ないなどの条件を事前に伝え、希望にあった残業の範囲内の仕事を紹介してもらえる(40代女性)
- 残業を断りやすく自分の時間を持てる(50代男性)
「残業がない/少ない」が6位に入りました。
派遣社員の場合、就業前に「残業できるかできないか(したいかしたくないか)」を派遣会社に伝え、希望に応じて残業少なめ・多めの派遣先を紹介してもらえることが多いです。
「派遣社員にはできるだけ残業させない」という方針の派遣先企業もあるよう。
突発的に残業をお願いされることもありますが、「無理な残業は断れる」という回答が多数寄せられました。
また13位(21人)には「サービス残業がない(働いた時間分はきっちり給料がでる)」もランクインしています。
7位 いろいろな職場で働ける
- 単発だと、さまざまな職場でバラエティに富んだ仕事ができおもしろい(20代男性)
- いろいろな職場に行けるので、さまざまな経験をしたい人にはよいと思います(30代女性)
- 希望すればいろいろな職場・職種にチャレンジできます(50代男性)
7位にランクインしたのは「いろいろな職場で働ける」です。
職場や職種を変えることで「いろいろな経験ができておもしろい」「楽しい」「見聞が広がる」という意見が寄せられました。
「就職活動に失敗して派遣社員になったが、職業体験としてちょうどよかった」と、就活失敗というネガティブな体験を、派遣社員としていろいろな職場を経験してポジティブに乗り越えた人も。
また「さまざまな企業の内情を知れるので、自分が起業する際の参考になる」という回答もありました。
8位 仕事が決まりやすい
- 正社員の仕事探しは面接などの準備が必要になるが、派遣社員なら面談のみですぐに仕事が決まる(20代女性)
- すぐに雇ってくれる(30代男性)
- 就職活動が正社員よりも簡単だと思う。採用されやすい(60代以上女性)
「仕事が決まりやすい」が8位となりました。
「正社員よりも求人が多い」「採用されやすい」「実務につくまでがスピーディ」といった回答が寄せられました。
就業までのスピード・簡単さにメリットを感じている人が多いようです。
また「ひとつの派遣先を辞めても、すぐ次の仕事を紹介してもらえる」「履歴書などを準備しなくていい」という意見もありました。
次の正社員として働く先が見つかるまでのつなぎとして、とりあえず派遣社員として働く方も珍しくありません。
9位 仕事を探す手間が省ける
- WEB登録するだけで派遣の仕事を紹介してもらえる(30代女性)
- 仕事を自分で探さなくても派遣会社のスタッフが次の派遣先を探してくれる(40代男性)
- 直接仕事を探す手間がない(50代男性)
9位は「仕事を探す手間が省ける」でした。
「派遣会社が希望に合う仕事を探して紹介してくれるため、自分で探す手間がない」「仕事探しの負担が減る」という意見が多数。
仕事探しの労力を減らせるのは大きなメリットですね。
「自分では探せないような仕事を紹介してもらえることもある」という回答も寄せられています。
できる限り多くの求人情報の中から候補先を選びたい方は、複数の派遣会社への登録がおすすめです。
10位 職場内の人間関係がラク
- 一定期間の契約なので、あまり人間関係を気にせずに黙々と仕事をこなせばいい(30代男性)
- 派遣社員と割り切れるため、社内での人付き合いを気にしなくてよい(40代女性)
- 正社員たちの人間関係のいざこざに巻き込まれなくてすみました。人間関係が希薄なところがメリットだと思います(50代女性)
10位は「職場内の人間関係がラク」でした。
雇用期間に定めがあるため人間関係をそれほど気にせずに働けて、相性の悪い同僚がいても「期間中だけ我慢すればいい」と考えられるという意見が寄せられました。
短期・単発の派遣で働いていた人からは「その場限りの付き合いだったので気楽」という声も。
人間関係に悩まず淡々と仕事をしたい人には短期・単発派遣が向いているかもしれません。
また16位(14人)には、飲み会や社員旅行など「業務外のお誘いがなくていい」という回答も入っています。
500人に聞いた!派遣社員のデメリットランキング
次に「派遣社員のデメリット」についても聞きました。
回答数上位をランキング形式で紹介します。
1位は「雇用が不安定」。
229人もの人が雇用の不安定さをデメリットとして挙げました。
2位以下は「収入が少ない」「福利厚生が悪い」と続きます。
「昇格・昇給しない」「キャリアがつめない」なども10位以内にランクインしており、雇用・収入の不安定さや将来への不安を感じている人が多いとわかりました。
続いて具体的な回答を紹介していくのでチェックしてみてください。
1位 雇用が不安定
- 「次の派遣先を紹介する」といいながら紹介される保証がない不安定なところ(30代男性)
- 長期で更新ありと言われていても、業績が下がれば更新がなくなることもある(40代女性)
- 期間が決まっているし契約更新も確約されているわけでもないので、長期的に計画してお金を貯めたい人には不向き(50代女性)
1位は「雇用が不安定」でした。
「派遣期間に上限がある」や「会社側の都合で契約更新がなくなる」といった不安定さをデメリットとして挙げた人が多数。
メリットでは「辞めやすい」が2位に入りましたが、「辞めたくなくても職を失う」という面もあることがわかります。
「契約更新されるのか、更新時期は毎回ドキドキしてしまう」「実際に派遣切りにあった知人が何人もいる」という人も。
ひとつの職場での契約が終了した際、切れ目なく次の仕事を紹介してもらえるとは限らないことも不安につながっているようです。
2位 収入が少ない/不安定
- 思ったより稼げないときがある(20代女性)
- 時給計算のため、大型連休など連休によって給与が変動し安定しない(30代女性)
- 正社員と同じような内容の仕事をしていても、給料・ボーナスでは大きく差が出ます(50代男性)
2位は「収入が少ない/不安定」です。
メリットランキングでは「時給が高い」が5位に入りましたが、デメリットランキングでは「ボーナスがないため年収は少ない」「休日が多い月は収入が減る」など月収・年収への不満が多数寄せられました。
「ボーナスがないのでモチベーションにつながらない」という人もいますが、2020年4月から「同一労働同一賃金」が導入されているため、導入前後でも回答の差が出ています。
2020年4月の派遣法改正によって、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消するための「同一労働同一賃金」が導入されました。
そのため派遣社員でも、「職務の内容」や「配置の変更の範囲」などが正社員と同一の場合には、ボーナスの支給や昇給があります。
ただし支給方法は、待遇決定方式や就業規則によって異なるため、待遇差に疑問点がある場合は派遣会社や担当者へ確認するようにしましょう。
追加で収入を得たい方は、派遣社員としての自由な時間を活かしての副業もおすすめです。
3位 福利厚生が手薄
- 交通費など福利厚生の面でサポートが手薄い(30代男性)
- 退職金がないので、老後を考えて普段から贅沢はできない(40代女性)
- 社員はスキルアップ研修に参加したり、TOEIC受験の料金を補助してもらえたが、派遣社員は自腹で参加していた(40代女性)
3位にランクインしたのは「福利厚生が手薄」です。
とくに交通費や退職金が出ないことをデメリットとして挙げた人が多くなりました。
今は交通費を支給する派遣会社も多いですが、中には「時給に含む」としている派遣会社もあります。
また「社内の福利厚生も基本的には社員のみの利用だったため、体調不良の際も医務室を使えなかった」「社員食堂が使いにくい」という声もありました。
ちなみに大手派遣会社は、会社の規模の大きさに比例して福利厚生が充実している傾向が強いです。
4位 下に見られる/立場が弱い
- 正社員より立場が弱いので気をつかう。いい案が浮かんでも「派遣社員が出しゃばったらいけない」と思い提案できない(30代女性)
- 下に見ておられる正社員の方もいるので、きつくあたられる場合があります(40代男性)
- 正社員から「どうせ派遣だから」と見下されることがあります(60代以上女性)
職場で「下に見られる/立場が弱い」という回答が4位にランクイン。
「見下される」「同期入社でも正社員とは上下関係がある」「立場が弱いので遠慮して過ごしている」「きつく当たられる」といった回答が寄せられています。
また名前を覚えてもらえず「派遣さん」と呼ばれることに「差別されている」と感じた人も複数いました。
また「社会的信用が低い」も15位(8人)に入っており、職場の同僚からではなく「世間からの評価が低い」と感じている人もいることがわかりました。
もし見下されるだけで終わらず、威圧的な態度を取られる場合もあるかもしれません。
同率5位 昇格・昇給しない
- 正社員になかなかなれない(20代女性)
- 社員のように昇給等が定期的にあるわけではない(30代女性)
- どんなに頑張っても評価が派遣単価に上乗せとなることはまずなく、モチベーションを維持することが難しい(40代男性)
5位は「昇格・昇給しない」です。
「昇給がない」「頑張りや成果が給与に反映されない」「正社員・直接雇用になるのが難しい」という声が寄せられました。
「昇給制度あり」としている派遣会社もありますが、昇給しなかった人も多いようです。
正社員や直接雇用への転換についても「周りの経験談では、実際に派遣社員から正社員になれた人はいない」という回答がありました。
派遣社員から直接雇用になりたいなら、将来的に直接雇用されることが前提の「紹介予定派遣」を利用するのがいいでしょう。
詳しくは、「紹介予定派遣って本当に正社員になれるの?派遣社員402人に聞いてわかったメリットと注意点」の記事もチェックしてみてください。
ちなみに派遣先企業から、派遣社員ではなく正社員として直接雇用の打診を受けるケースも少なくありません。
同率5位 仕事が簡単すぎる
- できる仕事の範囲が限られており、スキルアップには繋がりにくい(30代男性)
- 派遣歴が長くて仕事ができても、重要な仕事を任せられない(40代女性)
- 高度な仕事が与えられず、やりがいを感じにくい(50代男性)
同率5位は「仕事が簡単すぎる」です。
「ルーチンワークなのでやりがいを感じにくい」「簡単な仕事ばかりでスキルアップにつながらない」といった回答が多数。
派遣社員の業務範囲や手順が明確に決まっている職場で働いた人からは「仕事の進め方などを自分で変更できない」「もっと能動的な仕事をしたくても、権限の問題でできない」という体験談も寄せられました。
派遣社員としての業務経験については「キャリアになりにくく、次に繋げるのが難しい」「正社員を目指して就職活動をする際、派遣社員として積んだキャリアはほとんど評価されなかった」というシビアな意見も。
将来的に派遣社員からのステップアップを目指すなら、キャリア支援やキャリアカウンセリングが充実している派遣会社を選ぶのがいいでしょう。
7位 職場での疎外感
- 自分の会社というわけではないので、社員の中にいると疎外感を覚えることもある(30代女性)
- 関連業務の会議に入れてもらえないことが多く「チームの一員として働きたい」という意欲がある場合は疎外感を覚えると思います(40代女性)
- 派遣先の社員に「お客さん扱い」されたとき、仕事がしづらい(50代女性)
7位は「職場での疎外感」を感じるという回答でした。
自分の会社ではないため「所属している感がない」「よそ者感がある」などと感じている人が多数。
「心理的に、正社員や直接雇用の人との間に壁を感じる」というだけではなく「会議に参加できない」など業務遂行上のやりにくさを感じている人もいました。
ただすべての企業や職場の方たちが派遣社員に対して心理的な壁を作っているわけではありません。
なかには派遣社員だけでなく、インターンやアルバイトでも正社員と同じように接してくれる企業もあります。
8位 派遣元の担当者によって対応が異なる
- 派遣会社によって、対応が遅かったり、連絡がうまくいかなかったりした(10代女性)
- 派遣会社の担当に当たりはずれがあり、いい派遣先を紹介してもらえるかはその人にかかっている(30代女性)
- 担当者のスキルによって対応に差があること(40代男性)
8位は「派遣元の担当者によって対応が異なる」です。
「あまり親身になってくれない」「適当に仕事を紹介してくる」「連絡がスムーズにいかない」など、担当者の対応への不満が挙げられました。
希望したことが派遣先に伝わっておらず、困ってしまった人も。
また「更新時に勝手に条件が変わっていてトラブルになり、辞めることになった」という人もいました。
9位 仕事がキツイ
- 給与が低いのに業務量が多く、仕事の責任もとても重かった(20代女性)
- 基本的に働き手の少ないところに仕事に行くので、キツイ職場が多い(30代男性)
- 社員より酷使した扱いをされ、仕事量も増えることが多い(40代女性)
9位は「仕事がキツイ」です。
デメリットランキング5位には「仕事が簡単すぎる」という回答がランクインした一方で、「仕事がキツイ」と感じた人もいることがわかりました。
「給料が少ないのに業務量が多い」「正社員並みの働きを求められた」という回答があります。
また職場近くの寮に住んでいた人からは「都合よく使われやすい。『今から来られる?』と呼び出し電話がよくあり、断れず出勤するしかなかった」という体験談も寄せられました。
10位 人間関係構築が難しい
- 職場が変わると人間関係も新たに構築しなければならない(20代男性)
- 信頼関係があまり築けない(30代女性)
- 派遣先の正社員との間にしがらみがうまれやすい(40代男性)
10位は「人間関係構築が難しい」です。
メリットでは「人間関係がラク」が10位に入っていた一方で、人間関係に悩む人も多いようです。
「短期間なので人間関係が気づきにくい」「職場を変わるごとに人間関係をイチからつくりなおさないといけない」などのデメリットが寄せられました。
人間関係がつくりにくいことで「ミスをしたときに頼れる人が見つからず、心細いと感じてしまう」という意見もありました。
良好な人間関係を構築するうえで、特別なテクニックなどもなければ、人間同士での合う合わないも出てきます。
自分とは合わないと感じた人であっても、挨拶や礼儀の面はしっかりしておきましょう。
派遣社員として働いた経験がある500人にアンケートを実施したところ、派遣社員のメリット第1位は「希望に合わせて働ける」でした。
2位以下には「辞めやすい」「いろいろな職場で働ける」なども入り、ライフスタイルに合わせてフレキシブルに働けることに魅力を感じている人が多いとわかります。
一方でデメリット第1位は「雇用が不安定」、そして第2位は「収入が少ない/不安定」。
派遣社員という働き方はフレキシブルな半面、安定性に欠ける点がデメリットと感じる人が多くなりました。
また「退職金などの福利厚生が手薄」「昇格や直接雇用への転換は少ない」と、将来への不安を訴える人もいます。
将来的に正社員や直接雇用へのステップアップを目指すなら「紹介予定派遣」、長期安定的に派遣社員として働きたいなら「無期雇用派遣」の求人を探してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】派遣社員として働くことを考えている方へのアドバイス
最後に当記事の監修者お二人からアドバイスいただきました。
これから派遣社員として働くことを考えている方は参考にしてみてください。
働き方のキャリア相談の中でも最近注目されているのが「派遣」という働き方。
働き方の多様化が進む中、ライフスタイルに合わせて働きやすいことや企業との交渉を派遣会社が対応してくれることにメリットを感じる方が増えています。
また「派遣として働きながら自分で好きな仕事をする」というケースも多く、あえて契約期間が決まっていて辞めやすい派遣を選択する方もいらっしゃいます。
派遣に限らずどんな働き方にもメリットとデメリットがありますが、大切なのは「自分にとって最適な働き方とは何か」をしっかりと理解できていること。
ライフスタイルに合わせて働きたい、色々な仕事を経験してみたいと考えている方は、選択肢のひとつに「派遣」を加えてみてはいかがでしょうか。
■監修者プロフィール
宮治 有希乃氏
寄りそうコンサルタントグループ HR LABO
人材・組織開発コンサルタント
2007年より民間企業で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。
外資系人材総合サービス会社、ITベンチャー企業出身。
2018年10月、寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。
現在は人材・組織開発コンサルタントとして、主に人材育成や採用・定着化などの組織人事コンサルティングを中心に活動している。支援企業:60社以上、対人支援:延べ 7,000人以上の実績あり。
国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・GCDF-Japanキャリアカウンセラー・NLP™マスタープラクティショナー他、保有資格多数。
働き方改革により、どのような働き方であっても各人がイキイキと働ける社会づくりは加速度を増しています。
また、終身雇用が前提であった日本の社会制度も変化しています。アンケートにもあった通り、派遣社員という働き方は色々な企業で様々な経験をすることが可能です。
その中で自分が何がしたいのかを見つけ、ワークライフプランを考えていくのも良いのではないでしょうか。
社労士事務所志 代表
村井志穂(むらいしほ)氏
椙山女学園高等学校 椙山女学園大学卒業
人事労務関連のソフト会社に入社後、カスタマーサポート・マーケティング・システム開発に携わる。
社会保険労務士資格取得後は、システムエンジニアとして勤めつつ、自身の事務所を開業。システム開発の経験を活かした、Office製品を利用した業務効率化ツールの提供も行っている。