- 派遣会社って何社も登録していいの?
- 複数登録しているのがバレたら問題にならない?
複数の派遣会社へ登録することを、心配している人もいるかもしれません。
結論からいうと、派遣会社は何社登録しても問題ありません。
効率良く派遣の仕事を探すのであれば、2~3社の登録がおすすめです。
なぜなら、「2~3社の方が管理しやすい」「仕事を選べる」「同じ仕事でも高い時給の方で働ける」といったメリットが多いからですね。
弊社が独自に行ったアンケート調査でも、「派遣社員として働く人の約7割が2社以上の派遣会社に登録している」と回答しました。
- 調査対象:派遣で働いたことがある方
- 調査期間:2019年8月31日~9月3日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:100人
派遣会社を1社しか登録しないのは、実にもったいないことなんですよ。
当記事では、複数登録するメリットとデメリットについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
派遣会社に複数登録していることがバレても大丈夫?
複数の派遣会社を登録する方がおすすめといわれても、「派遣会社にバレたら問題なのでは?」と心配な人もいるでしょう。
結論からいうと、派遣会社に複数登録していることがバレても問題ありません。
他の派遣会社に複数登録しているからといって、お仕事を紹介してもらえなかったり求人数が減ったりすることはないので安心してくださいね。
なぜなら、派遣会社自体が複数登録を認めているからです。
下記は、大手派遣会社リクルートスタッフィングに寄せられた質問と回答です。「複数の登録可能」と明記されていますね。
派遣社員の7割は2社以上派遣登録をしている
派遣社員100名に「何社、派遣登録したか」を弊社独自でアンケート調査した結果、1社のみ登録は31名(約3割)で、残りの69名(約7割)の人は2社以上登録していました。
内訳は、2社登録した人が100名中33名と最も多く、3社が17名、4社以上登録している人も16名います。
この結果からも、派遣会社の複数登録は特別なことでないとわかりますね。
派遣会社を複数登録するメリット
では、どうして7割もの人が2社以上の派遣会社に登録しているのでしょうか。
100名の派遣スタッフに、複数登録をすることで「どのようなメリットを感じるのか?」を聞いてみました。
仕事の選択肢が増える(61名/100名)
複数登録のメリット第1位(100名中61名)は、「仕事の選択肢が増える」でした。
- 派遣先がいろいろ選べ選択肢を増やせたことで、条件に合う仕事に就けた
- オファーがたくさんあるため、断ることも選ぶこともできた
- 派遣会社によって扱う業種が違うので、いろいろな仕事の経験ができた
1社よりも2社、3社と登録しておいた方がたくさんの仕事を紹介してもらえるため、多くの案件からより自分に合った仕事を選べるというわけですね。
また、派遣会社によって得意分野が違うことから、「自分が考えていなかった職種や業種を紹介されて選択肢が広がった」という声も多く聞かれました。
同じ仕事なのに時給の高い派遣会社が見つかる(39名/100名)
複数登録のメリットとして次に多かったのが、「同じ仕事なのに時給の高い派遣会社が見つかる」でした。
- 同じ案件でも、派遣会社によって時給が50~100円違うこともありビックリした
- 同様の職種でも派遣会社により時給に差がある際に、高い方を選べた
- 派遣会社A:時給1,500円
- 派遣会社B:時給1,600円
上記のように、同じ企業の案件でも派遣会社によって時給に差が出るのは、珍しいことでないためです。
ちなみに、同じ案件でも派遣会社によって時給に差が出るのは、
- 派遣会社の営業力
- 派遣会社と企業の関係性
- 派遣会社のマージン率
によるものです。
「営業力」とは、派遣会社の営業担当者による派遣料金の交渉力のこと。
「関係性」とは、例えば「A社の派遣スタッフはいつも優秀だから、高い派遣料金を払います」といった信頼関係のこと。
また、「マージン率」は企業から派遣会社に支払われる料金(派遣料金)のうち、派遣会社の取り分となる割合をいいます。
マージン率は20%後半~30%前半が一般的で、この数%は時給の差となります。
詳しくは「派遣会社のマージン率の記事」で解説しているので参考にしてみてください。
複数の派遣会社に登録すれば時給を比較できるので、同じ仕事でもより高い方を選べるというわけです。
仕事が途切れない(16名/100名)
「仕事が途切れないこと」を複数登録のメリットに挙げた人が、100名中16名いました。
片方の派遣会社で仕事の紹介がなくても、もうひとつ登録してあればそちらの派遣会社で紹介してもらえますよね。
- 一つの派遣会社で仕事がなくても、他の派遣会社から依頼が入るので助かった
- 複数登録していた方が仕事に就ける確率が高まるので、一つの派遣会社にこだわらない方が良いと思う
- 複数の派遣会社に登録することで、仕事が切れずに収入が安定した
また複数登録することで、「この仕事がダメだと後がない」という切羽詰まった気持ちにならないこともメリットになっています。
気持ちにゆとりをもって仕事探しをするためにも、複数登録はおすすめですね。
自分に合った派遣会社がわかる(6名/100名)
「自分に合った派遣会社がわかること」を複数登録のメリットと感じている人が、100名中6名いました。
「派遣会社なんてどこも同じでしょ」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
比較対象がなければ「派遣会社ってこんなものかな?」と思ってしまいますよね。
ところが、複数登録することでそれぞれの特徴やメリット・デメリットが見え、自分に合う派遣会社がわかってきます。
例えば、派遣会社には以下のような違いがあります。
- 都市部の案件が中心/地域密着型
- 事務系に強い/製造業・軽作業系に強い
- 交通費のあるなし
- 時給の相場
- 福利厚生の充実度
- マッチした求人の数
- 営業担当者の待遇
「マメに仕事を紹介してくれる」「自分から積極的に仕事を探さないと放置される」など、営業担当者の対応も派遣会社によってかなり違います。
派遣会社を選ぶ際、営業担当者の対応を重視している方は「担当者の対応が良い派遣会社ランキング!派遣社員512人へ口コミ調査」の記事も参考にしてみてください。
その他のメリット
ほかにも、複数登録にはさまざまなメリットがあります。
仕事の掛け持ちができる
「仕事を掛け持ちして、できるだけお金を稼ぎたい」と考えている人も多いと思います。
仕事の掛け持ちがしやすくなるので、複数の派遣会社へ登録していると挙げた人も少数ですがいました。
複数登録することで、より多くの案件から仕事を探せるため、掛け持ちできる案件を見つけやすいというわけですね。
例えば、「昼間は一つ目の派遣会社でイベントスタッフの仕事」「夜間は二つ目の派遣会社で軽作業の仕事」といった働き方ができます。
※注意:派遣会社では、イベントスタッフなど単発のお仕事をするには一定の条件が必要となります。
複数のスキルアップ制度をはしごして受けられる
各派遣会社が提供するスキルアップ制度を、はしごして受けられることをメリットに挙げる人もいました。
大手派遣会社では、福利厚生の一つとしてパソコンやビジネスマナー、英会話などの講座を無料または格安で提供しています。
同じ講座内容にもかかわらず、無料受講ができる派遣会社もあれば、有料受講となる派遣会社もあります。
例えば、テンプスタッフやスタッフサービスは、OAスキルが学べるeラーニングや学習アプリが無料でアデコは有料となっています。
※OAスキルとは、エクセル、ワード、パワーポイントといったソフトを使った事務処理スキルのことを指します。
スキルアップを希望する方は、「派遣社員のスキルアップにおすすめな方法」の記事も参考にしてみてください。
限定案件に出会えるチャンスがある
特定の派遣会社しかもっていない「限定案件に出会えるチャンスがある」ことをメリットに挙げている人もいました。
同じ案件を複数の派遣会社へ依頼をしている企業もあれば、一つの派遣会社にしかお仕事を依頼していない企業もあります。
また、派遣会社の信頼度の高さや専門性によっても「この案件は他の派遣会社には出さない」といったケースもあります。
複数登録することで、1社のみの登録では出会うことのできない案件に巡り合うチャンスが高まるというわけですね。
派遣会社の複数登録をするデメリット
では次に、複数登録で起こりうるデメリットも見ていきましょう。
お仕事紹介のメールや電話が多い(37名/100名)
お仕事紹介のメールや電話が多いことをデメリットと感じている人が、100名中37名と最も多いことがわかりました。
メールや電話が多いのは、それだけあなたにマッチした仕事も多いということです。しかし、対応が面倒と感じる人が多いんですね。
- お仕事紹介の連絡が頻繁にくるのが面倒
- 求人メールが大量に届くので、見落とさないようメールチェックするのが大変
希望条件と合わない求人や興味がないお仕事を紹介された場合は、「希望条件以外の求人情報はいりません」とはっきり担当者に伝えておきましょう。
また、以下のような声もありました。
- 仕事中にも電話がくるので、対応できないことがある
- 違う仕事に就いているときに求人紹介されるのは迷惑
- 派遣会社を利用しなくなった後もメールがたくさん届いて困る
もしも、すでに他の派遣会社経由で働いている場合は、「◯◯~◯◯まで(契約期間)、△△での就業が決まりましたので求人案内は不要です」と伝えてください。
登録はしたままで、就業中の求人案内をストップできます。
またお仕事紹介を再開してほしいときは、いつから仕事をしたいといっておけばすぐに再開してもらえますよ。
派遣会社と電話のやり取りに不安がある方は、「【見本付き】電話のかけ方や名乗り方は?派遣会社との電話対応マナー」の記事もチェックしてみてください。
派遣会社やスケジュールの管理が大変(18名/100名)
100名中18名が、複数登録をすると派遣会社やスケジュールの管理が大変になると回答しました。
特に多かったのが、「どの派遣会社の案件にエントリーしたのか、何の案件にエントリーしたのかわからなくなる」という声です。
ほかにも、複数のサイトで日々たくさんの求人を見るため、
- 検討して保留したのかそれとも応募したのかわからなくなった
- どの派遣会社のサイトで見た求人かわからなくなった
との声もありました。
さらに、
- 登録会や顔合わせがブッキングしないよう日程調整するのは大変だった
- 採用の結果待ちをしているとき、他社から顔合わせの連絡があり大変だった
- 登録しすぎて、スタッフコードやサイトのパスワードを忘れてしまった
という声もあり、複数登録する際は派遣会社のスケジュール管理が大変だとわかります。
上記とあわせて、「派遣会社の求人は複数エントリー(応募)してもOK?エントリー後の流れと効率的な進め方」の記事も参考にしてみてください。
派遣登録が面倒(11名/100名)
複数登録のデメリットとして、「いくつも派遣登録するのが面倒」と回答した人が100名中11名いました。
来社での登録会は所要時間1~2時間ほどかかるうえ、登録会場が遠いとなるとその分時間もかかるし交通費も必要となるので面倒なんですね。
また、
- 派遣登録のたびにスキルシートを書き、スキルチェックを受けなければならない
- Web登録では、毎回同じようなことを入力しなければならない
などが面倒と感じる人もいました。
ただ、登録会での面談やスキルチェック、Web登録内容は、お仕事紹介をするうえで重要な情報となります。
ちょっと面倒に思いますが頑張って行いましょうね。
紹介される派遣先がかぶることもある(7名/100名)
「複数の派遣会社から同じ派遣先を紹介されることがある」と回答した人が100名中7名いました。
- 派遣先での契約期間が終了したと思ったら、違う派遣会社から同じ派遣先を紹介された
- 二つの派遣会社から同時に同じ派遣先を紹介された
- 一度断った案件を別の派遣会社から紹介されてしまった
「そんな偶然あるの?」と思う人もいるかもしれませんが、企業が複数の派遣会社に同時に求人を出すことはよくあります。
その際、すべての派遣会社に「エクセル中級レベルの人」「事務経験が1年以上ある人」といった企業の希望条件を出すため、あなたが条件を満たしていれば、どの派遣会社からの求人にもヒットするというわけです。
異なる派遣会社から同じ派遣先を紹介された場合は、仕事内容や労働条件が同じならば、時給で決めるのも一つの方法です。
パッと見は同じ仕事に思えても、働く部署が違うこともあるので書いてある内容だけで判断せずに担当者から詳しい内容を聞きましょうね。
複数登録した場合の社会保険の手続き方法
複数の派遣会社に登録していると、社会保険ってどうなるんだろう?と気になる人も多いと思います。
結論からいうと、
- 複数の派遣会社で働いている場合は、加入条件を満たしている派遣会社の社会保険に加入する
- 勤務先が変わっても派遣元が同じなら、社会保険に変更はなし
- 派遣元が変わった場合は、社会保険の変更手続きが必要
となります。
例えば、テンプスタッフの紹介で「1~6月はA社」「7~12月まではB社」に勤務した場合、社会保険はテンプスタッフのまま継続で加入します。
派遣先企業がA社→B社と変わっても、派遣スタッフの雇用主がテンプスタッフであることに変わりはないため、社会保険の変更もありません。
一方、「1~6月はテンプスタッフからの紹介」「7~12月まではスタッフサービスからの紹介」のように派遣元の会社が変わった場合は、その都度、社会保険の変更手続きが必要となります。
とはいえ、社会保険の手続きは派遣会社が行うため、自分で役所に出向き手続きする必要はありません。
あなたは下記を揃え、派遣会社が用意する書類の記載をすればOKです。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 基礎年金番号通知書(年金手帳の表紙がオレンジの人のみ)
【社会保険加入の注意点】
派遣元が同じでも、働いていない期間が1ヶ月以上続く場合は一旦被保険者から外れてしまいます。
社会保険に加入するには「2ヶ月を超える雇用契約、1週間に30時間以上の労働、および1ヶ月の労働日数が15日以上」といった条件があります。規定の日数や時間に満たない短期・単発の派遣スタッフは、社会保険へ加入できません。
複数登録した場合の確定申告のやり方
確定申告とは、毎年1月1日~12月31日までの全所得を計算して納税する手続きのことです。
12月時点で派遣社員として働いている場合は、派遣会社で年末調整を受けられるため、自分で確定申告をする必要はありません。
ただし、1年間に二つ以上の派遣会社で働いている場合は、その年に雇用契約を結んだすべての派遣会社から源泉徴収票をもらい、現在の派遣会社へ提出しましょう。
一方、12月時点に派遣で働いてなくて派遣会社の年末調整を受けられない場合は、1年の間に働いたすべての派遣会社から源泉徴収をもらい、自分で確定申告する必要があります。
【職種別】複数登録におすすめの派遣会社組み合わせ
派遣会社の複数登録がおすすめといっても、とりあえず目についた派遣会社に登録しておけば良いというわけではありません。
なぜなら、派遣会社によって、職種の得意不得意があるからです。
例えば、事務職に就きたいと思っている人が製造系を得意とする派遣会社に登録しても、事務職の求人案件自体が少ないことからメリットがありません。
この章では、職種別におすすめの派遣会社の組みわせをご紹介します。
組み合わせの基本は「大手派遣会社+専門系派遣会社」
どの職種を希望する場合でも、大手派遣会社+専門系派遣会社の組み合わせがおすすめです。
なぜなら、大手と専門系の良いとこ取りができるためです。
- 求人数が多く仕事に就ける可能性が高い
- 幅広い職種を網羅しているので仕事の選択肢が広がる
- 福利厚生がしっかりしているので安心
- 研修・講座が充実しているのでスキルアップが望める
- 専門の求人数が多い
- 大手では扱っていないコアな求人がある
- コーディネーターや営業担当者が業界情勢に詳しい
また、大手+専門系のほかに地域密着型の派遣会社を1社加えるのもおすすめです。
- 大手で扱っていない求人がある
- 自宅近くの仕事が見つかる
- 大手より倍率が低いため採用される可能性は高い
- 企業からの信頼も厚いため待遇は良い
ただし、あまり欲張ると、「登録が大変」「メールチェックや電話対応が面倒」「スケジュール管理ができない」といった支障も出てくるので、合計2~3社の登録が理想的ですね。
職種別おすすめ派遣会社の組み合わせ
まず大手派遣会社から一つ選ぶのであれば、以下の5社がおすすめです。
- 常時、数万件の求人を扱っている
- 幅広い職種を網羅している
- 福利厚生・スキルアップ制度とも充実している
以上の理由から、1社目の派遣会社としては申し分なしです。
事務職で働きたい場合
事務職を希望している方は、上記の大手派遣会社から2社登録するのが良いでしょう。
重複しますが、以下にあらためて掲載しておきます。
大手派遣会社はいずれも、事務職に特化した中小派遣会社よりも良い案件に出会う確率が高いです。
あらゆる職種のなかで事務職の扱いが多いためですね。
ただし、地元で働きたい方は、大手+地域密着型の派遣会社に登録することで、お仕事が見つかる可能性は高くなります。
事務派遣を希望する方は上記とあわせて、「事務職におすすめの派遣会社ランキング【388人へ口コミ調査】」の記事も参考にしてみてください。
その他の職種で働きたい場合
事務職以外では、以下の派遣会社がそれぞれの職種に特化、または求人の大半を占めています。
前述の大手派遣会社と組み合わせて登録するのがおすすめです。
職種 | 派遣会社名 | 派遣会社名 |
---|---|---|
医療・介護職 | かいご畑 | ミラクス介護 |
薬剤師 | ファルマスタッフ | アプロ・ドットコム |
保育士 | ヒトシア保育 | ほいく畑 |
工場・製造業 | 綜合キャリアオプション | フルキャスト |
アパレル・販売職 | スタッフブリッジ | iDA(アイ・ディ・エー) |
テレフォンオペレーター | テンプスタッフ | スタッフサービス |
IT・エンジニア系 | パーソルクロステクノロジー | パソナテック |
希望の職種を決めきれない方は、「おすすめの派遣職種ランキング!派遣経験者1000人を対象に口コミ調査」や「時給が高い派遣の職種ランキング!派遣社員1000人へ口コミ調査」の記事も参考にしてみてください。
まとめ
複数登録には、「メールや電話がたくさんくる」「スケジュール管理が大変」といったデメリットもありますが、それ以上にメリットが多い登録方法です。
複数の派遣会社の案件を見ることで、仕事や職種の選択肢が増え、高い時給を得ることも可能です。
また、「この案件がダメでも他がある」と思えることで焦りもなくなり、余裕をもって就職活動ができるようになります。
これから派遣のお仕事をはじめようと思っている方は、ぜひ一つに絞らず、複数の派遣会社に登録してみてくださいね。