工場や製造業で派遣の仕事をしたい人も多いのではないでしょうか。
一方で、「工場派遣ってきつそう」「どんな人が働いてるの?」「どれくらい稼げる?」など気になることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、工場や製造業の派遣社員として働いたことがある100人に口コミ調査を実施。
工場・製造業派遣のリアルについて聞いてみました。
「工場や製造業派遣で働いてみたいけど、どうしよう…」と迷っている方は参考にしてみてくださいね。
工場・製造業の派遣はどんな人が働いているの?工場派遣で働く人の実情
「工場や製造業ってどんな人が働いているんだろう」と気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで、工場・製造業派遣の経験がある100人に口コミ調査を行いました。
- 調査対象:派遣として工場・製造業で働いた経験がある方
- 調査期間:2020年7月6日~7月13日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:100人
工場・製造業の派遣社員は老若男女・性別問わない
100人への調査の結果、工場・製造業の派遣社員に男女比で大きな差はないことがわかりました。
また口コミを見ると、性別だけでなく、結婚の有無、年齢、国籍問わず、さまざまな人が働いているとわかります。
- 子育て中や主婦(主夫)の人が多かった(化粧品の充填・包装)
- 未婚・既婚問わず、男性7割、女性3割ほど(自動車メーカーの組み立て)
- 大学生や子育てが落ち着いた50代ぐらいの女性が多かった(パンの仕分け)
- 独身の男性や長期休暇中の大学生が多かった(食品へクリームを注入する作業)
- 髪色・ネイル自由だったので、ギャル系の若い女の子、男の子が多かった。外国人もいた(エアコンの組み立て)
業種の傾向としては、「自動車製造業」は男性が多め、「お菓子・パンなどの食品工場」は女性が多めです。
ただ、自動車製造業でも女性が多い職場、食品工場でも男性が多い職場もあります。
もしも「男性の多い職場がいい」「同年代の人が働いている職場がいい」といった希望がある場合は、条件を絞って求人検索するか、コーディネーターに希望を伝えて探してもらいましょう。
工場・製造業派遣で働く期間は「単発」または「1年以上」が多い
「どのくらいの期間1つの工場で働いたか」を聞いたところ、もっとも多かったのが「1日~1週間以内」、次いで「1年~3年」という結果に。
工場・製造業で働く人は、「単発」もしくは「長期」で働く人が多いとわかります。
2015年9月の派遣法改正により、派遣として同じ職場の同じ部署で働ける期間は、最長3年間となりました。
工場・製造業派遣の仕事内容
工場・製造業でどんな仕事をしたか聞いたところ、最も多かったのは「加工・組み立て」でした。
次いで、「梱包」「検品・検査」「食品ライン」と続きます。
人気の工場系派遣の仕事内容を見ていきましょう。
「加工・組み立て」の仕事内容
「加工・組み立て」は、自動車部品、家電、OA機器、電子機器などをライン作業で完成させていく仕事。
ベルトコンベア上で部品をセットする単純作業のほかに、溶接・はんだ付け・塗装といった多少の慣れや技術が必要な仕事もあります。
とは言え、求人の大半は「未経験OK」で「スキル不要」。主婦(主夫)や学生、外国人労働者もたくさん働いています。
就業先には、大手自動車メーカーや有名な家電メーカーも。
自動車製造に携わりたい人や、ものづくりが好きな人にとっては、楽しく働ける仕事です。
- エアコンの組み立て(女性/3ヶ月)
- 電子部品の組み立て(女性/6ヶ月)
- 航空機部品の組み立て(男性/1年)
- 自動車部品の加工(男性/6ヶ月)
「梱包」の仕事内容
梱包は、出荷される商品をダンボールなどに詰める仕事です。
食品や部品を「1つの箱に◯個ずつ」といった具合いに詰める梱包のほか、家電のように発泡スチロールやプチプチなどの緩衝材とともに詰める仕事もあります。
また、梱包と合わせてラベル・伝票貼りや積み込み作業を行うケースもあります。
梱包はスキル不要の単純作業なので、求人のほとんどは「未経験OK」。誰でもすぐに始められるのがメリットです。
ただし、扱う商品によっては体力を必要とする場合もあるので、応募前に確認しましょう。
- シャンプーの箱詰め(女性/単発)
- メロンを箱に詰め、紐で縛る(女性/2週間)
- サプリメントの梱包(女性 1ヶ月)
「検品・検査」の仕事内容
検品・検査は、不良品がないか、キズはないか、異物の混入はないか、などをチェックする仕事です。
自動車製造から電子機器、家電、食品まで、あらゆる工場で求人があります。
目で見る「目視点検」のほか、完成した電子機器や機械を実際に動かして不具合がないかチェックする「動作確認」の仕事も。
地道な作業ですが、注意力や集中力を必要とするとても重要な仕事です。
万が一、不良品を出荷するようなことがあれば、メーカーの信頼に関わるからです。
一方で、体力が不要で仕事自体も簡単なので、女性や工場で働いたことがない方でも気軽に挑戦しやすいお仕事ですよ。
- 書籍の検品(女性/3ヶ月)
- プリンターの動作チェック(女性/3ヶ月)
- 靴の検品と箱詰め(男性/6ヶ月)
- 自動車部品の目視検査(男性/3ヶ月)
「食品ライン」の仕事内容
食品ラインの仕事は、生鮮食品の下処理や調理、盛り付け、パンの成形、スイーツの加工やデコレーションといった製造工程の一部を行います。
「商品の製造過程を近くで見られて楽しい」と男女ともに人気で、工場見学がすきな人にとってはピッタリの仕事です。
お菓子やパン好きの人には、コンビニスイーツやケーキ、パンを作る工場がおすすめ。
甘い匂いやおいしそうなお菓子に囲まれる職場なら、きっと幸せな気分で働けることでしょう。
簡単な作業が多いため、1~2日の単発派遣や、学生さんの派遣バイトとしても人気です。
- パン生地の成形(女性 2日)
- 量産型ケーキのライン作業(女性 2日)
- お弁当の調理補助(男性 半年)
- 食品へクリームを注入する作業(男性 2週間)
工場・製造業派遣の時給相場はパート・アルバイトより高い
という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実際はどうなのか、大手派遣会社のランスタッドと、アルバイト情報サイトタウンワークで時給を比較したところ・・・
下記いずれの地域でも、バイトより派遣社員の方が高時給であるとわかりました。
エリア | ランスタッド(単位:円) | タウンワーク(単位:円) |
---|---|---|
東京 | 1,321 | 1,211 |
大阪 | 1,197 | 1,099 |
宮城 | 1,081 | 905 |
福岡 | 1,106 | 1,064 |
北海道 | 1,127 | 936 |
※調査日2020年7月10日
派遣社員とバイトの時給差は、最も少ない地域で約40円、最も大きい地域で約190円、平均115円です。
「たかが100円のために派遣登録するのは面倒」と思った人も、ちょっと考えてみてください。
『1日8時間×月22日(週休2日)』働いた場合、時給が100円違うと、月収にして17,600円、半年で10万円以上の収入差が出ます。
最近は、5分程度でさくっとWEB登録できる派遣会社がほとんど。
「少しでも時給が高いと助かる」「効率よく稼ぎたい」という方には、パートやバイトより派遣社員がおすすめです。
工場・製造業派遣なら寮費無料の求人も
工場や製造業で働きたい人のなかには、「生活が苦しい」「必死に働いても月収のほとんどが生活費に消えてしまう」という人も多いかもしれません。
そんな人におすすめなのは、寮付きの工場派遣です。
工場派遣のなかには、「寮費無料」や「寮費と光熱費合わせて2~3万円」といった求人があります。
日々の生活費がほとんどかからず、月収の大半を貯蓄に回せるため、半年や1年といった短期集中でまとまったお金を貯める人も。
最近の派遣寮は、家電や家具、バス&トイレがついたワンルームマンションが多いので、意外に快適と好評です。
生活が苦しい人は、寮付き求人も検討してみてはいかがでしょうか。
工場・製造業の派遣社員で働くメリット
工場・製造業の派遣社員はどんなところが良かったかを聞いてみました。
1位 簡単でラク/未経験でもできる
- 作業内容がマニュアル化されていれば、未経験者でもすぐに仕事に慣れる(男性 パチスロ台の組み立て)
- 同じ作業の繰り返しなので、作業内容を覚えれば1人で黙々と仕事ができてラク(自動車部品のレーザー加工)
- 未経験でも単純作業なので覚えるのは簡単(女性 パンの仕分け)
工場・製造業の派遣社員で働くメリット1位は、「簡単でラク/未経験でもできる」でした。
工場・製造業の仕事は、誰でもすぐにできる単純作業がほとんど。
覚えることが少なく、臨機応変さを求められることもありません。
また、責任のある仕事を任せられないため、プレッシャーを感じずに仕事ができて「精神的にラク」という意見もありました。
就業経験がない方や学生さんも安心して応募してください。
パソコンを使う仕事が苦手な人にもおすすめですよ。
2位 人間関係のストレスがない
- 人とのコミュニケーションがないので、人間関係のストレスがありません(女性 お皿の梱包)
- 人と仕事で話さなくていい。必要な指示だけ聞けばあとは何も考えずに仕事だけしてればよい。コミュニケーションを取る必要がないので、口下手でも問題ない(男性 パン工場)
- イヤな人、嫌いなタイプの人がいても、ずっと一緒に働くわけではないため、職場の人間関係構築が煩わしいと思う人には良いと思う(女性 果物の梱包)
工場・製造業の派遣社員で働くメリット2位は、「人間関係のストレスがない」でした。
一人ひとりに決まった仕事が与えられており、単独で行う仕事が多いことから、最低限のコミュニケーションで仕事が成り立つためです。
人付き合いが苦手な方、コミュ症の方でもストレスなく働ける職場が多いです。
また派遣であれば、万が一職場が合わなければ別の職場を紹介してもらえるため、イヤな人がいるのに我慢して働き続ける必要もありません。
人間関係のストレスを感じたくない方、人と関らずにモクモクと作業をしたい方にはピッタリの仕事と言えるでしょう。
3位 時給がいい
- 長期雇用のアルバイトやパートよりも時給が高め(男性 パン工場の製造補助)
- 夜間の時給が高いので短時間で収入になる(女性 電子部品の組み立て)
- 繁忙期は通常よりも時給がアップされることも多い(女性 食品製造)
工場・製造業の派遣社員で働くメリット3位は、「時給がいい」でした。
派遣の職種全体で見ると、工場系の時給は決して高くありませんが、「ラクなわりに時給が高い」と感じている人が多くいました。
また、同じ工場で働く場合、派遣の時給はアルバイトよりも100円以上高いケースも珍しくありません。
さらに、工場は24時間稼働しているところも多いため、短期間でがっちり稼ぎたい人はあえて夜間勤務を選ぶのもアリでしょう。
午後10時~翌朝5時は、時給が通常(日勤)の25%割増になります。たとえば、時給1,200円の場合、夜間は1,500円に。
4位 働きたいときに働ける/自由に休みがとれる
- すぐに仕事につける(女性 電子部品の組み立て)
- 都合のよい1日だけでも働ける(女性 日用品のピッキング)
- 前もって申請すれば休暇も取り放題なので、プライベートが充実します(女性 エアコンの組み立て)
工場・製造業の派遣社員で働くメリット4位は、「働きたいときに働ける/自由に休みがとれる」でした。
正社員とは違い、派遣は職場にしばられることがないからです。
- 本業が休みの週末だけ
- 大学の長期休みのとき
- 子どもが学校に行っている間だけ
- 暇なときに単発で
など、勤務日数も時間も期間も自由に選べます。
派遣登録だけしておけば「今週末働きたい」といった希望も出せますし、中~長期で勤務している場合でも、事前に申請すればすきなときに休めます。
会社や仕事に縛られず自由に働きたい人や、プライベートを充実させたい人に工場派遣はおすすめですよ。
5位 楽しい仕事ができる
- 和洋菓子とパン工場だったので、おいしそうな商品ができあがる過程を見ているのが楽しかった(女性 食品工場の製造補助)
- 車好きな人は面白いと思います。私もこの仕事で初めて車のパーツを見た時はすごく感動しました(男性 車のパーツの仕分け)
工場・製造業の派遣社員で働くメリット5位は、「楽しい仕事ができる」でした。
正社員の場合、所属する部署や職務は会社が決めます。一方、派遣ならその都度自分のやりたい仕事を選べるからです。
「スイーツを作る工場で働いてみたい」「毎日車に触れる仕事がしたい」など、自分の興味がある仕事やすきな仕事ができるため、楽しく働けます。
工場・製造業の派遣社員で働くデメリット
最後に、工場・製造業で働く派遣社員のデメリットについても見ていきましょう。
単純作業なので飽きやすい
- 毎日同じこと繰り返しなので飽きてしまう(女性 自動車パーツの目視検査)
- 同じ作業をずっと続けないといけないので時間経つのが遅くて苦痛に感じる(男性 自動車のシート製造)
単調な作業であるがゆえに、仕事に慣れると飽きてしまう、との声が多く聞かれました。
自分の作業分担が決まっており、同じ作業の繰り返しになってしまうためです。
ライン作業の場合は、場所の移動もないため気が紛れず、時間の経過を遅く感じるという人も多くいました。
飽き性の人が工場・製造業の仕事をする場合は、単発や短期派遣を選んで、定期的に職場を変えるのもおすすめです。
暑いまたは寒い
- 夏はサウナのように蒸し暑いため脱水症状になりやすい(女性 クリーニング工場)
- 空気環境が悪い。とても暑いので毎日の体調管理は必須(男性 自動車部品の溶接)
- 場所によっては、夏は暑くて冬は寒い(男性 工場内機械の巡回)
工場はオフィスワークと違い、暑かったり寒かったりと室内環境が良くないケースもあります。
扱う商品によっては、工場内の温度を低く保っていたり、機械の放熱によって室温が上がったりすることも多いからです。
たとえば、冷凍・冷蔵食品を扱う工場は、室温を低く設定しています。
逆に暑いのは、大きな機械が稼働している工場や自動車製造工場などです。
工場が広くてエアコンがききにくい、莫大な光熱費がかかるためエアコンを最低限の稼働にしている、といった理由もあるようです。
熱中症予防や暑さ・寒さ対策を行って、体調を崩さないようにしましょう。
また、寒いのが苦手、暑いのが苦手といった方は、職場環境についてコーディネーターに希望を伝えておくといいですね。
トイレに行きにくい
- ベルトコンベアーに合わせた作業だったので、トイレに行きたいときは代わりの人が来るまで待っていなくてはならず、長時間は大変だった。いちいち代わりの人を呼ばなくてはいけないのも嫌だった(女性 ケーキ製造)
- 機械製造なので、トイレで交代を頼むのに気を使います(男性 プラスチック製品の製造)
切実な問題として多かったのが、自由にトイレに行けないことです。
ライン作業の場合、持ち場を離れるときは、代わりの人に入ってもらう必要があるからです。
とくに女性は、お手洗いにいくことを毎回人に知らせるのは、抵抗がありますよね。
また、トイレが近い人は申し訳なく感じてしまうかもしれません。
トイレ問題は、オフィスワークにはないデメリットと言えます。
同僚とのコミュニケーションが少ない
- マスクや防護服みたいなものを着ているので、あまり周りとコミュニケーションはとれませんでした(女性 お菓子の仕分け)
- 同僚とのコミュニケーションがあまりないので、少し寂しく感じる(女性 電子部品の組み立て)
同僚とのコミュニケーションがあまり取れないことにデメリットを感じている人がいました。
ライン作業は、和気あいあいと会話をしながら働く環境ではないからです。
理由としては、「自分が遅れるとラインが止まってしまう」、検品・検査は「間違いがあってはいけないため集中力が必要」などが挙げられますね。
また工場によっては、私語禁止のところもあります。
人見知りな人や人との関わりが面倒な人からは「人間関係がラク」と人気の工場・製造業ですが、人との交流が好きな人にはもの足りない環境かもしれません。
まとめ
工場・製造業の派遣社員は、「単調作業で飽きる」「空調が快適でない」などのデメリットもありますが、
- 気楽に働きたい
- てっとり早く稼ぎたい
- 今すぐ働きたい
といった人にはピッタリです。
日払いや週払いが可能な派遣会社も多いので、お金が必要なときにサクッと稼ぎたい方にもおすすめです。
工場派遣に興味がある方は、気軽に始められて気軽に辞められる「単発」や「短期派遣」から試してみてはいかがでしょうか。
工場・製造業の仕事を探すのに適している派遣会社は以下でも検索できますので、ぜひご活用下さい。
最後に当記事の編集者、石川玲子氏からアドバイスのコメントをいただいたので紹介します。
工場派遣で働く際の参考にしてみてください。
ひとことで「工場」といっても、大きな機械を作る工場から、小さな機械を作る工場、あるいは食品や化粧品、衣類を作る工場など、作っているものはさまざまです。
また同じ工場の中でも、中に入れる小さなパーツを組立てる仕事もあれば、重たい材料を機械に投入する仕事など、全く違う種類の仕事があります。
そのため、工場で働くといっても、実際に何をするのかで、仕事の大変さやりがいが大きく変わります。
一方で、お客さまの前に出るわけではないため、服装にあまり気をつかう必要がないことや、作業を教える仕組みが整っていることから、未経験でも始めやすいことなどは、ほとんどの工場で共通している部分です。
工場での仕事を充実したものにするためには、働く工場や場所によって何が変わるのかを事前に確認し、自分はどんな条件の場所で働きたいかをしっかりと考えておくと、希望する働き方に出会える確率が高くなると思います。
この記事に書かれている内容を参考に、より理想に近い仕事を探してみてください。
■監修者プロフィール
石川玲子氏
工業、製造業を専門とするフリーライター。工学部機械工学科を卒業後、自動車関係企業や、電器機器メーカーにてエンジニアとして勤務。出産を機に退職し、工業系エンジニアライターとして、工業系の記事の執筆を行っている。