- 正社員に受からないから派遣で働こうかな
- やりたい仕事が見つからない…とりあえずつなぎで派遣になろうかな
さまざまな理由から、新卒で派遣社員になろうと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、「新卒派遣って世間的にどうなの?」「負け組と思われそう…」と気になって躊躇してしまう人も多いと思います。
結論からいうと、新卒で派遣社員になる選択肢は”あり”です。
なぜなら新卒で派遣社員になることには、
- 正社員よりも仕事につきやすい
- 自力で入ることが難しい大手企業で働けるチャンスがある
- いろいろな仕事を経験できるため自分に合った仕事が見つかる
といった正社員にはないメリットがたくさんあるからです。
当記事では
- 新卒で派遣社員になるメリット・デメリット
- アンケート結果からわかった新卒派遣の実態
- 派遣社員から社員になる方法
などについて解説していきます。
新卒で派遣社員になろうか迷っている人が、これからどうすればいいのか決断できる内容となっています。
ぜひ最後まで読んでみてください。
派遣で働く新卒者の割合
派遣社員になろうかな…と考えている新卒者の中には、
「新卒から派遣で働く人って実際どれくらいいるの?」
と気になる方もいるのではないでしょうか。
厚生労働省が発表した「若年者雇用実態調査の概況」によると、最終学校卒業から1年間に「正社員以外の労働者として勤務した人」の割合は平成30年で24.0%となっています。
「正社員以外の労働者」にはアルバイトなども含まれるため、派遣社員になった割合はもう少し減りますが、4人に1人は新卒で正社員にならないということがわかります。
「正社員にならなかった理由」は以下の通りです。
正社員以外の労働者として勤務した理由 | 平成30年調査 | 平成25年調査 |
---|---|---|
正社員求人に応募したが採用されなかった | 23.4% | 27.4% |
自分の希望する条件に合わなかったので正社員として勤務しなかった | 10.7% | 9.0% |
自分の希望する会社で正社員の募集がなかった | 11.2% | 16.7% |
正社員として働くことが、体力的・精神的に厳しかったから | 5.6% | 3.5% |
家庭の事情 | 7.0% | 4.5% |
資格・技能などを身につけるため勉強したかった | 9.1% | 8.6% |
試みの採用期間、研修期間だった | 5.3% | 6.0% |
元々、正社員を希望していなかった | 18.8% | 15.4% |
その他 | 7.9% | 8.0% |
不明 | 1.0% | 0.8% |
正社員にならなかった理由で多いのは、「正社員求人に応募したが採用されなかった」です。
しかし平成30年の調査では、前回の25年よりも「正社員求人に応募したけど採用されなかった」は4%減少し、反対に「元々、正社員を希望していなかった」は3.4%増加しています。
このことから、以前に比べ「あえて正社員以外の働き方を選んでいる人」が増えていると推測できます。
新卒派遣のデメリット4つ
ではまず、新卒で派遣になることのデメリットから紹介していきます。
1.世間体が悪い
新卒で派遣になることのデメリット1つ目は、「世間体が悪いこと」です。
厚生労働省の調査結果からもわかるとおり、新卒で正社員以外の仕事に就いた人の割合は24%と現時点では少数派です。
そのため、自分では納得して派遣の仕事を選んだとしても、「なんで派遣なの?」という目で見られる状況が少なからずあるからです。
また、誰かに何か言われたわけでなくとも、自分自身が正社員で働く友だちや兄弟・親戚などと比較して、劣等感をおぼえてしまう人も多いようです。
- 世間体が悪い。友達に負けている気がする
- 女性と比べて男性の派遣は「正社員が勤まらない何か問題がある人なのかな」と思われる風潮がある
- 周りから遊んでると思われることがある
2.収入が安定しない
新卒で派遣になることのデメリット2つ目は、「収入が安定しないこと」です。
時給制の派遣社員は、働く時間や日数によって収入が左右されるからです。
「でも派遣って時給が高いでしょ?」
と思う人もいるかもしれません。
たしかに派遣の時給は高いため、普段は正社員と同じかそれ以上の月給を得ることも可能です。
しかしゴールデンウイークや年末年始のような祝日が多い月は、勤務時間が減るため収入も減ります。
休みがあってもなくても月収が変わらない正社員に比べると、月々の収入が不安定な点は派遣社員のデメリットと言えます。
3.ボーナス(賞与)がない
新卒で派遣になることのデメリット3つ目は、「ボーナスがないこと」です。
ボーナス時期になると、同じ職場で働く正社員だけにボーナスが支給される様子を目にし、やりきれない気持ちになる人は多いようです。
派遣社員の時給にはボーナスに相当する金額も上乗せしているケースが多いため、月給ベースでは新卒の正社員より高いケースも少なくありません。
しかし給料の1~2ヶ月分を年に2回もらえる正社員と比べれば、やはりトータルの年収は低い傾向があります。
そして何よりも、同じ職場なのに「正社員はボーナスが出る、派遣社員には出ない」という差に不満を感じてしまうようです。
2020年4月の派遣法改正によって、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消するため「同一労働同一賃金」が導入され、派遣社員にもボーナスや交通費が支給されるようになりました。
ただし支給方法は、待遇決定方式や就業規則によって異なるため、派遣会社や担当者へ確認するようにしましょう。
4.雇用が安定しない
新卒で派遣になることのデメリット4つ目は、「雇用が安定しないこと」です。
派遣は、働く期間に期限がある「有期雇用」なので、ずっと同じ職場で働き続けられないからです。
基本的に、同じ会社の同じ「課」で働ける最長期間は3年と決まっています。
また、3年はあくまでも最長期間。たとえあなたが3年間働きたくても、派遣先が契約更新を望まなければ数ヶ月で終了になることもあります。
そもそも3ヶ月や6ヶ月といった、はじめから短期間の求人もあります。
契約終了になれば、また新たに仕事を探さなければなりません。
一昔前とちがい「正社員なら一生安泰」とは言えませんが、派遣社員の雇用は正社員以上に不安定であることは事実です。
- いつ派遣切りになるかわからない
- 自分が同じところで働き続けたいと思っても勤務会社と一致しなければ働けず、また新しい仕事を探さなければならない
新卒派遣のメリット5つ
紹介してきたように、新卒派遣のデメリットはありますが、それを上回るメリットもたくさんあります。
この章では新卒派遣のメリットを5つ紹介します。
1.正社員よりも就職活動がラク
新卒で派遣になることのメリット1つ目は、「正社員よりも就職活動がラクなこと」です。
派遣の場合、最初に経歴・スキル・希望条件を登録すれば、派遣会社があなたに合う仕事を継続的に探してくれるからです。
そのため正社員のように、
といった時間や手間のかかる工程はありません。
また、派遣でも派遣先の企業と顔合わせ(面談)をすることはありますが、面談の結果、不採用になるケースは少ないです。
そもそも派遣会社は、「派遣先企業の要望に合った人材」としてあなたを派遣先に紹介しているためです。
つまり、顔合わせの時点であなたは企業が求める条件をクリアしているため、不採用になる確率が低いというわけです。
新卒就活生に比べ、仕事に就くハードルは格段に低いと言えます。
2.正社員に比べて責任の軽い仕事が多い
新卒で派遣になることのメリット2つ目は、「正社員に比べて責任の軽い仕事が多いこと」です。
派遣社員は雇用期間が短いため、成果を求めたり責任の伴う仕事を任せたりしにくいからです。
たとえばアパレルショップの販売員の場合、「正社員には売上目標やノルマがあり、派遣社員にはない」というケースも少なくありません。
オフィスワークにおいても、正社員は成果を求められるケースも多いですが、派遣社員は与えられた仕事をきちんとこなせばOKなことがほとんどです。
やりがいをもってバリバリ働きたい人にとっては物足りなく感じるかもしれませんが、「責任のある仕事はしたくない」「言われたことだけやる仕事の方がラク」といった人には、働きやすい雇用形態と言えます。
- 正社員ほど責任のある仕事がなかったのでストレスが少ない
- 言い方は悪いかもしれないが、会社員に比べ軽い気持ちで働ける
3.自力で入るのが難しい大手企業で働けるチャンスがある
新卒で派遣になることのメリット3つ目は、「自力で入るのが難しい大手企業で働けるチャンスがあること」です。
大手企業で働きたくても、「私にはムリ」とあきらめている人は多いと思います。
大手や優良企業は倍率が高く、高学歴や優秀な人材でないと採用は難しいからですよね。
しかし、大手企業のなかには派遣社員を積極的に採用しているところも多いため、派遣社員としてなら雇用のチャンスは広がります。
大手企業が派遣社員を積極的に採用する理由は、
- 派遣社員の方が、人件費がかからない
- 期間限定で雇える
のように、どちらかというとネガティブなものですが、それでも誰もが知るような有名企業で働いてみたい人にとっては魅力的ではないでしょうか。
大手企業の派遣先を希望するなら、多くの大手取引先を要する派遣会社への登録を考えていきましょう。
大手派遣会社を探す際には、「大手派遣会社ランキング|172人の口コミ調査で大手6社を徹底比較」の記事も参考にしてみてください。
4.自分に合った仕事を探せる
新卒で派遣になることのメリット4つ目は、「自分のやりたい仕事が見つかりやすいこと」です。
正社員の場合、「せっかく入社できたんだから」「すぐに辞めると経歴が傷つく」「退職手続きが面倒」といった理由から、転職へのハードルが高くなりがち。
一方派遣は、「仕事に就くこと」や「辞めること」が正社員にに比べて簡単なので、気になる仕事は実際に経験してみて、合わなければ他の仕事に挑戦することが気軽にできます。
また、派遣会社にはプロのコーディネーターがいて、就業やスキルアップの具体的なアドバイスがもらえるのもメリット。
幅広い職種を扱う大手の派遣会社なら、たくさんの求人の中から自分では思いつかなかった仕事が見つかる可能性もあります。
本当に自分に合う仕事を見つけるための手段として派遣で働くことは良い選択ですよ。
- やりたい事がなかったので派遣で3社ほど経験をし、自分に合う職種が見つかった。同じ会社でずっと働くよりもたくさんの会社を見られて良かった。人間関係も勉強になり良いことが多かった
- 新卒時、自分の本当にやりたいことや合う仕事が分からなかったので派遣の道を選んだ。色々な業種を体験したおかげで合う合わないが精査され、現在専門的な分野でやりがいもって働いている
5.入職時研修やスキルアップ講座が受けられる
新卒で派遣になることのメリット5つ目は、「入職時研修やスキルアップ講座が受けられること」です。
平成27年の派遣法改正で、派遣社員への教育訓練の実施が義務づけられたことから、大手派遣会社の多くは入職時に「ビジネスマナー」や「職種ごとの研修」を行っているからです。
たとえば大手派遣派遣会社のテンプスタッフでは、下記のような研修を実施しています。
「新卒で派遣社員になると、新人研修を受ける機会を失ってしまう」と思うかもしれないですが、そんなことはありません。
むしろ、新卒の正社員に新人研修を行っている企業は大手などごく一部で、新入社員が数名の中小企業で行っているケースは多くはありません。
派遣の場合、教育訓練の実施が義務づけられているため、コンプライアンスを遵守している下記のような派遣会社であれば受けられます。
また上記派遣会社には、就業前研修以外にもパソコン操作、語学・簿記・ITエンジニアなどさまざまなスキルアップ講座があります。
職場で実践を積みながら並行して講座を受けることで、本当に自分の身になるスキルを身につけられますよ。
新卒におすすめの派遣会社3選
この章では、新卒の方が登録するのにおすすめの派遣会社を厳選して3社紹介します。
【テンプスタッフ】”新卒歓迎”の事務職求人が豊富
- 新卒向けの就職サポートを行っている
- 「新卒歓迎」の求人が豊富
- 担当者の対応が良さに定評がある
新卒で派遣をする人におすすめなのはテンプスタッフです。
テンプスタッフでは、新卒の方を対象とした就職サポートを行っています。
就職活動の進め方、エントリーシートの書き方など、一人では難しい就活をしっかりサポートしてもらえますよ。
また、テンプスタッフは「新卒・第二新卒歓迎」の事務職求人が豊富なのも特徴。
「どんな仕事をすればいいかわからない」という人も、キャリアコンサルタントがスキルや適性・興味などからピッタリのお仕事を紹介してくれます。
担当者の親身な対応にも定評のある信頼できる派遣会社です。
テンプスタッフの基本情報
求人数 | 59,111件(調査日:2022年9月15日) |
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対応地域 | 全国 |
職種 | 一般事務、データ入力、営業事務、旅行事務、経理・財務事務、英文事務、貿易事務、金融・証券事務、医療事務、保険事務、受付、秘書・セクレタリー、翻訳、通訳、テレマーケティング、営業、販売、システムエンジニア、プログラマー、運用管理、CAD、設計、OAインストラクター、WEBクリエイター、DTP、その他デザイン、編集、映像制作、音楽制作、ゲームクリエイター、研究開発、臨床開発、軽作業、物流、運転、設備管理、自動車整備、ピットメカニック、保育、介護、栄養士、調理師 |
労働者派遣事業許可番号 | 派13-010026 |
登録・面談方法 | WEB登録・電話登録・来社登録から選択可 |
【スタッフサービス】求人数は15万件以上!やりたい仕事がすぐに見つかる
- 求人数は派遣会社のなかで群を抜いて多い
- 事務職から工場、専門職まで職種が豊富
- スキルアップ支援が充実
スタッフサービスグループには以下4つの専門サイトがあり、グループ全体の求人数は15万件超と派遣会社のなかでも圧倒的な数を誇ります。(2023年9月時点)
- オフィスワーク(オー人事)
- IT&もの作りエンジニア(エンジニアガイド)
- 医療・福祉系(スタッフサービス・メディカル)
- 製造・工場・軽作業系(働くナビ!)
女性に人気のオフィスワークから、ITエンジニア、介護・看護などの医療系職種、製造系まで、あらゆる職種を扱っています。
全都道府県に営業拠点があるため、都市部はもちろん地方でも仕事が見つかりやすいのもメリット。
コンプライアンスが徹底されているリクルートグループの派遣会社なので、社会保険や各種休暇など福利厚生の面でも安心です。
ビジネスマナーやパソコンといった無料講座も充実しているので、派遣で働きながらスキルアップし、いずれは正社員を目指したい人にもおすすめですよ。
スタッフサービスの基本情報
求人数 | 153,006件(調査日:2023年9月3日)※グループ全体 |
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対応地域 | 全国 |
職種 | 一般事務、OA事務、データ入力、営業事務、経理事務、総務事務、人事事務、貿易事務、金融事務、英文事務、通訳、翻訳、受付、秘書、電話業務、インストラクター、営業、販売、介護・ヘルパー、看護師、医療事務、介護、軽作業、機械操作、物流、運搬、システムエンジニア、プログラマー、運用管理・保守、WEBデザイナー、DTP、ヘルプデスク、ものづくり系エンジニア、化学分析 |
労働者派遣事業許可番号 | 派13-011061 |
登録・面談方法 | WEB登録・来社登録のどちらかを選択 |
【パソナ】利用者満足度が高く福利厚生も充実
- 利用者の満足度が高い
- 大手や人気企業の求人が豊富
- ポイント制度・優待サービスなど福利厚生が充実
パソナは、数ある派遣会社のなかでも福利厚生が非常に充実しているのが特徴。
各種保険や有給休暇はもちろん、定期検診、レジャー・ジムの優待サービスなど、国内トップクラスの福利厚生を用意しています。
派遣と聞くと「正社員より待遇が悪い」というイメージをもつ人も多いかもしれませんが、そんな概念も覆されることでしょう。
「無料eラーニング」や「英語学習サービス」などスキルアップ支援も充実しているため、キャリアアップを目指す人にもおすすめですよ。
さらにパソナは、担当者の対応、仕事のマッチング度、時給などにおいて高い満足度を誇っており、「月刊人材ビジネス」のスタッフ満足度調査で上位入賞の常連となっています。
公私共に充実させたい新卒の方は、ぜひパソナを利用してみてください。
パソナの基本情報
求人数 | 14,179件(調査日:2022年9月15日) |
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対応地域 | 全国 |
職種 | 事務・オフィスワーク、外国語事務、営業、販売、接客、テレマーケティング、IT、CAD、クリエイティブ、製造、作業、ヘルスケア、医療、保育、介護、医薬、臨床、研究開発 |
労働者派遣事業許可番号 | 派13-304674 |
登録・面談方法 | Web面談・来社面談のどちらかを選択 |
派遣登録から仕事スタートまでの流れ
派遣の仕事を始めるためには、まずは派遣会社に登録をします。
登録から仕事開始までの流れは以下の通りです。
- 派遣会社に登録
- 求人に応募
- 派遣会社の社内選考
- 派遣先会社との顔合わせ
- お仕事スタート
派遣は仕事を始めるのが簡単
派遣は仕事を始めるまでのプロセスが簡単です。
WEB上でほとんどの手続きが完了し、派遣先企業とのやりとりは派遣会社が行ってくれるからです。
1度派遣登録をすれば、派遣会社の検索サイトから求人に応募できますし、あなたに合った求人が出れば担当者が連絡してくれます。
また、応募のたびに履歴書や職務経歴書を用意する必要もありません。
新卒派遣なら「未経験OK」の求人に応募しよう
新卒派遣の人は「未経験OK」や「スキル不要」の求人に応募しましょう。
経験を問われる求人は、社内選考で不利になる可能性があるからです。
一度でも仕事をすれば次からは経験者として応募できるので、まずは採用されそうな仕事から選んで実績をつくりましょう。
ただし社会人経験がなくても、アルバイトで事務経験やサービス業の経験がある人は派遣会社の担当者にアピールしておくとよいです。
アルバイト経験がスキルとして認められることもありますよ。
初めて派遣登録する際は、「派遣会社の選び方から派遣登録まで一連の流れ」についての解説記事もあるので、あわせて参考にしてみてください。
新卒派遣から正社員になれる方法2つ
新卒で派遣になる人のなかには「本当は正社員になりたいけど仕方なく」という人も多いと思います。
でも安心してください。新卒派遣からでも正社員になれる方法が2つあります。
「紹介予定派遣」と「常用型派遣」です。
派遣先企業の社員になれる「紹介予定派遣」
紹介予定派遣は、派遣期間が終わったあとに、派遣社員と派遣先企業双方の合意があれば、そのまま派遣先の社員になれる派遣形態です。
最長6ヶ月の派遣期間中に、企業風土や仕事内容が自分に合っているかどうか見極められます。
派遣先企業から断られるケースも、派遣社員の方が断るケースもあるため、すべての人が社員になれるわけではありません。
しかし、当メディアが紹介予定派遣で働いたことがある402人に行ったアンケートでは48%が「社員になった」と回答していることからも、チャンスは大きいと言えます。
注意点としては、紹介予定からの社員登用は「正社員」だけでなく「契約社員」のケースもある点です。
紹介予定派遣を受ける前に「正社員」になれるのか「契約社員」になれるのかを確認してください。
派遣会社の社員として働く「常用型派遣」
常用型派遣(無期雇用派遣)とは、派遣会社の正社員になって派遣先企業で働くことです。
一般的な派遣(登録型派遣)は、派遣先企業で勤務することが決まると派遣会社と雇用契約を結び、派遣期間が終わると雇用契約は解消します。
そのため働いていない期間は給与が出ません。
しかし常用型派遣は、派遣会社の正社員として派遣先企業に派遣され、派遣期間が終わり派遣されていない期間中は、スキルアップやビジネスマナーなどの研修が受けられ、その間も給料は支給されます。
また、交通費や年2回ボーナスが支給されることもあります。
さらに、常用型派遣には3年以上同じ派遣先企業で働けないという「3年ルール」が適用されないので、同じ派遣先で長い期間働くことも可能です。
派遣会社の正社員になるため、一般的な派遣社員になるよりもハードルは高いものの、派遣社員よりも安定性があり、社会的な信用度も高いです。
ただし、派遣会社の社員であっても派遣先の企業にとっては一般的な派遣と同じなため、派遣という立ち位置は変わりません。
「登録型派遣」に興味がある人は、メリット・デメリットを比較したうえで応募してください。
新卒で派遣になってよかったと思う人は41%
新卒で派遣社員になった59人に「新卒派遣になってよかったと思いますか?」と質問してみました。
結果は「思う」が41%(59人中24人)、「思わない」が59%(59人中35人)でした。
新卒派遣になってよかった人の口コミ
- じっくり時間をかけて自分にどんな仕事が向いているのか向き合う時間ができた
- いろいろ体験できたのと、自分の中で選択肢が増えた
- 派遣社員なりたては、経験も浅く職種も限られているが、経験を積むに連れ職種の幅も広がり様々な職種の経験と自身のキャリアアップにも繋がった
「たくさんの経験が積めた」「視野が広がった」「自分のやりたい仕事が見つかった」など短期間で職場が変わる派遣だからこそのメリットを感じている人が多くいました。
派遣を永住の地ではなく「経験やスキルを積むための期間・場所」と前向き捉えている人にとっては、有意義な時間となっていることがわかります。
新卒派遣になってよかったと思わない人の口コミ
- 収入や待遇がしっかりしている正社員の方が安定する
- 慣れてきた頃に職場が変わったり、会社の都合でクビを切られやすかったりする
- 誰でもできる仕事、責任感がない仕事も多かったため、スキルアップにならず時間を無駄にしたと感じる
収入や雇用が安定しないことに不安を感じている人が多くいました。
また、「気楽だけど重要な仕事を任されないため、やりがいを感じられない」、「正社員との待遇の差を感じる」といった声も聞かれました。
「本当は正社員で働きたいけど仕方なく派遣をしている」という人は、正社員と派遣社員の差を職場で直に感じるため、自分の置かれている環境に不安や不満を覚えてしまうようです。
正社員を辞めて派遣社員になった人の声
次は、新卒で就職したものの、3年以内に退職し派遣社員になった経験のある56人に「なぜ派遣社員になったのか」また、「正社員と派遣はどちらがおすすめか」について聞いてみました。
次の仕事が見つかるまでのつなぎで派遣をしている人が多い
まずは、正社員を辞めて派遣社員になった人に「なぜ派遣社員になったのか」と質問したところ、以下のような回答が得られました。
- パワハラ・サービス残業などが原因で退職したから
- リストラにあったから
- 長期休暇をとりたかったから
- 正社員で働くことに疲れたから
- 正社員より気楽で自由な派遣で働きたいから
パワハラ・セクハラ・サービス残業など職場環境が悪いことから退職したり、リストラされたことがきっかけで派遣社員になった人が多くいました。
しかし、上記の理由で辞めた人の多くは、「次の正社員の仕事が見つかるまでのつなぎとして」または、「正社員の仕事が見つからないから仕方なく」派遣を選んでいます。
一方で、疲労から心身を病んだり疲れてしまった人の中には、正社員よりも気楽に働ける派遣社員の道を選んだ人もいました。
つなぎ派遣について詳しく知りたい方は、「次の転職先が決まるまでのつなぎに派遣で働く場合のメリット・デメリット」の記事を参考にしてみてください。
新卒派遣より正社員をオススメする人のほうが多い
新卒で正社員を経験し、その後3年以内に派遣社員となった56人に、「正社員」と「新卒派遣」どちらがオススメなのかを質問しました。
結果は、正社員をおすすめする人が54%(56人中30人)とわずかに上回りました。
正社員の方がオススメと回答した人の口コミを紹介します。
- 給与面、福利厚生面で派遣社員より待遇がいいから
- 正社員の方が福利厚生しっかりしていてボーナスや手当も多くて生活が安定するから
- 働く環境や一緒に働く人間関係が大きく変わらないので、働きやすい
- ボーナスや退職金があり、派遣よりリストラされにくい
正社員をオススメしている人の多くが「安定性」と「福利厚生がしっかりしている」ことを挙げていました。
新卒のうちは派遣社員の方が給与は良いとしても、長い目で見ると「昇給やボーナスがあって福利厚生も整っている正社員のほうが安心」と思う人が多いようです。
ただし、2020年4月から労働派遣法の改正による「同一労働同一賃金」制度が導入されたことによって、正社員と非正規社員とのあいだにある不合理な待遇差の改善が進んでいます。
反対に「派遣社員」をオススメしている人の口コミも紹介します。
- 様々な職種に挑戦しやすく、責任も正社員ほどないのでストレスなく仕事ができる
- 自分の都合で働ける
- 派遣会社の方がフォローしてくれるため、精神的に安心して働ける
- 対人関係に恵まれない職場を多く経験したので、契約更新する自由がある派遣の方が自分に向いていると感じた
「気持ちがラク」「合わなかったら辞めやすい」「自由度が高い」といった点に魅力を感じている人が多いとわかりますね。
まとめ
今の時代、新卒で正社員だから勝ち組、派遣社員だから負け組という考え方はナンセンスかもしれません。
- 色々な仕事を経験するなかで自分に合った仕事を見つけたい
- 実践を積んでスキルを身につけたい
上記のように目的がハッキリしている人にとって、正社員の転職よりも簡単に仕事を変えられる派遣の雇用形態は、むしろメリットとなるからです。
また、「プライベートを充実させたい」「仕事中心の生活になりたくない」と考える人にとっても、働き方の自由度が高い派遣はおすすめの雇用形態です。
一方で、仕方なく派遣を選んだ人の多くは、正社員と比べた派遣のデメリットばかりが目につき、不満を感じてしまいます。
もし、本当は正社員になりたいにも関わらず、就活が上手くいっていないのであれば、就活生向けエージェントサービスの活用も考えていきましょう。
働くうえで何に重点を置くかは人それぞれ違います。
新卒で派遣社員になろうか悩んでいる人は、新卒派遣のメリット・デメリットを見て、自分にはどのような働き方が合っているのか考えてみてくださいね。
少し前の日本では、”ひとつの会社で定年まで働き続ける”という終身雇用の考え方でしたが、今はどちらかというと”様々な会社で経験を積み、常に自身のスキルアップとキャリアアップをしていく”という考え方が広まりつつあるといえます。
その中で、派遣社員という働き方は様々な会社で様々な経験ができることからメリットがあるといえるでしょう。
雇用形態による符号ちな格差を禁止する制度は着々と整備されているため、今まであがってきたようなデメリットも今後は少なくなっていくことが考えられます。
”新卒で派遣なんて・・・”と思う必要はありません。
自身のライフプランやキャリアプランにあった雇用の選択をしていくことが大切だといえるでしょう。
■監修者プロフィール
社労士事務所志代表
村井志穂(むらいしほ)氏
【社会保険労務士会登録番号】第23210035号
【愛知県社労士会登録番号】第2313540号
椙山女学園高等学校 椙山女学園大学卒業
人事労務関連のソフト会社に入社後、カスタマーサポート・マーケティング・システム開発に携わる。
社会保険労務士資格取得後は、システムエンジニアとして勤めつつ、自身の事務所を開業。システム開発の経験を活かした、Office製品を利用した業務効率化ツールの提供も行っている。
本記事で利用したアンケート調査
- 調査対象:新卒で派遣社員になった経験がある人
- 調査期間:2020年3月26日~28日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:59人
- 調査対象:新卒で正社員になった後、3年以内に派遣社員になった経験がある人
- 調査期間:2020年3月28日~30日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:56人