- 「派遣社員の短期契約って不利なの?」
- 「できるだけ長期間派遣として働きたいけど、ずっと派遣で働ける?」
- 「派遣の契約更新期間ってみんなどれぐらい?」
これから派遣社員として働こうとしている人の中には、更新期間や契約期間が気になっている人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、派遣社員の契約更新期間は3ヶ月または6ヶ月単位が多いです。
口コミアンケート調査の結果、「初回の契約期間」「2回目以降の契約更新」ともに、約7割の派遣社員が3ヶ月もしくは6ヶ月単位で契約しているという回答を得られたからですね。
同じ派遣先で2回以上契約更新をしたことがある派遣社員の経験者59人へ行った「初回の契約期間」と「2回目以降の契約更新期間」の口コミアンケート結果を観ていただければ一目瞭然です。
- 調査対象:同じ派遣先で2回以上契約更新した経験のある方
- 調査期間:2020年2月19日~2月20日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:59人
・・・しかし、「みんなが選んでいるからと、本当に3ヶ月や6ヶ月が良いのか?派遣会社側の都合なだけで本当は他の契約期間のほうがお得なのではないのか?」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
当記事では、
- 各契約更新期間のメリットとデメリット
- 同じ派遣先で3年以上働けない理由と延長方法
- 派遣社員経験者の契約更新期間や勤務期間についての口コミアンケート調査結果
などを紹介しています。
この記事を読み終わる頃には、「なぜ、3ヶ月や6ヶ月単位での更新が人気なのか?」に合わせて、「あなたが何ヶ月の契約期間を選べば良いのか」を明確にイメージできているでしょう。
初回の契約期間1ヶ月2ヶ月のメリット・デメリット
初回の1ヶ月や2ヶ月契約にはメリット・デメリットがあります。
- ●メリット
- ・万が一仕事が合わなくても辞めやすい
- ●デメリット
- ・契約更新されなかったら次の仕事探しの時間がほとんどない
・当初は社会保険に加入できない
それぞれのメリット・デメリットについて詳しく説明していきます。
初回1ヶ月・2ヶ月契約のメリット
契約期間1ヶ月や2ヶ月は派遣先の職場が合わない場合に辞めやすい
初めての職場で「ちゃんと仕事ができるだろうか?」「職場に合うだろうか?」と不安な人も多いと思います。
契約期間1ヶ月や2ヶ月と短期間の場合、「派遣先の職場が合わない場合に辞めやすい」というメリットがあります。
初回の契約期間を1ヶ月や2ヶ月に設定しているのは、試用期間を踏まえているケースがあるからです。
「仕事が合わない」「職場の雰囲気に馴染めない」といった理由でも、契約更新しないという方法でカンタンに辞められます。
また、キツイ仕事だったとしても1ヶ月や2ヶ月であれば我慢できる人もいるでしょう。
初回の契約期間は短期になるほど、派遣先が合わない時に早く辞められるので、新しい職場が不安な人にピッタリの契約期間と言えます。
ここまでの話で、「お試しなら1週間や2週間の契約期間でも良いのでは?」と考えた方もいるのではないでしょうか。
派遣社員の最短契約期間は1ヶ月(31日)となっていて、1ヶ月未満の契約期間は一部の例外を除き存在しません。
30日以内の契約期間は日雇い派遣に該当し、日雇い派遣は労働者派遣法で一般的には禁止されているからですね。
お試しのために、30日以内の契約期間とすることはできないので注意してください。
初回1ヶ月・2ヶ月契約のデメリット
契約更新がない場合、次の仕事探しにかけられる時間はほとんどない
1ヶ月・2ヶ月契約だと、契約更新がない場合に次の仕事探しへかけられる時間がほとんどありません。
更新されないと、契約終了までの2週間~1ヶ月の間に次の仕事探しをしなければいけないからですね。
具体的には、
- 1ヶ月契約だと「就業してから約2週間」
- 2ヶ月契約だと「就業してから約1ヶ月」
で契約更新の判断があります。
2週間~1ヶ月の期間があるのはまだ良いほうで、契約終了ギリギリになるまで契約更新の連絡をしてくれない派遣会社もあります。
その場合は当然ですが、仕事探しにかけられる時間はさらに少なくなりますね。
初回の1ケ月契約で更新なしの判断が出た。派遣されて2週間での判決。もう疲れた。
— はなにゃん (@hananyan0123) February 28, 2019
今の職場派遣なんだけど、最初は1ヶ月更新ね~ていわれてて7末までのいったん契約なんだけどまだ8月からの更新決まってない( ˙-˙ )はやくして
つんつん— こふく (@ballroom_fuku) July 16, 2019
初回1ヶ月・2ヶ月は社会保険に加入できない
初回1ヶ月または2ヶ月の契約期間は、社会保険に加入できません。
なぜなら当初は「健康保険」や「厚生年金」の加入対象とならないからですね。
健康保険・厚生年金の加入条件
- ●一般雇用者
- ・1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上(30時間以上)
・契約期間が2ヶ月を超える、または2ヶ月を超える見込みがあること - ●短時間雇用者
- ・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金月額が8.8万円以上(年収約106万円以上)
・1年以上の使用見込みがあること
・従業員501名以上(500人以下でも労使合意があれば加入対象)
・学生でないこと
ただし雇用保険に関しては、派遣社員の契約期間が基本的に加入条件を満たすため、加入する必要があります。
【雇用保険】
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上雇用される見込みがあること
ちなみに、1ヶ月更新や2ヶ月更新であっても、長期勤務の見込みがある人は社会保険へ加入できます。
もし社会保険に加入したい場合は、社会保険へ加入可能な契約期間にできるか、派遣会社へ相談してくださいね。
3ヶ月契約のメリット・デメリット
派遣の契約期間で多い3ヶ月更新ですが、メリットとデメリットがあります。
- ●メリット
- ・自分に合った仕事か判断するのに適した期間
・転職活動や妊活などの繋ぎとしてちょうどいい
・すぐに社会保険に加入できる - ●デメリット
- ・景気や派遣先の経営状況が影響して契約更新されない傾向にある
・収入面と精神面が不安定
・契約更新の手続きが頻繁
それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
3ヶ月契約のメリット
仕事が合うかどうかを判断するのに適した期間
3ヶ月契約は、仕事が合うかどうかを判断するのに適した期間と考えられます。
今回の記事作成するにおいて行ったアンケート調査では、初回の契約期間で60人中31人と半数以上が3ヶ月契約を選んでおり、仕事が合うかどうか判断するのに適した期間だという口コミが多数あったからですね。
- 3ヶ月契約は仕事が自分に合っているかを確認できるメリットがあります。
- 3ヶ月だと自分に合った仕事内容かどうか見極められる。
- 3ヶ月単位で契約すれば、転職活動や正社員として働く前に自分の好みがわかり、仕事が合うかを知れます。
- 3ヶ月契約は、職場環境を把握するのに適した期間です。3ヶ月だと大体のことが経験でき、継続するか判断するのに適切な期間です。
初めの1ヶ月は仕事を覚える段階で、2~3ヶ月頃には仕事への慣れと職場の人間関係も構築でき、仕事が合うか合わないかにも気づけます。
仕事が合わないと気付く頃には、契約更新するか判断する時期になっているので、そのまま契約終了を選択すれば、合わない派遣先にダラダラ残らず済みますよ。
転職活動中や妊活の繋ぎとしてちょうどいい
転職活動中や妊活中の繋ぎにちょうどいいのが3ヶ月単位の契約期間です。
単発の仕事だと稼ぎにくいですし、逆に半年や1年の契約期間だと融通が利きにくく、柔軟に動けないからですね。
実際に3ヶ月単位で派遣契約をしたことがある49人に、3ヶ月単位の派遣契約のメリットについてアンケートを行ったところ、以下の回答を得られました。
- 3ヶ月単位で契約するメリットは、次の契約まで期間が短いので転職しやすい点です。
- 3か月契約なら、転職したい時などに退職しやすい。なぜなら、次の職場が決まってもあまり相手を待たせなくていいし、自分自身も引継ぎ期間で気持ちの切り替えができるからです。
- 3ヶ月という期間なら、妊娠中や引っ越し前など働ける期間の制限がある時でも働ける。
仕事が決まったり妊娠したりしてしても、3ヶ月契約なら契約終了までの期間も短く、スムーズに辞められますよ。
就業後すぐに社会保険に加入できる
3ヶ月契約で派遣社員として働く場合、就業後すぐに社会保険に加入できます。
なぜなら、3ヶ月契約は社会保険の加入条件である「2ヶ月を超えた契約期間」を満たすからですね。
「すぐに健康保険証が必要」「早く厚生年金に加入したい」という人は、3ヶ月更新の仕事なら社会保険に加入できますよ。
3ヶ月契約のデメリット
景気や派遣先の経営状況が影響して契約更新されない傾向にある
3ヶ月契約は、景気や派遣先の経営状況が影響して、契約の更新がされない傾向にあります。
「四半期の予算や業務量をチェックしてから契約更新できる」という理由から3ヶ月契約をベースにしている派遣先企業も多いためですね。
経営状態が良ければ契約更新、イマイチな場合は3ヶ月で契約更新しないことによって、売上や経営のバランス調整をしていきます。
経営状態が安定していない派遣先は、3ヶ月で派遣切りに合うリスクもあるので注意しましょう。
収入面と精神面が不安定
3ヶ月契約の場合、収入面と精神面が不安定になるというデメリットがあります。
なぜなら、
- 3ヶ月では生活が安定せずお金を貯められない
- 契約更新のスパンが短く3ヶ月毎に「契約更新してもらえるのか?」とヒヤヒヤしなくてはいけない
- 辞めると決まってから次の仕事を探すまでの時間的余裕が3ヶ月契約にはない
- 長期的な展望やキャリア設計が難しくて将来が見えない
といった不安をもたらすからですね。
3ヶ月単位で派遣契約をしたことがある49人に、3ヶ月単位の派遣契約のデメリットについてアンケートを行った結果、派遣切りや収入、将来に対する不安の口コミも多数挙がってきました。
契約更新の手続きが頻繁で面倒
3ヶ月契約だと、契約更新の手続きが頻繁で面倒です。
契約更新日の1ヶ月以上前に契約更新するかどうかの確認が行われるため、契約更新した後も1ヶ月程したら、また次の契約更新の話があるからですね。
契約更新のたび書類の提出が必要になるし、派遣会社の営業担当者とも頻繁に顔を合わせたり、連絡を取ることになります。
6ヶ月更新のメリット・デメリット
3ヶ月更新に次いで多い6ヶ月更新には以下のメリット・デメリットがあります。
- ●メリット
- ・収入面と精神面で余裕を持てる
・職歴にしやすい
・スキルを身につけられる - ●デメリット
- ・仕事や職場環境に慣れた頃に契約更新を迎えてしまう
・辞めたくても6ヶ月は我慢しなくてはいけない
それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
6ヶ月更新のメリット
収入面と精神面で余裕を持てる
6ヶ月契約なら、収入面と精神面で余裕を持てます。
なぜなら、6ヶ月先までの収入を見込めるので生活が安定してお金を貯められるのと、半年に1回ペースの更新なので、契約更新してもらえるのか不安になる頻度も少なくて済むからですね。
また、契約更新までに時間があるので、焦る必要なく次の仕事をゆっくり探すこともできます。
6ヶ月単位で派遣契約したことがある59人に、6ヶ月単位で契約するメリットについてアンケートを行った結果、以下の口コミを得られたことからも分かりますね。
「安定した収入が得たい」「契約更新のことを気にせず働きたい」という人は、6ヶ月契約がおすすめですよ。
6ヶ月契約は職歴にしやすい
6ヶ月契約は職歴にしやすいです。
なぜなら、6ヶ月単位の契約なので1回更新すれば1年勤務に、3回更新すれば2年勤務したことになり、職歴として履歴書や職務経歴書に書きやすいからですね。
また、6ヶ月仕事を継続した結果、派遣会社の担当者から「マジメに仕事を続けてくれる人」と信頼されることから、引き続き次の仕事を紹介してもらえる確率も高まるでしょう。
仕事を通してスキルが身につく
6ヶ月の契約期間なら仕事を通してスキルを身につけられます。
1ヶ月や3ヶ月といった派遣期間だと仕事を覚えて間もなく契約終了になってしまいますが、6ヶ月契約なら仕事を覚えた上で、日々の仕事を通してスキルを身につけられるからですね。
6ヶ月単位で派遣契約したことがある59人に、6ヶ月単位で契約するメリットについてアンケートを行ったところ、具体的なスキルを挙げた口コミもありましたよ。
- 6ヶ月単位で派遣契約するメリットは色々なスキルを身につけることが出来ることです。理由は1つの仕事を長期間することで色々なスキルが身につきます。例えばパソコンのExcelやWordなど、派遣先が変わっても活かせるスキルを身につけられます。
ブランクがある人は、スキルだけでなく「6ヶ月間働き続けられた」という自信もつきますよ。
6ヶ月更新のデメリット
仕事や職場環境に慣れた頃に契約更新を迎えてしまう
6ヶ月働いていると、仕事や職場環境に慣れたタイミングで契約更新を迎えてしまうデメリットがあります。
契約更新してもらえれば良いのですが、契約終了となった場合は新たな手間がかかります。
次の仕事を探す必要があるのと、新たな派遣先に就けたとしても、またイチから仕事を覚えるのと人間関係を築く必要が出てくるからですね。
また、6ヶ月働いて慣れた派遣先から契約更新してもらえなかった場合、1ヶ月~3ヶ月の短期間契約よりも精神的ショックが大きい人も多いのではないでしょうか。
辞めたくても6ヶ月は我慢しなくてはいけない
「仕事内容や職場の人が合わない」「転職したい」と思っても、6ヶ月契約の場合、6ヶ月は我慢して働き続けなくてはいけません。
なぜなら、やむを得ない理由がない限り、契約期間の途中で辞めることはできないからです。
6ヶ月契約をする場合は、以下のことを心掛けてください。
- 派遣先選びは慎重に行う
- 契約更新のタイミングを見計らって転職活動を行う
1年契約のメリット・デメリット
1年契約には以下のメリット・デメリットがあります。
- ●メリット
- ・予定や目標を立てやすい
- ●デメリット
- ・1年は辞められない
それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
1年契約のメリット
プライベートの予定やスキルアップの目標を立てやすい
1年契約の場合、6ヶ月契約以上に経済的にも精神的にも余裕を持つことができ、プライベートの予定やスキルアップの目標が立てやすいです。
1年先までの収入が見込めることに加え、次の契約更新までに1年の期間があるからですね。
1年先までの収入が見込めれば、大きな買い物や旅行などの計画も立てやすいですし、1年は契約更新してもらえるか不安になることもないので、腰を据えて資格取得の勉強をしたり仕事のスキルを身につけたりできます。
1年契約のデメリット
1年契約だと途中で辞められない
1年契約の場合、もし途中で辞めたくなったとしても「1年間は辞められない」のがデメリットとなりますね。
6ヶ月契約でも同じ説明をしていますが、やむを得ない理由がない限り、契約途中で辞めることはできません。
1年契約の場合、6ヶ月契約よりもさらに長い1年という期間、仕事内容や派遣先が合わなくても我慢して働き続けなくてはいけません。
デメリットを回避するためには、初回から1年契約をしないことです。
例えば、
- 初回は1ヶ月契約で仕事内容や職場の雰囲気が合うか確認
- 問題なければ3ヶ月契約で更新して仕事に慣れる
- さらに続けられそうなら1年契約にする
といった流れを踏むことで、仕事内容や派遣先が合わず1年間我慢する必要はありませんよ。
同じ派遣先で3年以上働くことは難しい
「現在勤務している派遣先でずっと働きたい」「派遣先を転々とするのは嫌だ」と思っていても、残念ながら同じ派遣先で3年以上働くことは難しいです。
なぜなら、派遣社員には「3年ルール」という労働派遣法による規制があるからですね。
3年ルールとはどういった内容なのか、詳しく解説します。
3年ルールとは同じ派遣先で3年以上働けないルール
3年ルールとは同じ派遣先で3年以上働けないルールです。
同じ派遣先で2回以上契約更新した経験がある派遣社員59人に、「同じ派遣先で最長どれぐらい働いたか」アンケートを実施したところ以下の結果となりました。
アンケート結果を見てみると、最長3年という回答が一番多く、59人中48人は同じ派遣先で3年以上働いていないことが分かります。
なぜかというと、2015年9月の労働派遣法の改正によって、
- 派遣先事業所単位では、同じ事業所が派遣社員を受け入れられる期間
- 派遣労働者個人単位では、派遣先の同じ組織単位(課やグループなど)で派遣として働く期間
それぞれで、原則3年という期間制限が設けられたからですね。
抵触日を迎えると、派遣先企業は派遣社員の受け入れができなくなります。
抵触日については、派遣契約を締結した際に派遣会社から派遣社員へ通知義務があるため、知らされているはずです。
抵触日を忘れてしまった人は、派遣会社の担当者に確認しましょう。
派遣できる期限をすぎる最初の日を指します。
派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位では抵触日が異なります。
アンケート結果を見ると、59人中11人は最長3年以上の勤務をしたと回答しています。
なぜ11人の回答者は3年以上同じ派遣先で勤務できたのかというと、労働派遣法改正前から勤務経験があったからだと考えられます。
3年ルールが設けられた現在、派遣先で3年以上働き続けたい場合は、以下のような方法があるため、希望者は派遣会社の営業担当者に相談してみてください。
抵触日について詳しく知りたい方は、「3年ルールとは?派遣の抵触日やリセットされるクーリング期間の注意点」の記事も参考にしてみてください。
同じ派遣先で今までどおり有期雇用派遣として働ける延長方法がある
3年を超えても、有期雇用派遣として同じ派遣先で働きたい場合、2つの延長方法があります。
- 派遣先企業の過半数労働組合の賛成+他部署へ異動
- 派遣社員のクーリング期間
それぞれの延長方法を見てみましょう。
1.「派遣先企業の過半数労働組合の賛成」と「他部署へ異動する」ことで派遣先に残れる
「派遣先企業の過半数労働組合の賛成」があり、「派遣社員が他部署へ異動」すれば、3年を超えても派遣社員として同じ派遣先で働けます。
派遣労働者の個人単位による期間制限延長はできません。
そのため、派遣先が事業所単位で期間延長を行い、派遣社員を受け入れられる状態にしてから、派遣社員を他部署へ異動して抵触日をリセットします。
部署が変わることに合わせて仕事内容も変わりますが、同じ派遣先企業で、さらに3年勤務できますよ。
2.クーリング期間を利用して抵触日をリセットしよう
クーリング期間とは、3年という期間制限の通算期間がリセットされる「3ヶ月超(3ヶ月+1日以上)の空白期間」を指します。
抵触日から3ヶ月+1日以上のクーリング期間を経れば、抵触日をリセットして同じ派遣先で3年間働けます。
ただし、クーリング期間を使って抵触日をリセットすることは、以下のデメリットがあることから推奨されていません。
- 少なくても3ヶ月間休むことになるので収入が途切れる
- 社会保険の切り替えが必要
- 有給休暇がリセットされる
- 3ヶ月後に派遣先が契約してくれる保証はない
また抵触日をリセットしても、派遣先が受け入れない可能性は高いので注意してください。
なぜなら、再び同じ派遣先に就業させることは派遣社員のキャリアアップの観点から望ましくないと、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」にあるからですね。
詳しくは「以前に働いていた派遣先への出戻りが難しい理由と戻るための方法」の記事でも解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
期間制限の例外に該当する人は3年以上同じ派遣先で働ける
以下の期間制限の例外に該当する人は、3年以上同じ派遣先で働けます。
- 派遣元(派遣会社)に無期限で雇用されている
- 終期が明確な有期プロジェクトに派遣される
- 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が、派遣先で通常労働者の半分以下かつ10日以下)
- 産休、育休、介護休業などを取得する人の代わりに派遣される
- 60歳以上である
同じ派遣先で長期間にわたって働きたい場合は、「期間制限の例外に当てはまる仕事」へ応募するやり方もありますよ。
やむを得ない理由が無い限り契約期間の短縮は難しい
やむを得ない理由が無い限り、契約期間中に契約期間を短縮することは難しいです。
なぜなら、民法628条では「やむを得ない事由」がない限り、「契約期間中に退職することはできない」と定められているからですね。
派遣社員は派遣会社と契約を締結しているため、原則として契約期間を守らなくてはいけないのです。
ただし、以下の「やむを得ない理由」がある場合や派遣先と合意できる場合には、契約期間途中でも退職できるので、営業担当者へ相談するようにしましょう。
- 契約した条件と相違がある
- 派遣先でパワハラやセクハラ被害にあっている
- 病気の治療で勤務が困難
- 家族の転勤による引っ越し
- 家族の介護など
希望の契約更新期間があれば派遣会社に相談しよう
「長期的に働ける仕事がいい」「3ヶ月単位で更新したい」など、希望する契約の更新期間があれば派遣会社へ相談しましょう。
仕事を紹介してもらう前に、あらかじめ希望の契約期間や更新期間を伝えておけば、希望に添った仕事紹介を受けられます。
また、「明確な理由」と「派遣先の了承」があれば、契約更新時に更新期間を変更することも可能です。
例えば、今まで3ヶ月更新だったのを2ヶ月と短くしてもらったり、6ヶ月更新へと長くしてもらったりですね。
「なかなか仕事に慣れられなくて不安」「安定して働きたいので更新期間を長くして欲しい」といった具体的な理由を派遣会社の営業担当者に伝え、営業担当者から派遣先へ契約更新期間の変更を打診してもらいましょう。
派遣先の了承が得られれば、契約更新期間を変更してもらえますよ。
まとめ
派遣社員の契約更新期間は一般的に3ヶ月または6ヶ月ですが、各更新期間によってメリットやデメリットもあります。
仕事が合うか分からない人は、初回の契約更新は1ヶ月や2ヶ月にしておけば、合わないと気付いた時に辞めやすいです。
できるだけ派遣社員として長く働きたいという人もいるかと思いますが、2015年9月の労働派遣法改正による3年ルールの制定によって、同じ派遣先で3年以上働くことは難しくなったので注意してください。
残念ながら、契約期間中に契約期間を短くすることは、やむを得ない理由がない限りできません。
しかし、仕事を紹介してもらう前に希望の契約更新期間を伝えたり、更新のタイミングで契約更新期間変更を依頼したりすることは可能なので、派遣会社の営業担当者へ相談して働きやすい更新期間に変えてもらってくださいね。
当記事の監修者
加藤 光大氏
社会保険労務士。1985年中央大学商学部卒業。1998年K-Net社労士事務所を開設。労働社会保険関連の指導・相談業務や企業研修、社会保険労務士試験の受験指導を行う。
20年以上の実績に裏打ちされた知識と経験に基づく著作物は高い評価を受けるとともに、研修や講義はわかりやすいと定評がある。
特に、社会保険労務士試験の受験指導に力を入れており、これから社会保険労務士を目指す方にブログなどを通じて有意義な情報を発信している。主な著書に受験参考書「合格レッスン」、「社労士試験・ラクラク整理」などがある。
澁谷・坂東法律事務所
坂東大士(ばんどう ひろし)氏
(大阪弁護士会 登録番号 47642)
経歴
2009年 関西大学法科大学院 卒業
2011年 司法試験 合格
2013年 大阪弁護士会登録
2019年 澁谷・坂東法律事務所開設
所属団体
大阪弁護士会労働問題特別委員会
租税訴訟学会
関西圏国家戦略特区雇用労働相談センター雇用労働相談員(2015年度)
東大阪商工会議所会員
弁護士の視点から当記事が法的に問題ないかをチェックしていただいております。