派遣看護師ってどうなの?66人の口コミからわかったメリット・デメリット

派遣看護師のメリット・デメリット
  • 勤務時間が長くてプライベートがない
  • 夜勤は体力的につらくなってきた
  • もっといろいろな職場を経験したい

そんな悩みをお持ちの看護師さんには「派遣看護師」をおすすめします。

派遣なら、勤務時間や働く日数・タイミングを自分で選べるため、プライベートを充実させることも、家族の生活スタイルに合わせることも、すきなときだけ働くこともできるからです。

派遣というと、「派遣切り」のリスクに不安をもつ方もいると思いますが、看護師に関してはあまり心配いりません。

たしかに、派遣先が契約更新を望まずお仕事終了することはあります。

しかし、看護師さんを必要とする場所は山ほどあるため、すぐに次の派遣先を紹介してもらえるからです。

この記事では、派遣看護師のメリット・デメリットについて、経験者の口コミをもとに解説していきます。

これを読めば、派遣看護師への理解が深まり、あなたの働き方の選択肢が増えることでしょう。

今の働き方に疑問や不満をもっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

看護師派遣は違法ではない

「看護師派遣の仕事ってたくさんあるけど、そもそも看護師の派遣って禁止じゃないの?」

と思っている人もいるかもしれません。

結論からいうと、看護師派遣は違法でありません。

たしかに以前は禁止されていた時期もありましたが、平成18年の派遣法改正により、現在は『条件つき』で看護師派遣が認められています。

参考元:厚生労働省「労働者派遣事業が禁止されている医療関係業務」

では、看護師派遣として働ける条件とは、どのようなものなのでしょうか。

看護師派遣がOKなケースとNGなケース

看護師派遣は、原則として医療機関での勤務はNGとなっています。

【看護師派遣がNGな場所】

  • 病院・診療所
  • 助産所
  • 介護医療院
  • 介護老人保健施設
  • 患者の居宅(訪問看護など)

「看護師が医療機関で働けないなら、いったいどこで働けばいいの?」と思う人もいるかもしれませんが、安心してください。

看護師派遣として働ける場所はたくさんあります。下記はその一例です。

【看護師派遣がOKな場所】

  • 有料老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 社会福祉施設
  • デイサービス
  • 検診センター
  • 保育園

また、「看護師派遣がNGな医療機関」であっても、下記のうちいずれかに当てる場合は、働くことが可能です。

【例外なく看護師派遣がOKなケース】

  1. 紹介予定派遣
  2. 産休・育休・介護休業の代替
  3. 離島・へき地にある医療機関(厚生労働省が指定した地域)

つまり、社員登用が前提の「紹介予定派遣」や、産休・育休などの代替勤務であれば、事実上どの医療機関でも働けるということになります。

単発派遣ができる条件

単発派遣に関しても条件があります。

平成24年10月の労働者派遣法改正により、雇用期間が30日以内の日雇い派遣は原則禁止となりました。

ただし、下記のいずれか1つでも該当する方は、30日以内の日雇い派遣、つまり単発派遣ができます。

【単発派遣ができる条件】

  1. 本業の収入が500万円以上
  2. 世帯収入が500万円以上
  3. 60歳以上
  4. 雇用保険の適用を受けない学生(昼間学生)

単発派遣には、デイサービスや訪問入浴など介護施設のお仕事のほか、スポーツ大会やイベントの救護、企業や学校のツアーナース、キャンプの付添い、検診センターといった求人があります。

【口コミ】派遣で看護師をするメリット

派遣として看護師をしたことがある66人の口コミからわかった、派遣看護師のメリットをご紹介します。

派遣看護師のメリット

1位 働き方の融通がきく(27人/66人中)

  • 出勤できる日程を決められ、休みたい時は周囲に遠慮なく申し出られる(56歳 イベント救護)
  • 子ども達の学校生活に合わせた働き方を選びたかった(38歳 特別養護老人ホーム)
〔出典〕独自アンケート調査

口コミからわかった派遣看護師のメリットダントツ1位は、「働き方の融通がきく」でした。

派遣は、「週3日だけ」「日勤だけ」「単発で休日だけ」のように、自由に勤務スタイルを選べます。

そのため、

  • 子育て中なので毎日は働けない
  • Wワークをしたい
  • 数ヶ月働いたら数ヶ月休んで旅行に行きたい

といった方でも無理なく働けるというわけですね。

シフトが自由に選べない、休みが取りにくい、日勤のみの仕事が少ない…といった正社員の雇用形態に不満がある方にとって、派遣はワークライフバランスが取りやすいと感じるでしょう。

2位 時給が高い(15人/66人中)

  • 直接雇用のパートと派遣では時給に大差があり、派遣の方が断然高いため(36歳 特別養護老人ホーム)
  • 副業の派遣だけでも多い時で4~5万円になることもある。旅行の資金にしている(33歳 有料老人ホーム)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のメリット2位は、「時給が高い」でした。

バイト情報誌タウンワークによると、東京都におけるパート・アルバイト看護師の平均時給は1,858円。(2020年6月時点)

一方、派遣の時給相場は2,000円以上と、パート・アルバイトよりも200円ほど高くなっています。

看護師派遣の平均時給

※東京都の新着求人上位50件から算出(2020年6月時点)

また、夜勤は25%割増となるため、日勤2,000円なら夜勤は2,500円とかなり高額になります。

そのため、夜勤専従でガッチリ稼ぎ、長期休暇をとって旅行する看護師さんも少なくありません。

収入を重視したい方にとって、派遣はおすすめの雇用形態と言えます。

3位 人間関係のストレスがない(14人/66人中)

  • 数回の仕事の関係なので人間関係に悩むことなくあっさり仕事に取り組める(38歳 訪問入浴)
  • 病院勤務が長く、組織の中での労働がかなりストレスになっていたので、負担を軽くしたかった(56歳 デイサービス)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のメリット3位は、「人間関係のストレスがない」でした。

派遣は期間が決められているので、職場の合わない人とムリに合わせる必要もなければ、人間関係のゴタゴタに巻き込まれることもないからです。

また、苦手なタイプの職員がいても「少しの間だから…」と深刻にならずにいられるという声もありました。

これまでの職場で人間関係に悩んだ経験のある方や、さっぱりした人間関係を望む方にはストレスのない雇用形態と言えるでしょう。

4位 気軽に職場を変えられる(13人/66人中)

  • 長く働けないと感じたら更新せず、辞めやすい(35歳 デイサービス)
  • 人間関係や職場環境、勤務条件が自分に合わなくても、すぐに職場を変えられるため気楽(35歳 リハビリ施設)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のメリット4位は、「気軽に職場を変えられる」でした。

もしも職場が合わなかった場合、「契約更新をしない」という形で円満に退職し、ほかの派遣先を紹介してもらえるからです。

正社員の場合、師長に辞めたい理由を伝えたり、引き止められたりといった過程が面倒ですよね。

派遣であれば、派遣会社の担当者に辞めたい旨を伝えれば、派遣会社から勤務先に「派遣終了」と伝えてもらえます。

また、派遣は契約期間ありきの雇用形態なので、辞める理由を職場の上司に細かく説明する必要もありません。

契約期間を全うした上での退職であれば、すぐに他の派遣先を探してもらえるので、辞めたり職場を変えたりすることが社員よりも気軽にできます。

5位 さまざまな経験ができる(11人/66人中)

  • 色々な分野の医療、看護を学べる。私は離島勤務をしたので、単独の診療科だけでなく、救急から慢性期までマルチな医療を学べ大変勉強になった(29歳 離島国保病院)
  • いろんな仕事を経験できるため、自分のやりたい仕事が明確になる(44歳 デイサービス)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のメリット5位は、「さまざまな経験ができる」でした。

派遣は、単発や2ヶ月・3ヶ月のような短いスパンで働けて、また就職・転職も気軽にできるためです。

一口に看護師といっても、総合病院、一般病院、美容クリニック、介護施設、検診センター、保育園など活躍できる場はさまざまです。

いろいろな施設で実際に働きながら自分の適職を見つけたい方、スキルアップやキャリアアップのために多くの経験を積みたい方にとって、派遣はピッタリの雇用形態と言えるのはないでしょうか。

【その他】派遣看護師のメリット

その他、口コミにあがった派遣看護師のメリットをご紹介します。

  • 自分で仕事を探さなくてもいい(49歳 市町村の検診)
  • 毎回職場が変わるので、いつも新鮮な気持ちで働ける(33歳 有料老人ホーム)
  • 正社員になってしまうと、委員会や係活動など時間外での仕事が増える。派遣だとそういった煩わしさがない(30歳 検診センター)
  • 欲しい収入額に合わせて仕事ができる(デイサービス)
  • 残業は全くしなくて良い(35歳 デイサービス)
〔出典〕独自アンケート調査

【口コミ】派遣として看護師をするデメリット

派遣看護師のデメリット

次に、派遣社員として看護師をすることのデメリットを同じく口コミを元に見ていきます。

1位 職場になじみにくい(18人/66人中)

  • スタッフの結束が強い現場だと、馴染むのに時間がかかり仕事しづらい(32歳 デイサービス)
  • スタッフとコミュニケーションが取りづらい。放置されて何をしたらいいのか分からない時がある(24歳 有料老人ホーム)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のデメリットで最も多かった口コミは、「職場になじみにくい」でした。

派遣は、実際に勤務する医療機関の職員ではなく派遣会社の社員であることから、「外部の人」という扱いを受けがちだからです。

丁寧に扱われるという声もありましたが、疎外感がある、職場の仲間ができにくいといった声の方が多めです。

チームワークがすきな方にとって、派遣は物足りなさを感じるかもしれませんね。

2位 収入や雇用が不安定

  • 仕事依頼がない時は収入が減る(43歳 保険事務所の乳幼児健診)
  • 先方から契約を切られたら終わりなので、安定性はない(40歳 高齢者施設)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のデメリット2位は、「収入や雇用が不安定」でした。

派遣社員の場合、先方が契約更新を望まなければ、その時点でお仕事が修了してしまうからです。

これは、「一度就職したらとりあえず安泰」な社員と比べると、デメリットと言えます。

また派遣は時給制なので、働いたぶんのしか給料しかもらえません。

たとえば、カレンダー通りに開院しているクリニックに勤務した場合、ゴールデンウイークや年末年始など、休日が多い月は収入が減ってしまいます。

「休日の多い月は単発派遣を入れて収入を補う」といった方法もありますが、固定給の社員と比べると、収入が不安定な点はデメリットと言えます。

3位 職場のルールに慣れるのが大変(10人/66人中)

  • 施設ごとのローカルルールを覚え、慣れるまでが少し大変(32歳 デイサービス)
  • おおまかなルールや業務内容は同じだが、施設によって物品の位置や利用者さんの詳細な情報がわからずに困ることがある(33歳 有料老人ホーム)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のデメリット3位は、「職場ごとのルールに慣れるのが大変」でした。

「物品の場所がわからないので、ほかの職員よりワンテンポ後れをとってしまう」、介護施設では「利用者さんそれぞれの個性に合わせた対応ができない」といった声が多く寄せられました。

また、長く勤務している人は当たり前になっているローカルルールに戸惑ってしまうという声もありました。

4位 ボーナス(賞与)がない(8人/66人中)

派遣看護師のデメリット4位は、「ボーナスがない」でした。

2020年4月の派遣法改正によって「同一労働同一賃金」が導入され、仕事内容や配置転換の範囲が正社員と同じ場合、派遣社員であってもボーナス(賞与)が支給されるようになりました。

しかし、実際のところ年2回といったぐあいに、まとまったボーナスが支給されることは少なく、支給されても少額であることがほとんどです。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、直接雇用の看護師の年間賞与は平均81万6,000円です。(2023年6月時点)

時給が高いため月収には満足していても、まとまった額のボーナスがもらえないことは、派遣社員のデメリットと感じている人が多くいました。

5位 即戦力を求められる(6人/66人中)

  • 人員補充で派遣される場合は即戦力も求められるので、ある程度の経験、知識が必要(29歳 離島国保病院)
  • 研修がない。仕事を理解している前提なので、みんな優しく指導はしてくれない(28歳 有料老人ホーム)
〔出典〕独自アンケート調査

派遣看護師のデメリット5位は、「即戦力を求められる」でした。

派遣看護師は基本的に即戦力と見られているため、丁寧に研修してくれるケースはまれです。

仕事を紹介してもらう際は、いざ働きだしてから大変な思いをしないよう「できること・できないこと」を派遣会社の担当者に明確に伝え、仕事内容をしっかり確認しましょう。

「ブランクがあって不安な方」や「看護師経験の浅い方」は、就業前に看護師研修が受けられるハートフルスタッフや、経験が少ない人向けの求人も多いスタッフサービス・メディカルが安心ですよ。

上記内容から看護師派遣が向いてなくて他の職業を探したい場合、「おすすめの派遣職種ランキング!派遣経験者1000人を対象に口コミ調査」の記事を参考にしてみてください。

福利厚生は派遣会社で受けられる

派遣として働くにあたって福利厚生について不安をもつ人は、多いかもしれません。

たしかに派遣社員は、勤務先の福利厚生は受けられません。

しかし、派遣会社の福利厚生が受けられます。

派遣社員の雇用主は、実際に働く勤務先ではなく派遣会社だからです。

正規雇用・非正規雇用に関わらず、条件を満たした労働者を社会保険に加入させなければいけないことは厚生年金保険法で定められています。派遣社員も例外ではありません。

社会保険の加入だけでなく、有給休暇や育児・介護休暇も取得できます。

そのほか、「年1回の健康診断」や「インフルエンザの無料予防接種」、「資格支援制度」といった独自の福利厚生を設けている派遣会社もありますよ。

派遣会社を選ぶ際は、福利厚生の内容も1つの目安にしてください。

派遣会社名 独自の福利厚生
ナースパワー 無料健康診断/インフルエンザ予防接種/昇給制度
スタッフサービス・メディカル 無料健康診断
ハートフルスタッフ 皆勤手当/ナースコーチング(無料研修)
ブレイブ看護師 無料健康診断/ポイント制度(勤務時間に応じて商品と交換できるポイント付与)

派遣でも交通費が支給される

「派遣って時給は高いけど、交通費が出ないんだよね…」と思っている方は多いのではないでしょうか。

しかし、2020年4月に導入された「同一労働同一賃金」により、短時間労働者や有期雇用労働者にも、給料とは別に交通費を支給する派遣会社も増えました。

ただし支給方法は、待遇決定方式や就業規則によって異なるため、派遣会社や担当者へ確認するようにしましょう。

下記は、2020年8月時点の各派遣会社の対応です。参考にしてみてください。

看護師の求人数が多いおすすめの派遣会社

派遣看護師の仕事をしたい場合にどの派遣会社を選べばよいか迷ったら、看護師の求人数が多い下記の派遣会社がおすすめです。

扱う求人が多いほど、「時給」「勤務地」「勤務時間」「福利厚生」「施設の種類」など、多くの選択肢から自分に合った就業先を見つけられるからです。

また、よい仕事に巡り合うためには「派遣会社の担当者の対応」がとても重要です。

できれば2社登録して比較し、親身になってくれる担当者がいる派遣会社にお願いしましょう。

派遣会社名 看護師の求人(件)
ナースパワー 44,068件
ナースJJ 39,761件
スーパーナース 25,736件
スタッフサービス・メディカル 16,335件
MCナースネット 13,566件

※上記求人数には、派遣・常勤・期間限定の離島ナースなども含まれています。
(調査日:2020年9月6日)

求人数だけでなく、他の角度から調査した結果を「看護師におすすめの派遣会社ランキングと失敗しない選び方」の記事にまとめたので興味がある方は参考にしてみてください。

まとめ

看護師さんが活躍できる職場、ライフスタイルに合わせて無理なく働ける職場は、あなたが思っている以上にたくさんあります。

今の働き方に少しでも疑問を感じている方は、ぜひ派遣会社に登録してみてください。

【本記事で利用したアンケート調査】

  • 調査対象:派遣の看護師をした経験がある人
  • 調査期間:2020年6月8日~15日
  • 調査方法:クラウドワークス、ランサーズによるアンケート
  • 有効回答数:66人