派遣会社の適性検査は何をする?

派遣会社の適性検査とは、簡単にいえば仕事の「向き」「不向き」を調べるためのテストです。

派遣登録をする際には、

  • パソコンスキル(ワード・エクセルなど)
  • タイピング(キータッチの早さや正確性)
  • 一般常識(漢字・計算・時事問題など)

といったスキルチェックが行われます。

「適性検査」は上記のスキルチェックとセット、または単独で実施されます。

ただ、上記3つのスキルチェック内容はなんとなくイメージがついても、「適性検査」っていったい何をするんだろう…と気になる人も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では

  • 適性検査とは具体的に何をするのか
  • なぜ適性検査が必要なのか
  • 適性検査で落ちることはあるのか

について詳しく解説していきます。

読むことで、自分が希望する仕事では「どんな適性検査が行われるのか」が分かるようになって、しっかり心構えをしてのぞめますよ。

これから派遣登録をしようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

派遣会社で適性検査をする目的

派遣会社が適性検査をする目的には、登録者の性格や人格、能力を把握するため実施しています。

派遣スタッフ(登録者)と派遣先企業をマッチングさせる際、パソコンスキルやタイピング以外にも、さまざまな角度からその仕事に向いているかどうかを判断します。

具体的には、以下のような目的がありますね。

  • 特定の職業に対して性格的に向いているか調べる
  • 業務を遂行するための能力があるか判断する
  • 配属される企業や部署との相性を判断する
  • 社会性があるか、ストレス耐性があるかなどのパーソナリティ(人格)を把握する

派遣会社で行われる適性検査の内容3つ

派遣会社で行う適性検査は、大きく分けて以下の3つあります。

  • 1.性格診断
  • 2.実技テスト
  • 3.身体的な検査

1.性格診断

性格診断はその名の通り「性格や人格を知るためのテスト」です。職場や仕事への適性や適応能力を知るために行います。

新卒の就職試験ではポピュラーな性格診断ですが、派遣会社の適性検査でも職種を問わず行われています。

具体的には、行動特性(行動パターン)、物ごとに対する意欲、情緒、正直さを調べます。

  • 他人の目は気になるか?
  • 困っている人がいたら助けるか?
  • 派遣先の上司に叱られたら耐えられるか?

といった質問に、「はい」「いいえ」の2択、または「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」「当てはまらない」「どちらかといえば当てはまらない」の4択で回答します。

2.実技テスト

実技テストの内容は、職種ごとにさまざまなバリエーションがあります。

職種が違えば、必要となるスキルも異なるためです。

職場で実際に行う作業や実務に近い作業で、正確性・スピードをはかったり、そもそも「その仕事自体ができるかどうか」をチェックしたりします。

また、「時間内に見本と同じ数字に丸をつける」「たくさんの文字のなかから異なる文字を見つける」といった正確性やストレス耐性をはかるテストもあります。

【実技テスト例】

  • 時間内に何個のネジをつけ外しできるか(工場での軽作業)
  • 時間内に見本と同じ数字に丸をつける(倉庫での検品作業)
  • 電話応対の実技(コールセンター)

3.身体的な検査

身体的な問題から仕事を行う上で支障がないかをチェックします。

実際に仕事をはじめてから、「身体的理由により業務ができない」となると困るからですね。

具体的には、握力測定、視力測定、色別検査などがあります。

適性検査で行う「性格診断」の注意点

適性検査のなかでも、幅広い職種で行われる「性格診断」ですが、受ける際にはいくつか注意点があります。

ウソの回答はバレるので正直に答える

性格診断テストは、正直に答えるのが鉄則です。

「こう書いた方が印象は良いだろう」といったウソの回答はバレます。

性格診断はニュアンスを変えて何度も同じ質問をすることから、本心でないと質問の答えに矛盾が出るからです。

性格診断にはありのままの自分で、正直に回答しましょう。

自分を偽って採用された仕事は長続きしない

本来の自分を偽った結果採用された仕事は、長続きしません。

あなたの性格・信念・価値観と違った回答をしなければ採用されない仕事は、そもそもあなたには合っておらず、働いているうちに無理が生じるからです。

それぞれの職種には求められる人物像があるため、職種の特徴を研究したり、求められる回答を意識したりすることは、性格診断の対策としては有効です。

ただ、採用されたい一心で、本来の自分とかけ離れた回答をすることはおすすめできません

曖昧な回答を多用しない

質問に対して選択式で回答する場合、「どちらともいえない」や「どちらかといえば◯◯」のような、曖昧な回答は多用しないようにしましょう。

曖昧な回答が多いと、「優柔不断」と判断されるからです。

「私は我慢できない性格だ」といった極端な質問には、「どちらかといえば当てはまる(当てはまらない)」といったぼかした回答もアリですが、できるだけ直感を信じて「YES」or「NO」で答えることをおすすめします。

適性検査が行われる派遣の職種と問題例

当サイトが行ったアンケート調査では、派遣登録時に適性検査を受けた職種で最も多かったのは「軽作業や製造業」の41%でした。

適性検査を受けた人の職種

事務職の場合、適性検査よりもワード・エクセル・タイピングといった、パソコンのスキルチェックを行う派遣会社が圧倒的に多いです。

その他の職種では、

といった比較的特殊な職業や、対人スキルが必要となる職業が並びました。

それぞれどのような適性検査が行われるのか、アンケート結果に基づいて紹介していきます。

軽作業や製造業では「実技テスト」を受けた人が8割

検品や梱包、ピッキング、箱詰めなどの軽作業や、工場で精密機器の組み立てといった製造業では、実技の伴う適性検査を受けた人が8割にのぼりました。

軽作業・製造業の適性検査

【具体例】

  • 組み上がった電子基板についている部品をはんだごてでつけ直す
  • バラバラに置いてあるネジとボルトを制限時間内で何セット作れるか
  • 板に刺さった30個のピンを制限時間内に何本抜いて何本戻せるか

細かな作業を間違いなくできるか、単純作業を飽きずにできるかのチェックを目的として行います。

軽作業や製造業では、ワード・エクセルといったパソコンスキルは必要ないことから、実技テストのみのケースが大多数です。

ただし、2割の人は身体検査を受けたと回答しました。

身体検査では、スクワットや握力測定といった簡単な体力測定のほか、色別検査をした人もいました。

色別検査は、「色の判別ができないと危険」または「作業に支障が出る」といった仕事に就く際に行われます。

【色別検査をする仕事の例】

  • 工場:表示灯(緑は正常運転、赤は停止)の色を見分けて作業をすることから、色が分からないと危険
  • 検品作業:商品に異物が混じっていないか確認する際、色が判別できないと作業ができない

事務職の適性検査は「性格診断」が大半

事務職を希望する人が受けた適性検査は「性格診断」が大半でした。

パソコンスキルや一般常識とセットで実施され、総合的なスキルや能力を判断されます。

ほかに、実際に英語が使えるかどうかを確認する適性検査も行います。

英語力が必要な事務職を希望している場合は、英語の電話応対やネイティブスピーカーとの英語面接に近い内容ですね。

また、少数派の回答ですが、営業事務で電話応対、一般事務で来客応対の実技テストを受けた人もいました。

その他の職種の適性検査

その他の職種で行う適性検査の例を紹介します。

【研究職】実技が中心

化学やバイオ関係の研究職を希望する場合、基本的な器具を正しく使えるか、指示通りのものが作れるかといった実技の適性検査を行います。

具体的には、

  • 指定された濃度の食塩水を作れるか
  • 複数のなかから、適切な器具を選んで正しく使えるか
  • 作業工程や手技に問題がないか

といったことを見られ、評価されます。

【受付】正しい言葉遣いで感じの良い対応ができるか

話し方や礼儀作法をチェックされます。

来客対応をする仕事なので、お客様に対して正しい言葉遣いで感じの良い対応ができるかを確認するためです。

面談形式で行うことは多いですが、ビデオカメラの前で自己紹介をし、その様子をチェックされた人もいました。

【コールセンター】不快感を与えない話し方ができるか

お客様に不快感を与えない話し方ができるかを見極めるため、実際の電話応対のやりとりを実技でテストします。

言葉遣い以外にも、語尾を伸ばす、早口、声が小さいといった話し方のクセもチェックされます。

適性検査で派遣登録に落ちることはないが仕事に就けない可能性はある

適性検査に落ちて派遣登録ができないことはまずありません。

ただし、それぞれの求人に対しての適性がないと判断されれば、仕事に就くことは難しくなります。

たとえば、性格診断の回答に矛盾が多いと「ウソをつく人」と判断され、企業から嫌がられる傾向にありますね。

また、集中力の必要な細かい作業が多い仕事なのに「飽きっぽい」「大雑把」、受付業務なのに「人見知り」など、業務内容に合わないと判断された場合も派遣会社の社内選考で落ちるケースがあります。

また、色別判断ができない場合、工場での作業や検品作業できない可能性が高くなってしまいます。

まとめ

適性検査で行うことは主に以下の3つです。

  • 性格診断
  • 実技テスト
  • 身体的な検査

適性検査は、それぞれの仕事に対しての適性があるかどうかチェックすることが目的なので、パソコンスキルと違って一生懸命に事前対策していく必要はありません。

ただし、どのような適性検査を行うのかを知っていれば、当日「え?こんなことをするの?」などと思わず、落ち着いてのぞめます。

ぜひ、参考にしてみてください。