- 「一人暮らしをしたいけど派遣社員じゃムリ?」
- 「派遣社員が一人暮らしをするためにはどれくらいの収入が必要?」
- 「派遣社員の一人暮らしはキツイのかな?」
派遣社員でも一人暮らしができるのかどうか不安を感じている人は多いと思います。
結論からいうと、派遣社員でも一人暮らしはできます。
毎月の収入(給料)と支出(出費)のバランスが取れていれば、一人暮らしをするのに派遣社員、正社員といった雇用形態は関係ないからです。
ただし派遣社員の場合、
- 時給制なので休日の多い月は収入が減る
- 契約期間に限りがあるため、次の仕事が決まるまでの間は無収入になる
といった正社員にはないハンデがあります。
そのため、収入が少ない月でも暮らしに困らないよう、「収入の予測は少なめに立てておく」「貯金をする」といった対策は必要です。
当記事では、
- 派遣社員が一人暮らしをするにはどれくらいの収入が必要か
- 家賃や生活費はどれくらいかかるのか
- 派遣社員の一人暮らしはキツイのか
などについて解説していきます。
この記事を読めば、派遣で一人暮らしすることに漠然とした不安を抱えている人の疑問や悩みが解消し、一人暮らしのための心構えができますよ。
ぜひ最後まで読んでみてください。
「毎月の支出(出費)」が「毎月の手取り額」に収まれば一人暮らしできる
派遣社員として働きながら一人暮らしをしようと考えている人がまず気になるのが、「どれくらい収入があれば一人暮らしできるか」だと思います。
結論から言うと、「毎月の支出(出費)」が「毎月の手取り額」に収まっていれば一人暮らしは可能です。
「そんなの当たり前でしょ」という声も聞こえてきそうですが、実際のところ、どこに住み、どんな暮らしをするかで毎月必要なお金は人それぞれ違います。
そのため、「◯◯円あれば派遣でも一人暮らしできる」と言える明確な金額はありません。
いくら収入があれば一人暮らしできるかを知るためには、まず「あなたの毎月の支出(出費)」を知る必要があります。
一人暮らしの毎月の支出目安は13~14万円(東京近郊の場合)
賃貸住宅の業界内でも大手「アパマンショップ」によると、一人暮らしにかかる基本的な支出は月13~14万円となっています。
- 家賃:6万円
- 水道光熱費(水道・電気・ガス):1万円
- 通信費(携帯・ネット代):1~2万円
- 食費:3万円
- 交際費:2万円
合計13~14万円
当社が行った「派遣社員の時に一人暮らしをしていた人へのアンケート調査」でも、東京・神奈川・千葉・埼玉に住む48人の「家賃を含む1ヶ月にかかった平均費用」は132,313円でした。
ただし、上記はあくまでも「基本的な支出」の目安です。
家賃に関しては、都内で駅チカに住みたいと思えば6万円以上の物件はザラですし、地方なら3~4万円で1Kに住める場所もたくさんあります。
上記のような固定費以外にもシャンプー・洗剤・トイレットペーパーなどの日用品、女性なら服飾費・美容代、なかには医療費にお金がかかる人もいますよね。
外食や飲み会が多く、食費や交際費がもっとかかる人もいるでしょう。
逆に、格安スマホの利用や自炊で「通信費や食費はこんなにかからない」という人もいるかもしれませんね。
まずは上記をベースに、毎月の支出がどれくらいあるか書き出してみましょう。
派遣法改正により、2020年4月から派遣社員にも正社員同様に交通費が支給されることになりました。ただし支給方法は、待遇決定方式や就業規則によって異なるため、派遣会社や担当者へ交通費について確認した上で、毎月の支出を書き出してみてくださいね。
時給から毎月の手取り額を計算する
毎月のおおよその支出(出費)がわかったら、次は毎月の手取り額を計算しましょう。
派遣社員の給料は時給制なので、時給を元に計算します。
たとえば、時給1,500円/月~金曜/9~17時(休憩1時間)の仕事をする場合、月収は以下のとおりです。
ただし上記は額面の月収。
上記金額から社会保険料と所得税が毎月引かれます。(社会保険料+所得税の額は月収の15%前後)
つまり月収210,000円なら、
17万8,500円が、毎月手元に残るお金「手取り額」です。
この場合、あなたの毎月の支出(出費)が17万8,500円に収まれば一人暮らしができるということになります。
やりたい仕事の時給相場は派遣会社の検索ページでわかる
自分のやりたい仕事の時給相場は、派遣会社の検索ページで調べられます。
「勤務地」や「職種」にチェックを入れ、該当した求人をいくつか見れば平均時給がわかります。
検索項目はサイトによっていろいろありますが、「勤務地」と「職種」は入れてください。
派遣は勤務地や職種によって時給に数百円以上の差があることも多いため、たとえば北海道で働きたい人が東京の求人を見たり、エンジニアをしたい人が一般事務の求人を見たりしても時給の参考にはならないからです。
家賃の割合は手取り額の1/3以内にする
一般的に家賃は月収の1/3以内が理想と言われています。
しかし派遣社員の場合、月収ではなく「手取り額の1/3以内」に抑えることをオススメします。
なぜなら派遣社員は時給制なので、正社員のように毎月同じ額の給与がもらえるわけではないからです。
たとえば、時給1,500円で1日7時間働いている場合、祝日が1日あるだけで月収は10,500円マイナスとなります。
三連休・ゴールデンウイーク・年末年始のような勤務日数が少ない月に収入が減ることも考え、家賃には余裕をもたせた方が安心です。
また、たとえ残業が多めの仕事でも、残業代をあてにして手取り額を計算するのは危険です。
給与が少ない月、残業がない月に「自由になるお金がない」「生活が苦しくなる」といった状況にならないよう、家賃は手取り額の1/3以内に抑えましょう。
手取り額ごとの家賃の目安は、下記の表を参考にしてください。
月収(額面) | 手取り額 | 家賃の目安 |
---|---|---|
150,000円 | 127,500円 | 42,000円 |
170,000円 | 144,500円 | 48,000円 |
190,000円 | 161,500円 | 53,000円 |
210,000円 | 178,500円 | 59,500円 |
250,000円 | 212,500円 | 70,000円 |
※手取り額は社会保険料+所得税を月収の15%としたときの概算
一人暮らしをするには入居審査をクリアしなければならない
手取り収入と支出に問題がなければ、一人暮らしは可能です。
ただし、アパートの賃貸契約をする際には、入居審査をクリアする必要があります。
貸す側からすると家賃の支払いができない可能性のある人に家を貸すことはできないからですね。
家を借りるときに行われる審査は、主に2つのパターンがあります。
- 家賃保証会社の審査
- 大家さんの審査
どのような審査が行われるのかそれぞれ解説していきます。
最近は家賃保証会社の審査が主流になっている
最近の賃貸物件で主流になっているのは家賃保証会社の審査です。
家賃を滞納する人や連帯保証人を付けられない人が増えているためですね。
家賃保証会社は、借り主が家賃を滞納したときには借り主に代わって大家さんに家賃を支払い、借り主への請求も保証会社が行います。
家賃が確実に支払われるという点で大家さんのメリットは大きいことに加え、借り主も連帯保証人を付けなくてもいいというメリットがあります。
家賃保証会社を利用すると大家さん・借り主ともにメリットがある反面、借り主には、初回保証料として家賃の30~100%、更新手数料として家賃の10%~10,000円程度の費用が毎年かかってしまうデメリットもあります。
家賃保証会社によって審査内容は異なるものの、主に次のような審査が行われることは多いです。
- ●家賃の支払い比率
- 家賃は収入の1/3程度が目安です。家賃の比率が収入に対して大きくないか、家賃を引いた分の金額で生活ができるかを審査します。
- ●職種
- 家賃の支払いをしてもらうには「安定した収入」があることも必要です。そのため、アルバイトや派遣社員よりも正社員のほうが有利となります。
- ●年齢
- 未成年者の場合は、派遣社員として働いていたとしても親権者同意書の提出が必要となります。また、60歳以上の高齢の人も審査には通りにくくなります。
- ●信用情報
- 信販系の家賃保証会社では、クレジットカードなどの滞納歴の有無も審査対象となります。これまでに滞納したことがある人は信販系以外の保証会社の物件を選ぶようにしましょう。
- ●身分証明書
- 運転免許証に書かれている番号の右端は、再発行をした回数が書かれています。再発行を2回以上した人は「だらしない人」と思われ審査に通りにくくなります。
上記の審査基準のほかに、派遣社員は「派遣元・派遣先企業の名称」「住所」「電話番号」の提出が必要となりますね。
また、保証会社や借り主の信用度によっては連帯保証人が必要となる場合もあります。
大家さんによる審査は第一印象も重要
家賃保証会社を利用していない賃貸物件では、大家さん自身が審査をすることがほとんどです。
審査内容は大家さんによりますが、収入や職業はもちろんのこと、見た目や雰囲気などを審査する大家さんも多いです。
服装や身に付けているものである程度「人となり」がわかるからですね。
また、大家さんが審査する物件では、家賃の支払いが滞ったときのために連帯保証人を付けなければいけません。
ただ、これまでにクレジットカードなどの返済に遅延があったとしても、信販系の家賃保証会社のような信用情報を調べることはないので、収入があれば審査は通ります。
先ほども述べたように、大家さんが審査するときの審査内容は大家さんによって違います。
大家さんの審査ではどのようなところを見ているのか紹介しますね。
- ●家賃比率
- 収入に対して家賃の比率が高くないかを審査します。家賃保証会社と同じように収入の1/3以内が目安となります。
- ●勤務会社や収入
- どこに勤務していてどれくらいの収入があるのか審査します。大手企業や公務員はプラスの印象を与えられます。派遣社員は「安定した収入」ではマイナスになってしまいます。
- ●連帯保証人
- 連帯保証人は付けなければいけません。両親や兄弟などの親族が保証人になる場合も多いため、親族以外の保証人を立てた場合、親族が保証人になってもらえない理由があるのではないかと思われてしまうことがあります。また、連帯保証人の勤務先なども審査の対象になります。
- ●以前住んでいた場所
- 以前住んでいた地域と転居先があまりに近かったり、反対にとても遠い地域だった場合は、前に住んでいたところで問題を起こしたのではないかと思われることがあります。「なぜこの地域に住みたいのか」などの理由を聞かれることがあります。
- ●見た目や人柄
- 服装や身に付けているもの、話し方や振る舞いが常識的かなどを見られます。収入に対して高額のものを持っていたり、ガラの悪い服装はマイナスイメージを持たれてしまいます。
転居が多い時期は審査に通りにくいこともありますが、反対に閑散期には審査が甘くなることもあります。
派遣社員の一人暮らしでも貯金はできる
と不安な人もいるかもしれませんが、派遣社員の一人暮らしでも貯金は可能です。
当社が行った「派遣社員として働きながら一人暮らしをした経験がある人」へのアンケート調査でも、100人中66人が「貯金ができた」と回答しています。
毎月の貯金額は1~3万円が多い
さらに上記アンケートで「貯金ができた」と回答した66人に、毎月いくらできたかを聞いてみました。
毎月の貯金額は、5千円の人、10万円ほどできている人、毎月25万円できている人など幅広いですが、1~3万円がダントツで多くなっています。
貯金ができない人は生活費にお金をかけている
一方で100人中34人は貯金ができなかったと回答しました。
貯金できない理由は「時給が低くて貯金に回せない」という人が大半だと思います。
実際、月に10万円以上貯金できている人の大半は2,000円前後の高時給をもらっていました。
しかし今回のアンケート結果から、「貯金できなかった人」は、「貯金できた人」より生活費を約29,000円多く使っていることもわかりました。
貯金できた人 | 貯金できなかった人 | |
---|---|---|
月収に対する家賃比率 | 26.054% | 26.079% |
毎月の支出 | 117,061円 | 146,176円 |
上記の表を見るとわかる通り、月収に対する家賃比率は「貯金できた人」「できなかった人」にほとんど差はありません。
しかし毎月の支出を見ると、「貯金できなかった人」は「貯金できた人」よりも29,000円ほど多く使っていることがわかります。
なかなかお金が貯まらない人は、以下を参考に生活費を節約する工夫をしてみてください。
- できるだけ自炊する
- 格安スマホを利用する
- インターネット完備・Wi-Fi完備の物件を選び通信費を節約する
- むやみにコンビニに立ち寄らない
- 洋服はフリマアプリで買う
派遣社員の一人暮らしは楽しい?きつい?100人に聞いた口コミを紹介
派遣社員で一人暮らしをするって実際どうなのでしょうか。
「派遣社員として働きながら一人暮らしをした経験がある100人」に感想を聞いてみました。
結果は、「楽しいと思う人(34/100人)」「キツイと思う人(38/100人)」「どちらも(28/100人)」で、楽しいと思う人、キツイと思う人はわずか4票差でした。
ではそれぞれの口コミを紹介します。
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【楽しかったと回答した人の口コミ】
- 生活はギリギリだったけど、自分なりに考えて暮らしていたので楽しい方が大きかった
- 正社員じゃなくてもきちんと節度を守れば普通に生活できる
- 時給が良かったので残業が多い月の生活は楽だった。派遣先との契約更新までにお金を貯めるようにしていた
-
【キツかったと回答した人の口コミ】
- 月の休日日数や残業時間によって収入が変わるので不安定だった
- 一人暮らしを楽しめたのは最初の1ヶ月だけで、それ以降は金銭的にも精神的にも余裕がなかった。貯金もできず働く意味も分からなった
- とにかくお金の余裕もなく、一度派遣切りにあったので辛かった
- ゴールデンウィークなどの長期の休みがある月は貯金を切り崩すしかなくて辛かった
- お金に余裕がなく副業をしていて、常に疲れていた
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【どちらもと回答した人の口コミ】
- 誰にも気兼ねせず自由を満喫できたのはよかったが、働きづめでほとんど家に居なかったので、家賃が勿体無いなと思った
- 専門的な分野の派遣なので高時給だった。辛いことは特にないが、一人暮らしゆえの寂しい気持ちは常にあった
- 家賃や生活費にお金がかかり余裕がなく辛かったが、生活自体は楽しかった
- 貯金はあまりできなかったが、不自由なく人生を楽しんでいた。ただ、非正規なので会社都合で契約満了となったことが数回あり、生活プランの立て直しを迫られた
何をもって「楽しい」「キツイ」と感じるかは人それぞれです。
同じような収入、生活費の人でも「自分でやりくりができて楽しい」と思う人もいれば、「お金がなくてツライ」と思う人もいます。
ただ「楽しい」「キツい」「どちらも」と回答した人の多くが、お金に余裕があるか、ないかで感想が違っていました。
まとめ
派遣社員でも一人暮らしはできます。
ただし、一人暮らしを始める前に
- 毎月の支出(家賃+生活費)
- 毎月の手取り額(給与から社会保険等を引いた額)
の2つを計算し、生活していけるかどうかシミュレーションしてください。
派遣社員は正社員のような固定給ではありません。
休日が多くて給与少ない月もあることを考え、余裕をもった家賃・生活費の設定することも大切です。
一人暮らしをしたいけど敷金・礼金などの元手がない、引っ越し代がないという人は「派遣寮に住む」という手もあります。
派遣寮は家賃と水道光熱費を合わせて3万円以内のところが大半で、なかには全くかからないところもあります。
「お金がない」という方は、「派遣寮はどんな感じ?男女24人の口コミからわかった寮付き派遣で住み込み仕事のメリット、デメリット」の記事も参考にしてください。
派遣社員の場合、時給による計算となり、また不景気になった場合には雇用が打ち切られる可能性もあります。そのため、ある程度貯金することをこころがけ、何かあった場合でも対応できるように生活すべきです。
結論は、記事にあるとおり、派遣社員でも一人暮らしは可能です。ただ、月によっては休日が多い、働く日数が少ない場合もありますので、日数が少ない月にあわせた生活パターンを決めておくべきでしょう。
まずは毎月の生活費がどの程度かかりそうか算出してみましょう。そして、毎月最低いくらは収入がありそうか確認してみましょう。貯蓄も最低限度の程度できるか確認してください。
働き方は人それぞれ。お金がなくても楽しい生活は可能です。ただし、お金で困ることがないようにはしていただきたいと思います。
- 調査対象:派遣社員をしながら一人暮らしをした経験がある人
- 調査期間:2020年4月5日~7日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:100人