職場の人間関係に疲れ、転職を検討している人もいるでしょう。
一方で「人間関係の悩みはどこの職場にいってもある」ともよく言われます。
実際のところはどうなんでしょうか。
今回は職場の人間関係を理由に転職した経験がある501人にアンケートを実施。
「具体的にどのような人間関係の悩みで転職したのか」や「人間関係を理由に転職してよかったか」について聞きました。
- 調査対象:職場の人間関係を理由に転職した経験がある方
- 調査期間:2023年8月19日~31日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:501人(女性294人/男性207人)
- 回答者の転職時の年齢:20代 38.2%/30代 43.5%/40代 13.1%/50代 4.6%/60代以上 0.6%
職場の人間関係での転職理由1位は「ハラスメントを受けた」
職場の人間関係を理由に転職した経験がある501人に「転職理由の詳細」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「ハラスメントを受けた(164人)」です。
2位「上司と合わない(124人)」、3位「先輩・同僚と合わない(91人)」、4位「いじめ・嫌がらせを受けた(66人)」と続きます。
以降、5位「職場の雰囲気が悪い(60人)」、6位「えこひいきがあった(24人)」、7位「仕事を押し付けられた(17人)」の結果となりました。
「上司・先輩など立場が強い人からのパワハラを受けた」「上司と合わない」と答えた人が多数。
目上の人との関係に問題を抱えていたケースが多いとわかります。
目上の人について思うことがあっても、なかなか言い出せずにストレスを溜めこんでしまう人もいそうですね。
では具体的な回答を紹介します。
1位 ハラスメントを受けた
- 役員のセクハラと上司のパワハラがひどかった(28歳 女性)
- 上司からの人格否定や暴力的な行為がエスカレートしたため(31歳 男性)
- 上司の態度が威圧的で、無理な要求が続いたから(45歳 男性)
1位は「ハラスメントを受けた」です。
「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」「アルハラ」など、さまざまなハラスメントの体験談が寄せられています。
より具体的には「成績が悪いと、人格まで否定される」「小さなミスでも強く長く責められる」「暴言・暴力」などです。
ハラスメントを受けて心身に不調をきたした人も目立ちました。
2位 上司と合わない
- 上司と仕事上の相性が悪かった(29歳 女性)
- 上司が厳しくて、うまく自分の意見が言えなかった(36歳 男性)
- 「なんでこの人が主任なんだろう」と疑問に思うくらい、頼りにならない上司だった(41歳 女性)
2位は「上司と合わない」でした。
合わないと感じる理由は、「仕事の進め方や、仕事において優先していることが違う」「頼りにならない」「性格の相性が悪い」など。
直属の上司とそりが合わなかったり、どうしても尊敬できなかったりすると、仕事が苦痛になってしまいます。
上司と話すのがイヤで報連相すらできず、仕事がうまく回らないこともありそうです。
3位 先輩・同僚と合わない
- 主婦の方が多く、子どもや夫の話題が多くて話の輪に入れなくて、距離を置かれるようになった(27歳 女性)
- 社員数名のベンチャー企業で最初は楽しく勤めていたが、社長が友人をどんどん引き抜いてきて内輪のノリが強くなり、居づらくなった(39歳 女性)
- 職場に苦手な「年下の先輩」がいました(41歳 男性)
3位は「先輩・同僚と合わない」でした。
特定の「苦手な人」がいるケースもあれば、同僚たちの輪に入れず孤独を感じたケースもありました。
同僚と距離を詰めようと努力したもののうまくいかず、転職を決意した人も。
「同僚とは仕事だけの関係で、仕事さえうまく回ればいい」という人もいますが、日常的に接する人との相性が悪いとやはりツラいですよね。
4位 いじめ・嫌がらせを受けた
- 「無視」「間違ったレクチャー」など、仕事にまで影響する嫌がらせをしてくる同僚がいたため(25歳 女性)
- 同僚からいじめられ、やることに難癖をつけられた(30歳 男性)
- 同僚からの嫌がらせで病んでしまい、転職を決意しました(32歳 女性)
「いじめ・嫌がらせを受けた」が4位でした。
いじめや嫌がらせの内容は「無視」「嘘の噂を広める」「フォローやフィードバックをしてくれない」「必要以上に説教される」など。
嫌がらせが業務にまで影響するようになったため、転職を決意した人もいました。
いじめや嫌がらせが原因で、心身がボロボロになってしまう人もいるでしょう。
5位 職場の雰囲気が悪い
- 仕事中にも関わらず、同僚たちが集まって他の同僚への悪口を言い合っていて、とても腹立たしかった(24歳 男性)
- 社内が葬式みたいな雰囲気だったため、成長性がないと判断しました。協力を要請すると、嫌そうな顔をされることが多かった(31歳 男性)
- マネージャーがとても厳しく気分屋だったせいか、まとまりのない職場でギスギスした人間関係でした(49歳 女性)
5位は「職場の雰囲気が悪い」でした。
「陰口・悪口が多い」「暗い」「ギスギスしている」といった雰囲気にうんざりしてしまった人も多数。
自分自身が悪口を言われているわけではなくても嫌な気分になり、モチベーションが下がってしまいますよね。
また「自分も何かミスをしたら、悪口を言われるかも」と心配になってしまう人も多いでしょう。
「周りの仕事に対する意識が低すぎた」という意見もありました。
6位 えこひいきがあった
- 男女で教え方に差をつけるなど、同期との差別があった(21歳 女性)
- 過剰なひいきがあった(38歳 男性)
- 上司のひいきがひどかった。上司のお気に入り以外は昇進しない(43歳 女性)
6位は「えこひいきがあった」でした。
上司が「お気に入りの部下には失敗しても注意しない」「ひいきで評価をつける」といった態度をとるので、幻滅してしまった人もいます。
お気に入りでないと評価されないなら、いくら仕事を頑張っても無駄だと思ってしまい、やる気が起きなくなってしまいますね。
7位 仕事を押し付けられた
- 上手いこと言って仕事を押し付けてくる先輩がいて、誰かに相談してもどうにも解決できなかった(29歳 女性)
- 自分の業務範囲外である仕事を押し付けられた(32歳 男性)
7位は「仕事を押し付けられた」でした。
過度に仕事を押し付けられると、残業や休日出勤が増え、心身に悪影響を及ぼすと考えられます。
「誰かがやらないと、顧客や会社が困るだろう」と真面目に考えてしまう人ほど、キッパリ断れずに押し付けられた仕事を抱えてしまいそうですね。
同僚や先輩から仕事を押し付けられて上司に相談したものの、解決できずに転職を決意した人もいました。
職場の人間関係が理由で辞めたことを転職先に伝えた人は30.7%
職場の人間関係を理由に転職した経験がある501人に「職場の人間関係が理由で辞めたことを、転職先に伝えましたか」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
職場の人間関係が理由で辞めたことを転職先に伝えた人は、30.7%で少数派。
転職先に転職理由を伝えない人の方が多いとわかります。
人間関係が原因で辞めたと伝えると、選考に悪影響があるのではと考えた人も多いかもしれません。
理由を伝える場合、「人間関係が原因」と直接的に伝えるのではなく、「社風や会社の方向性が合わなかった」「チームワークを活かせる職場で働きたいと思った」などと言い換えるのがおすすめです。
職場の人間関係を理由に転職して良かった人は95.6%
職場の人間関係を理由に転職した経験がある501人に「転職して良かったですか」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
「とても良かった」「まあ良かった」と回答した人が、合わせて95.6%となっています。
「ともて良かった」と答えた人だけで半数を超えており、「転職して良かった」と強く感じている人が多いとわかりました。
職場の人間関係が悪いと心身に不調をきたしたり、能力を発揮できずモチベーションが上がらなかったりすることも多いです。
「心身に悪影響がある環境」「自己実現できない環境」から抜け出せて、満足している人が多いのでしょう。
一方「職場の人間関係で転職して良くなかった」と答えた人からは「転職先でも人間関係に悩んだ」というコメントが多く寄せられました。
転職によって収入が減ってしまった人もいました。
職場の人間関係を理由に転職して良かった理由は「気持ちがラクになった」
「人間関係が原因で転職してよかった」と答えた479人に「転職して良かった理由」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「気持ちがラクになった(195人)」です。
2位「転職先の人間関係がよかった(127人)」、3位「働きやすくなった(69人)」と続きます。
以降、4位「体調がよくなった(32人)」、5位「モチベーションがあがった(22人)」の結果となりました。
前職の人間関係から解放されたことによる、精神面でのメリットを挙げた人が多数。
「働きやすくなった」「モチベーションがあがった」という回答から、次の職場で意欲的に働けている人が多いこともわかります。
では具体的な回答を紹介します。
1位 気持ちがラクになった
- イライラしながら働くことがなくなり、気持ちがとても楽になりました(27歳 男性)
- 転職に多少の苦労はありましたが、心情的にはスッキリしました(37歳 女性)
- 嫌な上司と顔を合わせなくてよくなり、ストレスが軽減された(46歳 男性)
1位は「気持ちがラクになった」でした。
ハラスメントやいじめ、合わない人間関係などから解放され、ストレスがなくなりラクになったというコメントが寄せられています。
転職活動に苦労したり収入が減ったりした人もいましたが、「マイナス面を考慮しても、嫌な人間関係から解放されるメリットは大きい」と感じている人が多いとわかります。
2位 転職先の人間関係がよかった
- 人間関係が良くなって、友人もできた(23歳 女性)
- 相談や発言がしやすい職場環境なので、転職して良かったと思います(34歳 男性)
- 期待していなかったが、転職先の人間関係がとても良くて、前職場とは天と地ほどの差があった。折に触れて管理職がヒアリングをしてくれるなど相談しやすい環境だし、そもそもトラブルを起こすような人がいなかった(44歳 女性)
2位は「転職先の人間関係がよかった」です。
人間関係が原因で転職する際によく言われるのが、「次の職場も人間関係が悪いかもしれない」「人間関係の問題は、どんな会社にもある」という点です。
ただアンケートでは、前職より人間関係のよい会社で働けているという人も多数いました。
前職の人間関係がひどすぎる場合、転職先で多少嫌なことがあっても「前よりはマシ」と動じない耐性ができるのかもしれません。
なお「人間関係が希薄になってよかった」と答えた人も13人(6位)いました。
「他人と関わることそのものに疲れてしまう」というタイプの場合、リモートワークや一人作業が多い職場に転職するのもよいかもしれません。
3位 働きやすくなった
- 「周りの人がまとも」というだけで、こんなに仕事が楽に感じるなんて思わなかった(30歳 女性)
- 建設的な会話によって仕事上の問題を解決できる環境に転職できた(31歳 男性)
- 理不尽な人間関係から解放されて、業務に集中できるようになった(45歳 女性)
3位は「働きやすくなった」でした。
人間関係にトラブルがない職場だと、業務上のコミュニケーションが円滑になり、仕事がスムーズに進みます。
また「少しでもミスしたら怒られるかも」「いじめられるかも」とビクビクすることがないので、仕事に集中できて働きやすくなるでしょう。
ビクビクせず仕事に集中できれば、のびのびと自分の能力を発揮できる機会も多くなり、昇進やスキルアップのチャンスも増えそうですね。
4位 体調がよくなった
- 睡眠の乱れや蕁麻疹など、体の変調がなくなった(29歳 女性)
- ストレスが溜まりうつ状態になりかけていましたが、転職してから徐々に回復しました(34歳 男性)
- ストレスが原因で片耳がまったく聞こえなくなっていると診断され、通院していました。辞めたらすぐに治りました(48歳 女性)
「体調がよくなった」が4位でした。
人間関係によるストレスのせいで、精神的・身体的な症状が出ていた人の中には、転職して症状が改善したケースも多数。
一方我慢して嫌な場所にとどまり続けていると症状が悪化し、回復にも時間がかかることも。
職場のせいで心身に不調をきたしたら、速やかに転職を検討すべきでしょう。
5位 モチベーションがあがった
- 仕事が楽しくなったし、「頑張ろう」という気持ちがでてきたから(26歳 女性)
- 今は休みもあり精神的な苦痛はまったくなく、「昇進したい」とモチベーションをあげて業務できている。給料は下がったが、昇進で同じくらいまで上げている(31歳 男性)
- 若い人材が多い会社に転職したので、モチベーションが上がった(40歳 男性)
5位は「モチベーションがあがった」でした。
人間関係がよくなったことで仕事へのモチベーションがあがった人も多数。
例えば「意欲にあふれた同僚と仕事できる」「信頼できる上司から、頑張りを正当に評価してもらえる」といった環境であれば、やる気が高まりそうですね。
人間関係の良い職場では社員のモチベーションが高まり、生産性も高まるといえそうです。
まとめ
職場の人間関係に悩んでいる場合、「自分から積極的に周囲とコミュニケーションをとってみる」「上司や人事に相談する」「異動願いを出す」などの対処法があります。
しかし「社内全体にハラスメントが横行している」「どの部署も雰囲気が悪い」などの場合、上記の対処法では事態を打開できないことも。
人間関係の改善が期待できないなら、心身に不調をきたす前に転職を検討しましょう。
実際に今回のアンケートでは、「転職して嫌な人間関係から解放されたことで精神的にラクになった人」や「心身の不調が改善した人」が多いとわかりました。
人間関係の悩みが軽くなることで、仕事に集中でき、やりがいを感じたり能力を発揮しやすくなったりするメリットもあります。
なお転職先で人間関係に苦労しないためには、「転職エージェント」「職場見学」「口コミサイト」などを活用して社風を調べるのがおすすめです。