あなたは転職活動のために企業研究をしていますか?
「企業研究は、入社後のミスマッチを防ぐために重要」「企業研究しないと志望動機が書けない」などと言われます。
しかし企業研究のやり方がわからないことで、やっていない方も多いのではないでしょうか。
実際、転職経験者521人に「転職活動時に企業研究をしましたか」とアンケート調査した結果、回答は以下のようになりました。
「十分にした」と答えた人は13.8%で、1割強にとどまりました。
「十分にやりきった」と自信をもっていえる人は少ないとわかります。
一方で「まあした」という人は半数を超えており、企業研究の必要性は認識している人が多いこともわかります。
今回の調査では、上記以外にも「転職活動時に具体的に行った企業研究の方法」についても調査しています。
- 調査対象:転職経験者
- 調査期間:2023年8月13日~27日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:521人(女性266人/男性255人)
- 回答者の年代:10代 0.2%/20代 35.1%/30代 41.8%/40代 16.7%/50代 5.0%/60代以上 1.2%
※アンケート中の年齢はすべて「直近の転職活動時」のものです。
【経験者521人に調査】転職活動時の企業研究の方法8選
転職経験者521人に「転職活動時の企業研究の方法」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「企業の公式サイトを見る(262人)」です。
2位「口コミを調べる(134人)」、3位「ネットで検索する(103人)」、4位「知人から情報を得る(34人)」、5位「SNSで情報を得る(25人)」と続きます。
以降、6位「会社・店舗に行ってみる(24人)」、7位「本で調べる(22人)」、8位「エージェントから情報をもらう(20人)」の結果となりました。
「公式サイト」「ネット検索」「SNS」「転職サイト」など、オンラインで情報収集して企業研究する人が多いようです。
では具体的な回答を紹介します。
1位 企業の公式サイトを見る
- 企業ホームページの「求人情報」「企業理念」「先輩社員の体験談インタビュー」など(26歳 男性)
- 企業のホームページを詳しく読んだ(30歳 女性)
- 企業のホームページをくまなく見て、商品・サービスを書き出して覚えるよう努力しました(44歳 女性)
1位は「企業の公式サイトを見る」でした。
企業の公式サイトには「企業理念」「設立からの沿革」「商品・サービス」などが掲載されています。
採用情報のページに、社員インタビューや求める人材像が掲載されていることもあります。
またプレスリリースをチェックすれば、「応募先企業が力を入れていること」「経営戦略」などについて知る機会になるはずです。
公式サイトは企業の概要を把握するために欠かせない媒体だといえるでしょう。
2位 口コミを調べる
- 企業専用の口コミサイト(27歳 男性)
- 求人内容や面接での話がアテにならないと前の職場で学んだため、口コミサイトをひたすらチェックした(31歳 女性)
- 企業で働いている人の口コミを見た(42歳 女性)
2位は「口コミを調べる」です。
転職者の多くが「企業口コミサイト」などを利用して、企業に対する口コミを調べているとわかりました。
「雰囲気」「残業の多さ」「休暇の取りやすさ」など、公式サイト・転職サイトなどではわからない「実際のところ」を知るために役立つはずです。
ただ企業口コミサイトには退職者が投稿することも多く、厳しい意見が多くなりがち。
偏った意見もあると意識しておく必要があるでしょう。
3位 ネットで検索する
- ネットでの収集がメインでした(26歳 女性)
- 主にインターネットを利用して可能な限り調べました(45歳 男性)
3位は「ネットで検索する」でした。
情報収集にはネットを使ったという人が多数。
ネットで「企業の公式サイト」「口コミサイト」「応募先企業に関するニュース」などを閲覧していると思われます。
時間と場所を選ばず企業研究ができるので便利ですよね。
ただしネット情報の中には、間違った内容や古い内容が紛れていることもあるので注意しましょう。
4位 知人から情報を得る
- 応募する企業に勤めている先輩や知人の話を聞いてまわった(30歳 男性)
- 同業他社に勤務する知人から情報収集しました(45歳 男性)
4位は「知人から情報を得る」でした。
応募先企業や希望業界で働いている知人に話を聞いた人も多数。
現役で働いている知り合いがいるなら、「最新の情報」「生の情報」「求人広告には載っていない情報」が手に入ります。
聞きたいことをピンポイントで聞けて、わからないことがあれば質問できるのもメリットです。
5位 SNSで情報を得る
- 企業のSNSをフォローし、どういった人達がどのように働いている職場なのかを確認しました(28歳 女性)
- 企業が運営しているSNS(32歳 女性)
「SNSで情報を得る」が5位でした。
企業の公式SNSをチェックして、社内・社員の雰囲気を探ろうとした人もいます。
また、不特定多数の人が企業や商品・サービスについて投稿している内容をチェックすれば、「企業の評判」がわかります。
採用担当者や内定者のアカウントがある場合、投稿内容から「求めている人材像」を把握できる可能性も。
一方自分のアカウントで不適切な投稿をしていると、企業担当者に見られて不採用になる可能性もありますので注意しましょう。
6位 会社・店舗に行ってみる
- 実際に職場の近くを歩いてみる(26歳 女性)
- 施設の見学をした(37歳 男性)
- 実際に店舗へ行って雰囲気を見ました(42歳 女性)
6位は「会社・店舗に行ってみる」でした。
実際に社員が働いている様子を見学することで、社風を感じられます。
「オフィスや店舗が汚れていないか」「社員の顔色や表情が暗くないか」も、雰囲気を知るための重要な手掛かりです。
オフィスを見学したい場合は、採用担当者や転職エージェントを通して希望を伝えましょう。
医療・介護業界では職場見学する応募者が多いため、採用担当者の方から「職場見学の希望があるか」を聞いてくれることもあります。
7位 本で調べる
- 四季報を熟読(32歳 男性)
- 業界での立ち位置や評判について、雑誌や本で調べた。具体的には『会社四季報』や『日経 業界地図』を研究した(40歳 女性)
7位は「本で調べる」でした。
とくに会社四季報を参考にした人が目立ちました。
会社四季報は項目別にデータがまとめられているので、同業他社との比較に役立ちます。
「会社の財務状況」「将来性」「業界でのポジション」を把握したいときに使いましょう。
8位 エージェントから情報をもらう
- 転職エージェントの話を聞いた(25歳 男性)
- 転職エージェントに相談し、「企業が求めている人材」「企業の事業予定や方針」などの情報を教えてもらった(33歳 男性)
8位は「エージェントから情報をもらう」でした。
転職エージェントは転職のプロなので、企業が求める人材像や業界の動向を把握しています。
求人広告や公式サイトには載っていない情報も得ているので、転職エージェントから情報をもらうことでより深い企業研究が可能となるでしょう。
企業研究を行う際は、いろいろな方法を組み合わせて行うようにするといいでしょう。
ひとつの方法だけだと入手できる情報にも限りがあり、偏ってしまうからです。
たとえば口コミサイトは主観的な内容が多い傾向にあるため、客観的な情報が得られにくいです。
逆に企業の公式サイトには、理念やビジョンなど掲載されていますが、現状と合っていないケースもあります。
企業研究では、以下のようなさまざまな情報が必要です。
- 企業の基本情報(会社概要、経営方針、事業内容など)
- 企業文化・社風
- 競合他社情報
- 企業が求める人物像など
複数の方法を活用して探せば、必要な情報も集まるので、今回紹介した方法を参考に企業研究を進めてみてください。
転職活動時に企業研究をした理由は「面接対策のため」
「転職活動時に企業研究をした」と答えた356名に「転職活動時に企業研究をした理由」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「面接対策のため(124人)」です。
2位「入社後のミスマッチを予防したい(113人)」、3位「転職先について知りたい(36人)」と続きます。
以降、4位「志望動機を考えるため(26人)」、5位「転職活動を有利にしたい(25人)」の結果となりました。
「面接対策」「志望動機をつくるため」など、転職活動をスムーズに進めて内定をもらうために企業研究している人が多い印象です。
また入社後のことを考えて、ミスマッチがないよう企業研究している人もいました。
では具体的な回答を紹介します。
1位 面接対策のため
- 面接などで企業についての質問をされたら答えられるように。また疑問に思ったことを質問したいと思ったので(27歳 女性)
- 企業の特徴を調べ、面接に役立てようと考えた(31歳 男性)
- 面接で聞かれたときに答えられるよう、準備するため(40歳 女性)
1位は「面接対策のため」でした。
面接では「当社の強み・弱みは何だと思いますか」など、応募先企業についての質問が予想されます。
企業研究をもとに論理立ててて答えられれば、企業への本気度もアピールできて好印象を残せるでしょう。
「企業のことを知らずに面接に行くなんて、考えもしなかった」という回答もありました。
「面接に行くなら、企業研究するのは当然」と考える人も多いようです。
2位 入社後のミスマッチを予防したい
- 入社してからの職場環境などがイメージしやすくなるので、しっかり下調べしました(28歳 女性)
- 入社後にミスマッチを起こして後悔したくなかった(36歳 男性)
- 入社後のギャップやトラブルを未然に防ぐため(45歳 男性)
2位は「入社後のミスマッチを予防したい」です。
企業研究不足が原因で、転職後に「思っていた業務内容や社風と違う」と後悔する人も多いです。
予想とのギャップが大きすぎると、短期離職につながる可能性もあります。
しかししっかり企業研究しておけば、ミスマッチが起こる可能性は減らせます。
過去の転職において企業研究不足でミスマッチを経験し、「今回は失敗したくない」と企業研究に取り組んだ人もいました。
3位 転職先について知りたい
- 企業研究しないと、企業のことがわからないから(28歳 女性)
- 応募先の評判が悪かったため、真実なのかを知りたかったからです。評判だけにとらわれず「企業も日々進化しているであろう」と前向きに研究した結果、就職しました(31歳 女性)
- 単純に、応募先に興味を持っていたので知りたかった(33歳 男性)
3位は「転職先について知りたい」でした。
勤務先となるかもしれない会社のことを知りたいと思うのは当然でしょう。
企業研究しないと「入りたい会社かどうか」「応募するか見送るか」の判断もできません。
4位 志望動機を考えるため
- 企業の立ち位置を把握し、自分の志望理由と結びつけるため(28歳 男性)
- 事業内容や企業理念を理解しないと、履歴書に志望動機を書けない(41歳 女性)
「志望動機を考えるため」が4位でした。
企業研究をしっかり行うことで、よりよい志望動機が書けると考える人も多数。
企業研究によって「企業が求める人材像」と「自分の長所や実績」をリンクさせられるからです。
とくに志望動機中の「なぜ応募先企業でないといけないのか」の部分が明確になるでしょう。
「どんな企業にも出せるようなふわっとした志望動機」ではなく、「応募先企業に合わせた志望動機」を用意するには、企業研究が必須です。
5位 転職活動を有利にしたい
- 前の業種や職種とまったく関係がない仕事だったので、受かるために研究をしました(29歳 女性)
- 企業のことをよく理解することで熱意も湧き、採用してもらいやすくなると思うから(30歳 女性)
- 少しでも内定の確率を上げるため(37歳 男性)
5位は「転職活動を有利にしたい」でした。
企業研究すると企業への理解度が深まって熱意をアピールしやすくなるため、転職活動を有利にできます。
能力や人柄だけではなく、本気度を重要視する会社もあるからです。
書類や面接を通して「企業研究に労力と時間を割いた」と伝われば、ライバルに差をつけられるでしょう。
面接不要の求人も一部ありますが、転職活動において面接は避けて通れません。
面接対策では企業研究にプラスして、自己分析や模擬面接なども行うようにしましょう。
面接では企業研究でカバーできる質問以外にも、「長所や短所」「キャリアプラン」「希望の年収」なども聞かれるため、多岐にわたる対策が必要です。
自己分析の方法に関しては、「就活・転職活動時の自己分析のやり方おすすめランキング!具体的な方法や注意点も解説」の記事も参考にしてみてください。
転職活動時に企業研究をしなかった理由は「必要ないと思った」
「転職活動時に企業研究しなかった」と答えた165名に「企業研究をしなかった理由」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「必要ないと思った(34人)」です。
2位「転職先にこだわりがなかった(22人)」、3位「転職先について十分知っていた(19人)」と続きます。
以降、4位「やり方がわからなかった(17人)」、5位「時間がなかった(16人)」の結果となりました。
やりたかったけれどできなかった人よりも、「あえてやらなかった人」「そもそもやる気がなかった人」が多い印象です。
では具体的な回答を紹介します。
1位 必要ないと思った
- 企業についての深い知識より、「職種に対する十分なスキルがあるかどうか」の方が重要視されていたため(28歳 女性)
- 面接が得意だったから、事前に情報を入れなくても大丈夫だと思った(34歳 女性)
- 何とかなるだろうと思ったからです(41歳 男性)
1位は「必要ないと思った」でした。
必要性を感じなかった理由は「専門職なのでスキルさえあれば受かると思った」「面接は得意だから」など。
ただ企業研究せず入社できたとしても、将来的にミスマッチに苦しむ可能性があります。
「内定をとること」ではなく「企業で活躍すること」を目標にする場合には、やはり企業研究したほうがよいでしょう。
2位 転職先にこだわりがなかった
- 特別に「この企業に行きたい!」という気持ちがなく、物流業界ならどこでもいいと思ったからです(24歳 男性)
- とにかくすぐに働ける職を探していたから(38歳 女性)
2位は「転職先にこだわりがなかった」です。
「とにかく早く転職したい」という焦りがあり、「受け入れてくれる企業ならどこでもいい」という気持ちで転職活動していたため、企業研究しなかった人も。
人手不足の会社なら、企業研究不足でも採用してくれるかもしれません。
ただ採用後にミスマッチで苦しむ可能性はあります。
3位 転職先について十分知っていた
- 同じ業界に転職し、仕事内容も大きく変わらなかったからです(24歳 女性)
- 前職と同一業界を希望していたので、すでにいろいろと知識は持っていたから(38歳 男性)
3位は「転職先について十分知っていた」でした。
転職先について知っていた理由は「同じ業界だから」「転職先に知り合いがいて、話を聞いていたから」などでした。
ただ知り合いの意見だけを信用していると、入社後に違った面が見えてくる可能性もあります。
転職にあたっては、あらためて企業研究するほうがよいのではないでしょうか。
4位 やり方がわからなかった
- ホームページを見れば少しは分かるが、他に何をしたらいいのか分からないためです(28歳 女性)
- 何を調べれば良いか分からなかった(51歳 男性)
4位は「やり方がわからなかった」でした。
「何をどうやって調べればよいかわからなかった」という人も多くなっています。
企業研究では企業の公式サイトやOB・OG訪問などを通じて、企業の「概要」「事業内容」「業界内での立ち位置」「将来の展望」を調べましょう。
5位 時間がなかった
- 一度にたくさん応募しすぎて手が回らなかった(27歳 女性)
- 仕事をしながらの転職活動で、なかなか企業研究に時間を取れなかったからです(37歳 男性)
「時間がなかった」が5位でした。
とくに在職しながらの転職活動だと、企業研究に十分な時間を割けない人が多いようです。
応募数が多すぎて、「重点的に企業研究する企業」と「おざなりになってしまう企業」という差が出てしまう場合もあるでしょう。
アンケートの回答と同じ理由で、企業研究を省略しようと考えている人もいるかもしれませんがおすすめはしません。
企業研究の目的は、「企業を理解して自分に合った企業かを見極めること」と「志望動機を明確にして選考通過すること」だからです。
企業研究をしなくても内定をもらえるケースはありますが、転職は内定獲得が目的ではありません。
転職後の満足度が転職の成功を左右するのではないでしょうか。
「面倒」「やり方がわからない」「時間がない」という人は、転職エージェントを活用して、企業研究をサポートしてもらうといいでしょう。
まとめ
転職活動経験者に企業研究について聞いたところ、「公式サイトや口コミサイトで企業研究した」という人が多くなりました。
公式サイトや口コミサイトはネットさえあれば家でも外出先でも閲覧できるので、チェックするのは難しくありません。
最低限、公式サイトで「企業理念」「経営方針」「事業内容」「最近の動向」は確認しておくとよいでしょう。
「企業研究ノート」をつくって記録しておくと、他社との比較に使えます。
また職場の雰囲気を知りたいなら、口コミサイトや職場見学がおすすめです。
企業研究が不十分だと、転職後にイメージとのギャップを感じ、ツラくなって短期離職してしまう可能性もあります。
転職活動を有利に進めるためだけではなく、入社後のミスマッチを防ぐ意味でも企業研究は重要です。