【保育士63人の口コミ】保育士資格の取り方と資格取得で苦労したこと

保育士資格の取り方
株式会社ビズヒッツ代表取締役 伊藤陽介
伊藤 陽介
こんにちは。株式会社ビズヒッツ代表の伊藤です。

当サイトが保育士の資格をもつ63人に「保育士資格を取るためにどのように勉強したか?」を聞いたところ、63人中46人が「大学・短大・専門学校などに通った」と回答しました。

【調査概要】

  • 調査対象:保育士の資格を持っている方
  • 調査期間:2019年12月1日~12月4日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:63人

保育士資格を取った方法

この結果を見て、「養成学校を卒業していないと保育士資格を取るのは難しそう…」と思う人は多いかもしれません。

しかし、保育士の養成学校を卒業することは、保育士になるための唯一の道ではありません。

実際、通信講座やスクール・独学で勉強して資格を取得し、保育士さんとして第一線で活躍している人はたくさんいるからです。

当記事では、63人の保育士さんの口コミをもとに、保育士資格を取得するための方法や、資格取得で苦労した点などについて解説していきます。

この記事を読めば、保育士資格を取るための具体的な方法と心構えがわかりますよ。

今まさに保育士の道を目指そうとしている人にも、保育士の仕事に漠然とした興味をもっている人も、ぜひ参考にしてみてください。

資格がなくても保育士になれる

実は、保育士の資格をもっていなくても保育士になれます。

正確には、保育施設で働けます。

保育園は、園児の年齢と人数によって保育士の数が決まっており、保育士の数が規定に達していれば職員全員が有資格者である必要はないからです。

とはいえ、保育士資格がないと仕事内容は限定されます。

無資格の場合、求人の多くは「保育補助」だからです。

保育補助とは、行事の準備・壁面制作・オムツ替え・掃除のような、主に担任の先生のサポートをする仕事です。

雑用が多く保育士の仕事としては物足りないと感じる方も多いので、担任をもって子どもたちとしっかり関わりたい方は、やはり保育士資格をもつことはおすすめです。

資格をもつことで、どんな求人にも応募できるようになり、仕事の選択肢が格段に広がりますよ。

保育士資格を得る方法

保育士資格を得るには、2つの方法があります。

1つ目は、アンケート結果でも圧倒的に多かった「養成学校を卒業する」こと。

2つ目は、「保育士試験に合格する」ことです。

1.保育士の養成学校を卒業する

厚生労働省が指定する保育士の養成する学校を卒業すると、保育士資格を得られます。

保育士を養成する学校には、2~4年制の大学・短大・専門学校などがあります。いわゆる保育科がある学校ですね。

学校では講義を受けるほか、生徒同士で演習を行ったり、実際に施設に行って実習をしたりします。

所定の課程や科目を履修して卒業すれば、保育士試験を受けなくても保育士の資格が得られます。

2.保育士試験に合格する

保育士の養成する学校を卒業していない場合は、保育士試験に合格することで、保育士資格を取得できます。

保育士の資格試験は年に2回。

筆記試験は9科目あり、実技試験は「音楽」「造形」「言語表現」の3つから2つを選択する方式となります。

筆記・実技ともに合格ラインは各科目6割以上で、すべての科目に合格しなければ保育士資格は得られません。合格率は20%前後と難易度は高めです。

ただし、筆記試験は9科目をいっぺんに合格する必要はありません。

合格した科目は3年間有効で、試験は1年に2回あるため、有効期限内に何科目かに分けて少しずつ合格していく人もいますよ。

保育士資格は「スクール」「通信教育」「独学」で取れる

保育士の養成学校を卒業していない人が保育士資格を得るには、「スクール」「通信講座」「独学」の3つの勉強方法があります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.保育士試験対策のスクールに通う

保育士資格を得るための勉強方法1つ目は、「保育士試験対策のスクールに通う」です。

3つの方法のなかで費用は最もかかりますが、プロの講師から学べ、わからないことはすぐに質問して解決できるため、保育士試験合格の近道となります。

おすすめな人をあげておきますね。

・一人で勉強するのが苦手な人
・仲間と一緒の方が頑張れる人
・保育士の勉強が初めてで、何から手をつけたらよいか分からない人

授業は、週1~2回のように通学スケジュールが決まっているもののほかに、あらかじめ決まったコマ数(授業数)をすきなペースで通うものあり、通学期間は6~12ヶ月が一般的です。

全科目コースだけでなく、以前不合格だった科目や苦手科目に絞って受講できるスクールもありますよ。

受講費用はピンキリですが、全科目受講で25~35万が相場です。

学校名 受講料 コマ数(授業数)
キャリアステーション 全科目スタンダードプラン:314,000円 66コマ
ライセンス学院 全科目受講:260,000円 36コマ

2.通信講座を受ける

保育士資格を得るための勉強方法2つ目は、「通信講座を受ける」です。

必要な教材がすべてそろった状態で届くため、手順通りに学習を進めるだけで保育士試験に合格するための力が身につきます。

自分で教材を買いそろえたり、何を勉強すればよいか考えたりする手間がなく、また、自宅で自分のすきな時間に学習できるのが大きなメリットですね。

テキストやCD、DVDのほか、最近ではe-ラーニングというインターネットを利用した教材もあります。

受講期間の目安は6~12ヶ月。順調に学習を進めれば、最短6ヶ月で保育士試験を受けるための力が身につきます。

「通信講座だと実技対策ができないのでは?」思う方もいると思いますが、たとえばヒューマンアカデミーでは「演奏の練習方法」「絵画の書き方」「言語表現の仕方」などをDVDで解説、さらには実技の添削や評価もしてもらえます。

受講料は5~6万円ですが、厚生労働省指定の「教育訓練給付制度」の指定講座であれば受講料の20%が戻ってきます。

会社名 講座名 受講料 期間の目安
ヒューマンアカデミー 保育士完全合格講座 59,000円 6ヶ月
ユーキャン 保育士講座の資料請求 59,700円 12ヶ月
三幸保育カレッジ 保育士受験対策講座 42,000円 6ヶ月
四谷学院 保育士講座 1科目15,800円~ 6ヶ月

※上記はすべて受講料が20%戻る「教育訓練給付制度指定講座」です。

3.独学で学ぶ

保育士資格を得るための勉強方法3つ目は、「独学で学ぶ」です。

最近は参考書や問題集だけでなく、ネットから教材をダウンロードできたり、You Tubeで学ぶこともできるため、やる気さえあれば、お金をかけずに保育士資格を取得することも十分可能です。

当サイトが行ったアンケートでも、さまざまな方法で勉強し、独学で試験に合格した方も多くいました。

アンケート内で実際に資格取得に役立ったという声の多かったものを一部紹介します。

◆独学で勉強した人の口コミ

「ふくしかくネット」の一問一答は大変役立ちました。
・保育雑誌の「pripri」をよく購入していました。
・「保育所保育指針」は保育士になる方のバイブルです。
・保育士試験のためのサイト「エンゼルカレッジ」に登録して勉強していました。
・「1回で受かる!保育士過去問題集」を何周も解いただけで受かったのでおすすめです。

〔出典〕独自アンケート調査

ただし、自分自身で学習計画を立てたり教材を準備したりするのが面倒な方は、通信講座を利用した方が効率よく受験対策できますよ。

保育士試験を受けるための受験資格

保育士試験を受けられるのは、以下の受験資格がある方となります。

・大学卒業
・大学在学中または中途退学(2年以上在学+62単位以上修得)
・短期大学卒業または在学中
・2年以上の専門学校卒業または在学中
・高校卒業(平成3年3月31日以前)
・中学卒業で5年以上かつ7200時間以上児童等の保護または援護に従事した勤務経験がある

受験資格の詳細は、全国保育士養成協議会の受験資格ページをご確認ください。

保育士の資格取得をするうえで一番大変だったことは?

保育士さん63人に、資格取得で一番大変だったことを聞いてみました。

保育士資格取得で大変だったこと

1位:保育実習

・子どもとの接し方がいまいちわからずに戸惑うばかりでした
・保育者らしいことは何もできないまま、「実習先の先生たちの邪魔になってしまっただけだったのでは?」「保育士に向いていないのでは?」と夢を諦めたくなって苦しかった
・保育実習は勉強になりますが、慣れない環境や実習といえ責任は大きいので辛いこともありました

〔出典〕独自アンケート調査

資格取得で大変だったことのダントツ1位は「保育実習」でした。

「学校で習った知識だけでは対応できないことが多く苦労した」という方が多くいました。

また、泊まり込みの実習や、障害者施設での実習、自宅から遠い場所での実習などが大変だったという声も聞かれました。

2位:実習中の書類作成

・実習でクタクタになった後に日誌を書かなくてはならず大変だった。また、日誌の書き直しもさせられ辛かった
・現場実習で書く指導案が上手く書けず、何度も書き直しをして睡眠時間をほとんど取れなかったことが辛かった

〔出典〕独自アンケート調査

資格取得で大変だったこと第2位は、「実習中の書類作成」でした。

仕事を始めてからも苦労する保育士さんが多い書類作成業務。

実習中も、毎日の日誌や記録、指導計画案の作成などを負担に感じている方が多くいました。

最初のうちは書き直しさせられることも日常茶飯事で、寝る暇がなかったという声も少なくありませんでした。

3位:ピアノの修得

・ピアノが全くの初心者だったので、一からやるのはとても大変でした
・ピアノを習っていなかったのでそこが一番辛かった

〔出典〕独自アンケート調査

資格取得で大変だったこと第3位は「ピアノの修得」でした。

保育士の実技試験は、「音楽」「造形」「言語表現」の中から2つ選択できるためピアノは、必須ではありません。

ただし、必須ではないものの保育現場で「ピアノを弾けること」を求められる場面は多いため、資格取得を機会にピアノの修得を目指す方は多いです。

苦労しながらも仕事の選択肢を広げるために、頑張っている方が多いようですね。

4位:勉強の時間が取れない

・産まれたばかりの息子の世話をしながら勉強をしていたので、なかなか集中して学習の時間が取れなかった
・働きながらだったので勉強時間を確保するのが大変だった

〔出典〕独自アンケート調査

資格取得で大変だったこと第4位は、「勉強の時間が取れない」でした。

とくに社会人になってから資格取得をした方は、時間の確保に苦労しています。

働いていたり子育てをしていたりすると、まとまった勉強時間を確保することが難しいようですね。

お子さんが寝たあとや、帰宅後・休日などに時間を捻出して勉強している方が多くいました。

これから保育士の資格取得をする方にアドバイス

最後に、実際に保育士資格を取り、保育士として活躍している方からのメッセージを紹介します。

資格取得に関する具体的な対策から保育士としての心構えまで、これから保育の道に進もうとしている方には、きっと役立つアドバイスや心に刺さる言葉があると思います。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

とにかく過去問。繰り返し勉強すれば知識は必ずつきます。

〔出典〕独自アンケート調査

保育士の資格試験は割と細々とテスト教科の内容が変わるので、テキストのみを勉強するのではなく子どもや発達障害関連の特番、ニュースなどは押さえた方が良いと思います。

〔出典〕独自アンケート調査

科目によって難易度に差があります。「社会的養護」「子どもの食と栄養」「子どもの保険」は覚えることが多く難易度は高いです。

難易度の高い科目は時間を多くさき、簡単な科目は手抜きすることをおすすめします。

過去問をやってみると科目の得意不得意が見えるので、そこからどこを重点的に勉強すればいいのか逆算してみると良いと思います。

〔出典〕独自アンケート調査

実習ではとにかく元気に明るく。緊張やもじもじ、自主性のなさはよく思われません。

〔出典〕独自アンケート調査

実習は上手くいかないことがほとんどです。上手くいったとしても、それは担当したクラスの担任の先生が4月からしっかり子どもたちを教育してまとめあげているから。

過信するとちょっと失敗しただけでも「向いてないかも…」と落ち込んだり辞めてしまう人も多いので、「上手くいかなくて当然」くらいの気楽さで臨んだ方が良いです。

〔出典〕独自アンケート調査

「ただ子どもと遊んでいるだけ」と軽視されがちな仕事ですが、実は人間をみる多角的な眼差しや広い視野など、人としての器が試される仕事です。

歌や制作などの技術が必要と思われるかと思いますが、それよりももっと大事なことが沢山あります。子供への眼差しをしっかり学んで欲しいと思います。

〔出典〕独自アンケート調査

保育士を取得して良かったと思うところは、保育所の職員になれるところです。

私は保育士資格を取ってから高齢者分野に進みましたが、子どもと関わる仕事をする上では、持っていないと不利になる資格で必ず役に立つと言うことがでます。

今は専業主婦をしていますが、保育所でのパートの仕事などの求人もあり、資格を活かして仕事ができるというところには強みを感じています。

また今自分の子どもを育児中なのですが、子どもが生まれた時に保育士試験のために勉強したことが、活かせているように感じます。

〔出典〕独自アンケート調査
中田馨(なかたかおり)氏
当記事の監修者、中田馨氏からのアドバイス

私の保育所の職員は、大学や短大で資格を取得した人が大半で、通信講座を受け、保育士試験を受け保育士になった人は1名です。

私の印象としては、やはり独学や通信講座で保育士になった人は相当頑張った!といったところでしょうか。

保育士の資質として、どちらに優劣があるわけでは決してありません。

自分自身の住んでいる場所、勉強に費やせる時間、費用面で保育士資格取得の条件が変わってくるでしょう。

様々な教科があって学ぶことがたくさんある保育士資格の勉強ですが、今、学んでいることは現場に立った時に必ず役に立ちます!

■監修者プロフィール
中田馨(なかたかおり)氏
中田家庭保育所施設長、一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。

『AERA dot.』『小学館 Hagukum』などで離乳食・育児コラム連載。著書に『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)がある。

1974年創業の実家の保育所を継ぐ。保育士歴は20年以上。現在8名のスタッフと共に保育所を運営している。

2005年、2008年に出産するが、2人目が産まれてから別居、離婚を経験しとしたため10年以上ひとり親として仕事と子育てを両立している。

自身が運営する『赤ちゃんからはじめる和食育☆離乳食インストラクター中田馨の“和の離乳食レシピ”blog』では、2,000食以上の離乳食レシピが紹介されている。