そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
会社の選び方を失敗すると「せっかく転職したのに、職場が合わなくて短期で退職」となる可能性も十分に考えられます。
そこで今回は転職経験者500人にアンケートを実施し、「転職先の決め手」について聞きました。
- 調査対象:転職経験がある人
- 調査日:2021年3月11日~15日
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 調査人数:500人(女性301人/男性199人)
転職活動での応募数は平均4.7件
まず転職活動で何社に応募したかを聞いたところ、結果は以下のようになりました。
平均は4.7社で、全体では「3社以内」の人が多くなっています。
「1社のみ」という人も96人で、19.2%に達しました。
年齢や職種・業界などにより異なるものの、一般的には「転職活動で1社から内定をもらうためには、6~10社程度応募するのが目安」といわれます。
しかしアンケート結果では、一般論に比べて少ない応募社数で転職できた人が多くなりました。
一方で「50社受けた」など、多数の企業に応募した人も。
以上のことから「早く決まる人と苦戦する人の差が大きいのではないか」と考えられます。
転職先の決め手ランキング
次に「転職先の決め手はなんでしたか?」と聞きました。
回答数が多かった10位までを、ランキング形式で紹介します。
「希望する仕事内容だった」が137人で1位となりました。
2位以下には「収入に納得した」「勤務時間・休日数がよかった」「希望する勤務地で働ける」「福利厚生が整っている」など、働きやすさや待遇に関する項目が多くランクイン。
「やりがい」「待遇」「働きやすさ」を決め手としている人が多いとわかりました。
では具体的な回答をご紹介します。
1位 希望する仕事内容だった
- 希望ズバリの職種でオファーをいただいたため(30代女性)
- 前職の経験が活きると思った。比較的業務内容が近く、転職後もスムーズに働けた(40代男性)
- やりたい職種だったこと。資格が活かせたこと(50代女性)
「資格・経験・適性を活かせる」「やりたい職種だった」など、仕事内容が希望と合っていたことを決め手に転職先を選んだ人が1位。
「仕事にやりがいを感じない」「もっとスキルアップしたい」と感じて、転職を考えはじめる人も多いため、納得の結果です。
採用側としても「この仕事に挑戦したい」と志望してきた応募者に対しては、「やる気がありそうだ」と感じるでしょう。
2位 収入に納得した
- 3社応募して3社とも採用され、最終的には給与で決めました(20代男性)
- 前職よりも給料が高かったこと(30代女性)
- 収入が安定していたこと(40代女性)
2位は「収入に納得した」でした。
「収入が高いから決めた」と回答した人のほか、「収入が安定しているから」「インセンティブがつくから」という人も。
また14位には、「収入と休日のバランスがよかったから」という回答がランクインしています。
3位 勤務時間・休日数がよかった
- 基本的に残業がなく、完全週休2日制。休日が多く、休みは趣味や自己学習に使えることが決め手(20代女性)
- 土日祝休みで、休日の条件が良かった(30代女性)
- シングルだったので、ある程度時間の融通がきくところが良かった(50代女性)
「残業の少なさ、休日数の多さが決め手になった」という人が79人で3位。
毎日遅くまで残業したり、休日出勤を命じられたりする職場は、体力的にはもちろん精神的にもツライもの。
反対に、残業が少なくて休日も多い職場なら、勤務時間中はしっかり集中して業務にのぞめそうですね。
4位 希望する勤務地で働ける
- 在宅勤務で一切出社しなくていいことが一番の決め手でした(20代女性)
- 家から通いやすい距離にあること(40代女性)
- 転勤に関わるトラブルで前職を退職したため、転勤がなく勤務地も地元であることが決め手となった(50代男性)
4位は、職場が近いなど「希望する勤務地で働けることが決め手になった」という回答でした。
長時間の通勤は疲れますし、「幸福度」や「仕事における生産性」にも影響するといわれています。
通勤しやすい職場で働くことは、通勤する本人にも会社にもメリットがありそうです。
5位 社風・雰囲気にひかれた
- 給与はそれほど高くなかったが、雰囲気が良く面接官の印象も良かった。ここなら長く勤められそうだと感じた(30代女性)
- 決め手は人間関係の良さです(50代男性)
5位は「社風や雰囲気が決め手になった」と回答した人でした。
「採用試験で出会った面接官の人柄」や「職場見学で感じた社風、雰囲気」に魅力を感じて、転職を決めた人も多いようです。
「給与が良くても、人間関係が悪い職場は働きにくい」と退職する人もいるので、職場の雰囲気は大事ですよね。
6位 福利厚生が整っている
- 福利厚生が充実していること(20代女性)
- 24時間保育の託児所がついていたから(30代女性)
社会保険、住宅手当や通勤手当、退職金など、「福利厚生の充実」を決め手に挙げた人が6位となりました。
子育て支援制度や資格取得支援など、会社独自の福利厚生制度が充実している会社もあります。
福利厚生が整っている会社は、「社員を大切にしており、働きやすい」というイメージがありますよね。
7位 規模・安定性・成長性にひかれた
- 全国展開しているので、潰れなさそうと思った(20代女性)
- 大手会社の下請けだから(30代男性)
「規模・安定性・成長性」などを重視して決めた人が7位でした。
業績が悪化している会社よりは、「安定している企業、これから伸びていく企業で働きたい」と思いますよね。
ただ規模については「大企業だからよい」という人ばかりではなく、「少人数のほうが精神的に楽ではないかと思ったので決めた」という意見もありました。
8位 雇用形態を重視した
- 入社した時から正社員で働けることでした(30代男性)
- 正社員採用だったところ。以前は契約社員採用だったので(40代男性)
正社員採用や正社員登用制度など、雇用形態が決め手になったという人が8位。
「非正規雇用では不安だから、正社員になりたい」と希望する人は多いですよね。
7位で見られた「安定性」を求める意見と共通点があるように思えます。
9位 最初に内定をもらえた
- 最初に内定をもらえたから。あまり転職活動を長引かせたくなかった(30代男性)
- はじめに採用されたところに決めた(50代男性)
9位は「最初に内定をもらえたから決めた」。
「最初に内定をもらえたところに決めた」と答えた9人全員が3社以上に応募しており、20社以上に応募した人も3人いました。
応募した会社数が多くなってくると「早く決めたい」と思ってしまいそうですね。
10位 勧められた・誘われた
- 前職でお客様であった企業担当者から、お誘いの言葉をいただいたことが決め手(40代男性)
- 父親が「あんな大きくて有名な会社は逃してはダメ」と言ったから(40代女性)
「転職しないか」と誘われたり、周りから強く勧められたりしたことが決め手になった人が10位。
「うちの会社にはあなたが必要」と請われるとやはり嬉しく、「そう言ってくれるなら」という気になりますよね。
家族や友人からの「あの会社はいいよ」という勧めも、迷っている気持ちを後押ししてくれるようです。
転職先について誰かに相談した人は55.2%
最後に「転職先を決めるにあたり、誰かに相談したか」を尋ねると、結果は以下のようになりました。
「相談した」と答えた人が、誰にも相談していない人を上回りました。
誰かに相談して「自分とは違う新しい意見」「客観的なアドバイス」をもらえるのは、転職活動をすすめるうえで役立ちます。
続いて「相談した」と答えた276人に、「相談した相手」を聞いたところ、結果は以下のようになりました。
1位は本音で相談できる「家族・親戚」でした。
利害関係や遠慮がないので、客観的で率直なアドバイスがもらえそうですよね。
より専門的な助言がほしい場合は、4位の「転職エージェント」や「ハローワークの担当者」に相談するのもオススメ。
数多くの転職者を見てきたプロなので、転職市場の動向を踏まえたアドバイスが期待できます。
なお3位には「職場の上司・同僚」が入りましたが、実は退職前に「現職の上司や同僚」に相談するのには注意が必要。
退職を思いとどまらせようとする上司や、「転職する」「転職を考えている」と打ち明けられて気まずい思いをする同僚もいるからです。
よほど信頼関係がある上司・同僚以外には、うかつに相談しないようにしましょう。
【タイプ別】入社後に後悔しない転職先の選び方
この章では、入社後に後悔しない転職先の選び方を、タイプ別に4つ紹介します。
- 経験やスキルを生かした仕事がしたい
- 能力や頑張りに見合った給料がほしい
- 社風や職場の雰囲気を重視したい
- 福利厚生の充実した会社がいい
これから転職活動を始める方、複数の内定をもらっていて何を決め手にすればいいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
【タイプ1】経験やスキルを生かした仕事がしたい
これまでの経験やスキルを活かした仕事に就きたい方は、転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントなら、あなたの「経験」や「得意」を活かせる仕事を探してくれるからです。
また、転職エージェントを通すことで、「実際に働き出してみたら思っていた仕事と違った」というミスマッチも起こりにくくなります。
たとえば、同じ「経理事務」でも、会社によって仕事内容はさまざま。
「経費・伝票入力」のような簡単な職務を任される会社もあれば、「決算書作成」や「固定資産管理」のような企業会計の中枢を任される会社もあります。
ネット求人では詳細な仕事内容がわからないことも多く、実際に入社してから、
- 仕事の難易度が高すぎてついていけない
- やりがいがない。もっとスキルを活かせる仕事がしたい
…と後悔する人も。
転職エージェントなら、担当者を介して事前に詳しい仕事内容を聞けるため、自分のスキルに合った仕事内容か判断した上で応募できますよ。
あなたに適した転職エージェントや転職サイトは以下から検索できますので、ぜひご活用下さい。
【タイプ2】能力や頑張りに見合った給料がほしい
- 能力を過小評価されていると感じる
- 頑張りに見合った給料がほしい
という方は、歩合制のお仕事も検討してみましょう。
歩合制であれば、あなたの能力が「給料」や「インセンティブ」として、目に見える形で評価されるからです。
また、頑張ってもサボっても給料が同じことに不満を感じている人にとっても、歩合制は不公平感がなくおすすめです。
歩合制には、たとえば下記のような仕事があります。
- 営業(保険・不動産・MRなど)
- 美容部員
- ショップ店員
- エステサロンスタッフ
歩合制は、「完全歩合制(基本給ゼロ)」と「基本給+歩合」の2種類。いずれにしても給料の額は能力次第です。
「頑張りを給料に反映させたい」「インセンティブがあるとやる気が出る」「自分の力を試したい」という方は、挑戦してみてください。
【タイプ3】社風や職場の雰囲気を重視したい
社風や職場の雰囲気を重視して転職先を決めたい方は、『企業口コミサイト』をチェックしましょう。
求人に応募する際、会社のホームページを見る人は多いのではないでしょうか。
しかし、ホームページは対外的に作っている側面が大きいため、マイナスなことは書かれていません。
一方、ライトハウスといった企業口コミサイトでは、実際に働いている(働いていた)人の生の声を聞けます。
会社のホームページや面接では知れない、より信憑性の高い情報を得られるので、ぜひ活用してください。
【タイプ4】福利厚生の充実した会社がいい
福利厚生を重視するなら、いわゆる「大手企業」のような規模の大きな会社がおすすめです。
福利厚生を導入するには費用がかかるため、資金に余裕のある企業の方が福利厚生が充実しているケースが多いからです。
- 各種休暇(慶弔休暇・リフレッシュ休暇・誕生日休暇など)
- 住宅・家賃補助
- 手当(住宅手当・家族手当など)
- 健康診断補助
- 祝い金(結婚・出産など)
- 食事補助
- 託児施設
- レジャー施設割引など
- 退職金
大手から中小企業に転職し、「大手の福利厚生ってすごく充実してたんだな…」と実感する人は少なくありません。
補助金や手当など、収入の一部として当てにしていたものがなくなると、生活に支障が出ることもあります。
中小企業でも福利厚生に力を入れているところもありますが、いずれにしても、入社前に必ず確認しましょう。
まとめ
転職経験者500人に「転職先の決め手」について聞いたところ、1位は「希望する仕事内容だった」でした。
「仕事にやりがいを持てるか」を決め手にした人が多いとわかります。
2位以下には「収入」「休日」「勤務地」など、待遇や労働条件に関する項目が多くランクイン。
「やりがい」「待遇」「働きやすさ」が、転職先の決め手の主なポイントと言えそうです。
なお転職先について誰かに相談した人は55.2%で、相談相手は家族・親戚が最多。
ただし家族や親戚は必ずしも「転職のプロ」ではなく、「思い込み」や「昔の感覚」で話をする場合もあるため、的確なアドバイスをもらえるかはわかりません。
転職市場の動向や適性を踏まえたアドバイスが必要なら、ハローワークや転職エージェントに相談するのがオススメです。