「虫歯っぽいけど、お金がなくて歯医者に行けない」と悩んでいる方はいませんか。
「お金がないから」と虫歯や歯の痛みを我慢したり、市販薬などで対処していると、症状が悪化してしまうこともあります。
今回は歯医者に行くお金がなかった経験をもつ386人にアンケートを実施。
「歯医者の治療費を払えなかった理由」や「治療費を払えなかったときの対処法」を聞きました。
- 調査対象:歯医者に行くお金がなかった経験がある人
- 調査期間:2023年10月13日~27日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:386人(女性226人/男性160人)
- 回答者の年代:10代 0.8%/20代 20.5%/30代 38.1%/40代 25.9%/50代 12.4%/60代以上 2.3%
歯医者の治療費が払えない理由1位は「収入が少なく余裕がなかった」
歯医者に行くお金がなかった経験をもつ386人に「歯医者の治療費が払えない理由」を聞きました。
その結果、ダントツは1位「収入が少なく余裕がなかった(163人)」でした。
続いて2位「娯楽・趣味に使いすぎた(50人)」、3位「無職だった(45人)」となっています。
低収入や無職など、収入が足りなくて歯医者に行くお金がない人が多いようです。
収入が少ないと、歯医者以外の急な出費があったときに、歯医者に行くお金が削られてしまうこともあるでしょう。
1位 収入が少なく余裕がなかった
- 収入が減り、医療費にお金をかけられなくなったからです(20代 男性)
- 給料が少なく、月々の固定費などを払うと治療費が捻出できない(30代 女性)
- 働いていましたが、支払いや食べていくので精一杯でした(50代 女性)
1位は「収入が少なく余裕がなかった」でした。
「食費や光熱費などの生活費を支払うと治療費が残らない」という人が多いとわかります。
お金がないから治療は無理、と諦めてしまうのですね。
会社の業績が悪化し、収入が減ってしまった人もいました。
2位 娯楽・趣味に使いすぎた
- 買い物や遊びにお金を費やしてしまった(30代 女性)
- 趣味や娯楽にお金を使いすぎ、貯蓄もなかったため、歯医者に行きたくても行けませんでした(40代 男性)
- 遊びすぎて、給料がいつもほとんど残っていなかった(60代以上 男性)
2位は「娯楽・趣味に使いすぎた」です。
収入はあるものの、買い物や趣味に使いすぎて歯医者に回せるお金がなくなった人も。
計画性なく趣味にお金をつぎ込んでしまう人の場合、貯金もできていないことが多いのではないでしょうか。
手持ちのお金も貯金もなく、「歯医者に行けない」と焦った人もいました。
3位 無職だった
- 仕事を辞めた後に虫歯ができたから。給料もないので行けなかった(10代 女性)
- 大学院修了後、無職で収入もなかったので、歯医者で処置してもらうお金がなかった(30代 女性)
- 仕事をクビになり収入が途絶えたため(40代 男性)
3位は「無職だった」でした。
「収入が少ない」と同様、生活だけで精一杯で、治療できなかったパターンです。
「無職だししょうがない」と諦めてしまう人もいるのですね。
生活が苦しくて必要な治療が受けられない場合は、「無料低額診療」の利用や、生活保護を検討してみてはいかがでしょうか。
4位 歯科治療の優先順位が低かった
- 歯のクリーニングをしてもらいたいけど、歯医者よりも優先したいお金の使い方があったから(30代 女性)
- 歯医者に行くなら美味しいものを食べたい(40代 男性)
- ひとり親で子どもを二人育てているので、自分のために使うお金がないからです(50代 男性)
4位は「歯科治療の優先順位が低かった」でした。
歯や口腔内の健康はとても重要ですが、自分の歯以上に大切にしたいものがある人も多いとわかります。
また「小さいとき、歯が痛くても歯医者に連れて行ってもらえなかった」というコメントも複数ありました。
子どもの頃から「歯が痛かったらすぐ歯医者に行く」「歯の定期健診に行く」という習慣がなければ、歯医者は後回しになりやすいのかもしれません。
またクリーニングや矯正など急ぎではない場合や、歯の痛みがない場合は、後回しになりやすいでしょう。
5位 治療費が高額になると思った
- 銀歯ではなくセラミックにしたかったが高額で、治療費の捻出が厳しかった(20代 女性)
- 何回も通院が必要なため、お金がかかるから(30代 男性)
- 虫歯が多くて1本だけの治療では済まないと思ったので、なかなか行く勇気がなかった(50代 女性)
「治療費が高額になると思った」が5位でした。
歯医者は高いというイメージがある人も多数。
自由診療だと高額になりますが、初期虫歯なら3,000円程度の負担額で治療できることも。
先延ばしにするのではなく早めに治療することで安く済みます。
6位 大きな出費があった
- 財布とスマホを紛失してしまい、新しいものを購入したら、お金に余裕がなくなってしまった(30代 男性)
- 引越したばかりでお金がかかり、歯医者へ行く余裕もないときがありました(40代 女性)
6位は「大きな出費があった」でした。
大きな出費と歯の痛みが重なってしまい、歯医者を断念した人もいるとわかります。
出費があるとわかっていれば備えられますが、急な出費だと困ってしまうことも多そうですね。
家計が毎月ギリギリだと、予期しない歯の痛みがあったときに対応できません。
7位 給料日前でお金がなかった
- 歯が痛くなったけれど、給料日前でお金がなかった(20代 男性)
- 給料日前にお金がなくて困ったことがあります。給料日の2~3日前に鈍痛やしみる感じが来たときは、最もお金を使いたくないタイミングでした(40代 女性)
7位は「給料日前でお金がなかった」でした。
給料日前で治療費を捻出できず、給料日まで待った人もいました。
生活費がギリギリだと給料日前の出費に対応できませんし、余剰分がないので思わぬ出費に備えて貯金することも難しいですよね。
「歯の治療は高い」というイメージから、お金が足りないと思い込み、受診を諦めている人もいるのではないでしょうか。
保険診療の場合、初回は3,000~4,000円が目安です。(※2024年5月調査)
その後の治療については、治療費の説明を受けたり予算の相談に乗ってもらったりもできます。
上記金額なら何とか用意できそうという人は、急いで受診するようにしましょう。
初回の受診費用を用意するのも難しいという人は、「無料低額診療事業」の利用を検討してみてください。
経済的な理由で医療を受けられない以下のような人を対象に、無料または低額な料金で診療を行う支援です。
- 医療費の支払いをすると生活が困難になる人
- 病気や障害で仕事ができず医療費の支払いが困難な人
- 失業などで収入がなく医療費の支払いが困難な人
- 医療費が支払えず治療を受けられない人など
詳細については、全国福祉医療施設協議会のホームページを確認してみてください。
歯医者の治療費を払えないときの対処法1位は「家族・親戚に借りる」
「歯医者の治療費を払えないときの対処法」として最も多かったのは「家族・親戚に借りる(110人)」で、全体の3割近くを占めました。
続いて2位「とりあえず我慢・放置する(76人)」、3位「市販薬で対処する(67人)」と続きます。
「家族にお金を借りてでも歯医者に行く」という人が1位でした。
ただ全体的には「とりあえず我慢」「市販薬で対処」「お金ができてから通院」など、お金がないときは、歯が痛くてもすぐには歯医者に行かない人が多くなっています。
お金を借りると答えた人の中にも、「限界まで我慢して、どうしても我慢できなくなったら借金して歯医者に行く」というコメントがいくつかありました。
我慢するという人は、我慢している間に症状が進行し、治療費が高くなる可能性も考えてみましょう。
どうせ借りるなら早めに借りたほうが治療費は少額で済む可能性が高いです。
1位 家族・親戚に借りる
- 親や配偶者にお金を借りた。「治すものは治しなさい」「痛かったら私生活も仕事も過ごせない」と貸してくれた(30代 女性)
- 親にお金を借りました。医療費なら少しは出してくれるので(40代 女性)
- 親に事情を話して治療費を借りた(60代以上 男性)
1位は「家族・親戚に借りる」でした。
お金を借りるとき、頼りやすいのはやはり家族ではないでしょうか。
貸すのではなく、治療費を肩代わりしてくれる家族もいるでしょう。
健康に関するお金であれば、心配して貸してくれる家族も多いはずです。
「見かねた親族のほうから援助を申し出てくれた」というケースもありました。
2位 とりあえず我慢・放置する
- まだひどい虫歯ではないと思ったため、放置している(10代 女性)
- まだ症状がマシだったため、我慢した(20代 男性)
- 歯医者に行かざるを得ない状態になるまでは我慢(40代 女性)
2位は「とりあえず我慢・放置する」です。
「痛くないから放置」「我慢できる程度の痛みなら我慢する」と考える人も多いとわかります。
ただ、放置していると症状が進行して治療費が高くついたり、治療が長引いたりする可能性もあります。
3位 市販薬で対処する
- 市販の鎮痛薬をクレジットカードで購入して、痛みをしのいだ(30代 女性)
- 市販の塗り薬を買い、痛みに耐えました(40代 女性)
- 市販の痛み止めで我慢した(50代 男性)
3位は「市販薬で対処する」でした。
歯医者に行けるようになるまでの一時しのぎとして、市販薬に頼る人もいます。
「胃腸用の丸薬を痛い部分に詰めた」という回答も目立ちました。
鎮痛剤で痛みはマシになるかもしれませんが、根本的な症状は改善しないと考えられます。
4位 お金ができてから歯医者に行く
- 給料日まで待つ(20代 男性)
- 急ぎではなかったため、お金を貯めた(30代 女性)
- 少し我慢して節約生活し、ひと月ほどでお金を貯めて歯医者へ行った(30代 女性)
4位は「お金ができてから歯医者に行く」でした。
クリーニングなど急ぎではないものなら、お金ができるまで待つのもいいでしょう。
しかし歯がすでに痛い場合は、長期間待っていると症状が進行してしまう可能性も高いです。
悪化すると、治療費も高くなってしまいます。
5位 歯磨きで対処する
- 歯磨きをしっかりして、小さな虫歯は治す努力をした(20代 男性)
- 歯磨き粉を歯に塗り込むように歯磨きし、虫歯菌を退治しようとした(30代 女性)
- いつもより丁寧に歯磨きしたら、歯の痛みがおさまった(40代 男性)
「歯磨きで対処する」が5位でした。
「初期の虫歯」「歯がしみる」などの症状であれば、適切な歯磨き粉の使用や丁寧な歯磨きで治ることもあります。
そのため歯磨きで対処しようとした人もいました。
歯磨きで改善しない場合は、歯科医師に診てもらいましょう。
6位 友人・知人に借りる
- 仲の良い友人に頼んでお金を借り、受診した(30代 男性)
- 当時のパートナーにお金を貸してもらった(40代 女性)
6位は「友人・知人に借りる」でした。
家族の次に借りやすいのが、友人・恋人や仲の良い知人です。
借金を頼んだわけではなく「困っている」と話したところ、相手から援助の申し出があったケースも。
困ったときに相談できる相手をつくっておくのは大事ですね。
7位 カードローン・キャッシングで借りる
- カードローンでお金を借りることにしました(20代 男性)
- クレカのキャッシングを利用した(40代 男性)
7位は「カードローン・キャッシングで借りる」でした。
周囲に頼れる相手がいない場合や、今すぐ歯医者に行きたい場合にお金を借りるなら、カードローンやキャッシングという手があります。
返済のめどが立っているなら、便利な方法です。
歯の痛みなどがある場合、保険診療で済む症状のうちに受診することをおすすめします。
進行度合いが低ければ、数千円程度で保険診療が受けられるのに対し、重度や末期になると高額な自由診療も選択肢に入ってくるからです。
また、症状が進行すれば治療回数も増え、治療費の負担も大きくなります。
ただ「家族・親戚」「友人・知人」「カードローン」など、お金を借りることに抵抗がある人もいるでしょう。
今手元にお金がなくても、お給料など入ってくる予定があるなら、クレジットカード払いに対応している歯科医院を探して受診してみてはいかがでしょうか。
ただし、クレジットカード支払いに対応している歯科医院は多くないと言われており、各医院で支払い方法のルールも違います。
「保険診療でも対応しているのか、自由診療のみなのか」「一括払いなのか、分割払いにも対応しているのか」などの確認もするようにしてください。
まとめ
歯医者に行きたいけれどお金がないとき、我慢をする人や、お金ができてから行く人も多くいました。
しかし虫歯や歯周病は、治療を後回しにしている間に悪化します。
実際アンケート内でも「お金ができてから歯医者に行ったら、悪化していて治療費が高額になった」という体験談もありました。
治療を後回しにしたことを後悔しており、「今ならお金を借りてでも歯医者に行く」という人も。
歯科医院によっては「分割払い」「カード払い」「支払いの猶予」に対応してくれるところもあるので、一度相談してみましょう。
いつも生活が苦しくて自分や家族が歯医者に行けないなら、「無料低額診療」で受診できる歯科医院を探して相談してみる方法もあります。